浄土宗総本山の知恩院(京都市東山区)が11月から開催するライトアップイベントが、SNS上で話題となっています。告知用サイトにお坊さんがジャンプする画像があるほか、お坊さん出演のPR動画が、ミュージックビデオ(MV)を思わせる雰囲気だからです。“お堅い”イメージのあるお坊さんがはじける姿に、「何があった?」「ブッ飛んでる」「笑いが止まらない」などの声が上がっています。知恩院の広報担当者に聞きました。

仏教に親しみを持ってもらいたい

「お坊さんに会いに行こう! 知恩院 秋のライトアップ2018」は、11月2日から12月2日まで開催。国宝「三門」のほか「友禅苑」「宝仏殿」などがライトアップされます。実施時間は午後5時半から午後9時半まで、料金は大人800円(税込み、以下同)、子ども中学生まで)400円です。

 11月2日から4日までは、オープニングイベントとして「おてつぎフェス2018」を実施。現役のお坊さんが紙芝居や手品を上演するほか、バンドによる生演奏も行います。11月5日からは講演などがあります。

 知恩院総務部情報出版係の担当者に聞きました。

Q.イベントはいつから実施していますか。

担当者「ライトアップ2001年の秋に始め、今年で18年目です。現在は春と秋に実施しています。『お坊さんに会いに行こう!』と題してイベントも開くことにしたのは、2016年春からです」

Q.来場者数は。

担当者「秋のイベントは約1カ月間実施しており、来場者数は例年2万5000人から3万人ほどです。なお、講演会場である『宝仏殿』の定員は約100人です。講演は1日に4回あります。平日や紅葉の色づき始める前の時期にも、このお堂がお話を聞く皆さんでいっぱいになるとうれしいです」

Q.公式サイトに登場しているのは、すべて現役のお坊さんですか。

担当者「『おてつぎフェス』以外で、公式サイトに登場しているのは、すべて知恩院の僧侶です。『おてつぎフェス』出演者も、多くは、知恩院を含む現役の僧侶か修行者です」

Q.なぜライトアップに合わせて、お坊さんが出演するイベントを実施するのですか。

担当者「より多くの人に仏教とご縁を結んでもらおうと、2016年春のライトアップ時から講演を始めました。その年の秋から、僧侶の写真をチラシに掲載することにしました。親しみやすさを感じてもらい、『お寺へ行ってみたい』という気持ちを持ってもらうことと、青壮年層がお参りするきっかけづくりが狙いです」

Q.「おてつぎフェス」を企画した理由は。

担当者「青年層へ情報発信するためです。お寺になじみにくい『フェス』というネーミングをあえて使いました。毎年、秋のイベント時の最初の3日間に行っています。2016年2017年は琵琶や二胡(にこ)の演奏に合わせて、外国出身の僧侶や一芸のある僧侶による講演を行いました。今年はさらに青年層の来場を促すため、祭典らしい人選を意識しています」

Q.PR動画の制作はいつからですか。

担当者「2017年秋のライトアップ時に初めて制作しました。若い人たちに、仏教に親しんでもらおうと考えたためです。10月15日以降、『クールなお坊さん』の姿のほか、休日に何をしているかをまとめたインタビュー映像を元に、第2弾、第3弾の動画を公開していく予定です」

出演するお坊さんの反応は?

Q.チラシや動画に出演を依頼した際のお坊さんの反応は。

担当者「中には『恥ずかしい』『出たくない』と言う人もいましたが、多くは、楽しんで出演してくれました。SNS上でも話題になっていますが、決してふざけているわけではありません。知恩院は800年以上の歴史があり、伝統を重んじるべきなのは、言うまでもありません。

伝統を大切にしつつ、『皆さんに来てほしい!』という思いが、あのポスターに表れました。『攻めの姿勢』と言われると確かにそうなのかもしれません(笑)

Q.イベントの公式サイトや動画の制作はどのようにして進めたのですか。

担当者「知恩院主導で、業者さんやデザイナー、知人などの意見を参考にしながら企画し、制作そのものは業者さんに委託しました。お寺として行き過ぎがないか、ギリギリのラインを見定めながら作業を進めました」

Q.制作で難しかった点は。

担当者「ポスター上で僧侶をどう表現するかという点です。祭典らしさを演出するため、賛否両論は覚悟の上で、躍動感ある僧侶を表現することにしました。和やかで親しみやすくしつつ、ただの遊びに見えないような表現にするのが難しかったです」

Q.イベントに関して、どのような意見が寄せられていますか。

担当者「ライトアップに関しては例年、『荘厳な雰囲気』『温かみを感じる』『静かで落ち着いた味わい』などの意見を頂きます。また『おてつぎフェス』は『親しみやすい』『お話が聞けて良かった』という声を頂きます。例年、僧侶の話を複数回聞きに来られる人もいらっしゃいます。お寺として大切にしている根の部分をじかに感じてほしいと思います」

 若者を中心とした「寺離れ」を指摘する声もある中、仏教の魅力を伝えるために体を張る知恩院のお坊さんに注目が集まりそうです。

報道チーム

「お坊さんに会いに行こう! 知恩院 秋のライトアップ2018」公式サイト