子どもにお手伝いさせることは、親が楽できるだけでなく、“段取りする計画性”、“想像力”、“忍耐力”を育てることができてお得!
片付かない子の3つの理由とは?「片付けられる子ども」を育てるために親がすべき工夫
でも、頭ではわかっていても、却って手間がかかってしまいます。どうやって教えていけばよいのでしょうか。
『1人でできる子になる「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がご紹介します。
男子厨房に入らず
ひと昔前は“男子厨房に入らず”という言葉があったように、男性が家事をすることはありませんでした。でも、今は共働きする夫婦も多く“育メン”という言葉も普通に使われるようになりました。
筆者の亡き父は、昭和一ケタの昭和9年生まれでした。
母が旅行に行ったときのこと、一人でお茶を沸かすことも出来ず困り果てていました。更にお腹が空いて何か食べようとしたのか、缶詰を電子レンジにそのまま入れて庫内で火花が散っていました。更に靴下やパンツがどこにしまってあるかもわからない様子でした。
「母が先に亡くなったらどうなるんだろう」と不安になりました。
今どき私の父のような人はいないかもしれませんが、それでもお手伝いは大人になったからといって急にできるものではありません。男児も女児も小さい頃から家事をやらせてみませんか?
年齢別のお手伝い
「ママが大変だから手伝ってあげている」という感覚を子ども自身に持たせないことがポイントです。同じ家に住む共同生活者として、次のような家事分担の習慣を自然に付けていきましょう。
2~3歳
- 自分の玩具だけてなく、新聞、雑誌やリモコンなど指定場所に片づける
- 夕方になったら、家中のカーテンを閉める
- 朝起きたら家中のカーテンを開ける
- 朝起きたら新聞を取りに行く
- 家中のゴミをゴミ袋に集める
- ゴミの分別(イラストで分け方や入れるゴミ箱を明記しておけば出来ますよ)
- お皿、箸、スプーンなどのテーブルセッテイング
- 食事前と後に雑巾でテーブルを拭く
- 自分のオムツ、下の子のオムツを捨てに行く
- 脱いだ洋服を洗濯カゴに入れる
- 洗濯機から洗い済みの洗濯物を取り出す(※ドラム式の場合、中に入って遊ばないように大人が傍で見ている)
4~5歳
- 洗濯物を干す
- 洗濯物をたたむ、指定場所にしまう
- 食べた食器を台所の流しまで運ぶ
- お米を研ぐ
- 掃除機をかける
- 棚の雑巾がけをさせる
気持ちよくお手伝いしてもらうコツ
1.上から目線で誉めない
子どもに“やらされている感”を持たせないためには、やたら褒めたり、お駄賃などお金を与えたり、「食器を下げてくれてお利口だね」、「部屋を片付けて偉いね」などと言わないことです。
それぞれが出来る範囲で家事をすることは生活を共にする人同士、当たり前のこと。この感覚を持たせるには「○○して良い子」なんて言う必要はないのです。
でも、家族の協力により家が快適になる、家事の時間が短縮できたことは確かです。ですから、次のように言葉をかけてみましょう。
- 「家がキレイになって快適ね」
- 「お手伝いしてくれるから食器洗いが早く終わったね。一緒にテレビ見られるね!」
- 「タオルいつもキレイに畳んでくれてありがとうね~」
また「○○して偉いね」「○○してお利口だね」はある意味では上から目線なのです。親しき仲にも礼儀ありの精神で、お互いちょっとだけ感謝をするのです。
幼い子どもでも貢献意欲は十分持っています。自分の行動が誰かの役に立つ経験は嬉しいものです。この一言が、お手伝い意欲をぐんぐん高めてくれますよ。
まだある!お手伝いを習慣づけるコツ
2.時間がかかっても辛抱強く待つ
子どもは大人のように器用ではありません。だから却って面倒なことになることもあります。
例えば
- タオルを畳ませたらグチャグチャで、かえって畳み直すのに時間がかかってしまう
- 食器を下げさせたら落としたり割ったりする
- 食器を洗わせたら裏がベトベトになる
- 洗剤をやたら多く使う
