大阪市立大学大学院医学研究科の津田昌宏講師、石村栄治特任教授らの研究グループは、糖尿病前段階かつ肥満である人は腎臓に負担がかかっていることを明らかにしました。糸球体高血圧とアルブミン尿の関連をヒトで確認したのは世界初であり、研究成果は糖尿病研究の最高誌アメリカ糖尿病学会機関誌『Diabetes Care』に掲載されました。



糸球体高血圧とアルブミン尿の関連を世界で初めて確認

糖尿病の合併症の代表としては網膜症、腎症、神経障害があげられます。糖尿病は慢性腎臓病を発症し、透析を導入している患者の原疾患の40%以上を占めています。合併症を引き起こさないためには、早期発見・早期治療が肝要です。これまで糖尿病性腎症の前段階であっても腎臓に負担がかかっている可能性は推測されていましたが、実際にヒトで検討することは困難とされていました。



慢性腎臓病を防ぐ成果として期待

研究グループは、合併症や既往歴、内服歴のない54名の腎移植ドナーを対象にGomezの式(血圧、腎血漿流量などから微細血管抵抗を求める式)を用いて肥満度、インスリン抵抗性、糸球体内圧、アルブミン尿の関連性について検討し、糖尿病前段階であっても肥満である人は糸球体内圧が高く、腎症の判断基準となるアルブミン尿が多いことを明らかにしました。



現在、血液透析が必要な末期腎不全患者は32万人を超えています。本研究成果により、糖尿病前段階であっても腎臓への負担を把握することで慢性腎臓病を引き起こす前に防ぐことが期待されます。



(画像はイメージです)



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