ウルグアイ代表を率いるオスカル・タバレス監督が16日に埼玉スタジアム2002で行われるキリンチャレンジカップ2018の日本代表戦前日会見に出席した。

▽今月の代表ウィークでアジア遠征を敢行のウルグアイ代表。12日に韓国のソウルで行われた国際親善試合で韓国代表に1-2で敗れての来日となる。

▽2006年に自身2度目のウルグアイ代表指揮官就任から異例の長さで代表の指揮を執る71歳の名将タバレス監督。前日の公式練習を前に行われた会見で次のようにコメントした。

オスカル・タバレス監督(ウルグアイ代表)
「こんばんわ。こうして再び日本に戻ってくることができ、とても嬉しく思っている。日本の皆様にはいつもとても暖かく迎え入れてもらっていただいている。我々は2022年のワールドカップに向け、準備を進めている段階。日本のように大きな成長を遂げ、6回連続でワールドカップに出場している国とこうして対戦できることは、ウルグアイにとっても非常に良い機会だと思っている」

ワールドカップを見てもらえばわかることだが、日本も大きな成長を遂げていて、世界で見ても互角の実力を持つ国が存在している。日本は今回、ホスト国として、我々と同様に新しいチーム作りを目指して、明日対戦することでしょう。我々も2019年のコパ・アメリカ、2022年のワールドカップを目標にしている。おそらく、日本も同じ状況にあると思う。明日は是非、良い試合がしたい」

──日本サッカーに対する印象。日本代表の警戒選手は
「私は日本のサッカーの進化をだいぶ前から見続けてきた。この国にプロサッカーができ、ブラジル国籍の選手が多くここでプレーしてきた。彼らは単に助っ人としてプレーするだけじゃなく、1つのスタイルをこの国に残していき、それは何らかの形で日本のサッカーに還元されていっていると思う。日本はアジアでも技術に優れたサッカーをする。また、私はアンダー世代、特にU-20の選手たちを興味深く見守っている」

「そして、特定の選手の名前を挙げることについては、この場では控えたい。しっかりと日本代表の分析を終えるまで名指しすることはできない。だが、FWの選手たちはスピードやテクニックに優れ、シュート力にも長けている。ワールドカップでは残念ながらあの信じられない形でベルギー代表に敗れたが、日本代表のサッカーのベースは既に出来上がっているように感じる」

──監督が考える(ユベントスに所属するMFロドリゴ・)ベンタンクールの長所とは
ロドリゴ・ベンタンクールは、非常に若い選手。ウルグアイの地方の街で生まれ、その後アルゼンチンのボカ・ジュニアーズのユースに入り、そこで11年ほどプレーした。ユベントスに移籍するまで、ボカのトップチームでもプレーしている。代表では、2017年のワールドユース、A代表の一員としてロシアワールドカップでもプレーした。彼をはじめとする若手、ベンタンクール、(マティアス・)ヴェシーノ、(フェデリコ・)バルベルデ、(ルーカス・)トレイラといった選手たちは、これまでと違うスタイルをウルグアイ代表にもたらしてくれている」

「以前も目標達成に貢献してくれた選手がいたが、どちらかといえば、フィジカル面や規律を生かして戦うタイプだった。ベンタンクールをはじめとする今の若手は経験こそ少ないが、チームに大きく貢献してくれている。バルベルデでいえば、彼は18歳でロシア大会の南米予選の試合でウルグアイとして苦手なパラグアイ戦でゴールを決め、勝利に貢献してくれた。今はレアルのトップチームでプレーしている。ベンタンクールをはじめとする若手は、ベテランと融合することで、今後もチームのために大きく貢献してくれると思っている」

──12日の韓国戦後、日本戦に向けて戦術の修正点は。(ルイス・)スアレス不在の影響は
「我々は今回、長旅を経て、12時間の時差を強いられながら戦っている。韓国戦から数えて、3、4日間あったので、前回の試合よりコンディションは良くなってきていると思う。ただ、我々はこうした親善試合の中で結果だけを求めているわけじゃなく、新しい若手を試すことが1つの大きな目標としてある。そして、ゴールは、カタールワールドカップに出場して良い結果を残すこと」

「もちろん、スアレスは、代表チームだけでなく、バルセロナでも決定的かつ重要な役割を担う選手。だが、スアレス不在で戦うことは、決して初めてのことじゃない。逆に、スアレスがいても、(エディンソン・)カバーニがいないこともあったし、ロシアワールドカップフランス戦もそうだった」

「もちろん、彼らのような重要な選手がいないことは堪えるが、何とか他の選手たちで彼らの穴を埋められるように努力していなければならない。スアレスカバーニは、共に2006年のユース世代でデビューして、南米予選やカナダのワールドユースに出て、今やヨーロッパのクラブで結果を残して、代表チームに大きく貢献してくれている」

「彼らはこのウルグアイにおける1つの指標となる存在。しかし、そういった選手であっても、ケガもするし、子供も生まれる。なので、我々はFIFAの代表ウィーク毎に目標を定めている。それを3文字のアルファベットで表していて、「J」、「R」、「C」。それはスペイン語で「プレー」、「結果」、「戦う姿勢」を意味する。そういった目標も踏まえながら、明日の試合を良いものにしていきたい」

──このアジア遠征がどのような強化に繋がるとお考えか。そして、ウルグアイサッカーの強さの秘密とは
ウルグアイ代表にとって、この2試合は非常に重要な意味がある。日本と韓国は、アジア地域において、最も強い国々。韓国は9大会連続9回、日本は6大会連続6回のワールドカップ出場を誇る。明日の結果がどうであろうと、我々にとって、日本と韓国と対戦することは非常に良いことだと思っている。世界におけるウルグアイサッカーの位置付けだが、昔は強くなく、全く国際大会を戦うことができない時期があった。そこで、我々はどうやって世界の舞台に再び押し上げることができるのかと考えた」

「かつてのウルグアイ、1920年代ウルグアイは強豪国だった。1924年、1928年のオリンピックで優勝したが、その後、世代交代の流れが途切れ、1950年になるまで、ウルグアイはなかなか結果を出すことができなかった。ウルグアイが初めて戦った南米予選でもパラグアイに敗れ、敗退に追い込まれたこともある。そういった中で、ユース世代の育成に重点を置いたプロジェクトが始動した。それは、単にサッカー選手を育てるだけでなく、若者たちの総合的な教育を重要視したものだった」

「昔のウルグアイサッカーのイメージとして、非常にタフなものが連想されたが、クリーンな戦い方というものも若者たちに教えてきた。こうしたプロジェクト始動により、2006年以降、ユース世代ではほぼ90%の確率でユース世代の国際大会に出場できるまでになった。(ジョルジアン・デ・)アラスカエタや、(ディエゴ・)ラクサールと行った彼らもそのユース世代で育ってきた選手たち。こういった取り組みにより、ウルグアイ代表としてもFIFAランキングでも着実に順位を上げており、今では5位という結果を残している」

「そして、ベンタンクールやラクサールら若手だけでなく、(ディエゴ・)ゴディンやスアレスカバーニといった選手たちは全員が海外に移籍し、エリートが集うヨーロッパサッカーでその力を磨いている。ロシアワールドカップでは、進化しつつあるウルグアイサッカースタイルをお見せすることができたと思っている。我々は今後も競争力のあるチーム作りを目指していきたい」

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