でも、これで「やっぱりまだ無理だわ」と思いやらせないでいると、家事をするのはずっと親だけになってしまいます。
最初は時間がかかるかもしれませんが、やり方を丁寧に教えて行けばだんだんとうまくなります。長い目で見れば時間のロスは少なくて済みます。
明日着る服を自分で出す、食べた食器は下げる、こぼしたものを自分で拭く、子どもがやってくれれば楽できますよ。
3.失敗を咎めない
洗い物をさせたら洗剤を大量に使う、しょっちゅう割る、裏にべったり納豆のネバネバが残っている。
こんなとき、つい「お手伝いするんだからもっとしっかり洗って」、「洗剤を大量に使わないで」とダメ出しをしたくなりますよね。でも、慣れていないだけなのですから、ここはぐっとこらえて黙っていましょう。
せっかく手伝ったのにネチネチ言われたら、「もう二度と食器洗いなんかするもんか!」と思ってしまいます。それに子どもの目の前で洗い直しをするのはかなり嫌味です。
「ちゃんと洗えていないな……」と思ったら子どもが寝てからにしましょう。回数をこなせば、誰でもうまくなります。ママも毎日やっているから料理も片付けもうまくなってきていませんか。
ここでの目的は、子どもに上手にやらせることではなく、お手伝いを“経験させる”ことです。上手くは出来なくても叱らないようにしましょうね。
これは夫に家事分担させる時も同様です。
小学校4年生の女の子が小さいうちから家のことをやっていました。このころには料理もするようになっていました。
ある日、初めて味噌汁を作ったときにサイコロ型のコンニャクだけが具として入っていましたが、「これは具にふさわしくない」と注意することはしないで、母親は「面白い具ねえ。美味しい、美味しい」と言って食べてやりました。
その子は成人していますが料理の腕はプロ級です。
4.毎日やらせる
眠い、遊びたい、気の向くままにやったりやらなかったりですと習慣化はできません。体調を崩していない限り、必ず家族の一員の仕事として欠かさずやらせましょう。
5.エサで釣らない
お手伝いをしたら…と、飴やおもちゃを買い与えるのは止めましょう。
それがないとやらない習慣がついてしまうからです。ママだって掃除洗濯したからとお給料はもらっていないですよね。ママはお手伝いさん、子ども、夫は報酬をもらう王様に育ててはなりません。
掃除機のかけ方
掃除機をかけることは喜んでやってくれるお手伝いの一つです。でも、“四角い部屋に丸く掃除機をかける”のではダメですよね。しかし、見えない埃を吸い取る掃除機のかけかたは案外子どもにはハードルが高いです。
まず、あえて目に見える埃を作りましょう。色紙を小さく切って部屋中にばらまくのです。そのときは隅までまいてください。そして掃除機で「この色紙を全部吸い取ってね」と言ってください。
これが出来るようになったら「今日から色紙はないけれど、床には目に見えない埃がたくさんあるのよ。さあ、この部屋をピカピカにできるかな?」と言ってやらせましょう。もう、“四角い部屋に丸く掃除機をかける”ことはしなくなるでしょう。
掃除後、ごみパックを開けて「ほら、こんなに吸い取ったね。上手に部屋の隅々まで掃除機かけられたね。上手になったね」と埃を実際に見せて褒めてやりましょう。
夢のような日を迎えるために
小学生になったからといって急にお手伝いするようにはなりません。
そのままずるずると大きくなり成人した子どもに対して「うちの子は料理も洗濯も手伝わないで出されたご飯を食べるだけ、どうしてこんな風になっちゃたんでしょう」と嘆いているおばさま達が結構います。娘の部屋の掃除も年老いた親がやっていたりします。
でも、その要因は「危ないから」「却って手間がかかるから」とやらせなかったことにあったりするんですよ。
こうならないためにも今から少しずつ習慣づけましょう。ママが帰ったら子どもの作った料理が完成している、そんな夢のような日がやってくるかもしれませんね。
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