今も昔も就職先として人気のある銀行。かつては「新卒至上主義」を貫いていた銀行も、近年は中途採用に積極的な姿勢を見せています。ここでは第二新卒で銀行に転職するためのポイントについて解説していきたいと思います。

第二新卒で銀行に転職することはできるの?

2016年春に三井住友銀行が「第二新卒採用」を本格的に開始し大きな話題となりました。その後中途採用枠に第二新卒を含む銀行が増え、現在では国内3大メガバンクすべてが第二新卒採用を行っています。

これまで、日本企業の大半(おもに大企業)は終身雇用年功序列の雇用慣習のもと、新卒至上主義的な人材採用を行ってきました。銀行はひと際その傾向が強く、戦略的に中途採用を行う銀行はありませんでした。しかし2000年代以降、経済のグローバル化・人の価値観の多様化が進み「人材の流動化」が顕著に。早期退職者が激増する中、若手人材確保のためには、銀行も第二新卒に注目せざる得なくなってきたようです。景気動向などにより採用数は変動すると思われますが、以前と比較すると第二新卒での銀行への転職は容易になったと言えるでしょう。

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第二新卒の銀行への転職を考えている人が最初に考えておきたいこと

ひと口に銀行と言っても、規模や業態などで特徴が異なります。一般的に銀行はおおよそ5つに分類できます。

(1)メガバンク

1990年代末に北海道拓殖銀行山一證券・日本長期信用銀行などが相次いで経営破たん。金融への信頼は大きく揺らぐ中、都市銀行13行と大手銀行20行は段階的な合併を繰り返し「経営の安定化」を目指しました。そうして誕生したのがメガバンクで、現在は三菱UFJフィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループの3大メガバンク体制に落ち着いています。

メガバンクは通常の銀行業務のほか、投資信託・不動産・証券など幅広い事業領域を手掛け、仕事内容は多岐に渡ります。近年は人材の流動化が進み、メガバンクにおいても新卒入社から5年以内の早期離職者が急増。新卒至上主義を採っていたメガバンクも若手幹部候補として第二新卒採用を行うようになりました。

(2)都市銀行

東京、大阪などの大都市に本店を構え、広域で事業展開を行っている銀行のこと。旧都市銀行13行の流れを汲む銀行以外は都市銀行と呼ばない慣例があり、現在は「みずほ銀行」「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「りそな銀行」「埼玉りそな銀行」の5行に限定されています。

都市銀行はいずれも巨大な金融グループの一つであり、仕事内容・採用傾向などは先ほどのメガバンクで述べた内容と同じです。

(3)地方銀行

都道府県に本店を構え地域密着型のリテールバンキングを行う普通銀行のこと。現在全国地方銀行組合に加盟する地方銀行は64行です。業務は中小企業・個人を対象とした小口取引が中心となります。

地方銀行の採用動向を見ると、積極的に第二新卒採用を行う銀行は極めて少なく、中途採用は経験者限定の厳選採用が中心です。

(4)信託銀行

「金融機関の信託業務の兼営に関する法律」により信託業務兼営の認可を受けた銀行のこと。顧客(個人・法人)の財産を自己(信託銀行)名義で運用し利益配当を行う信託業務がメイン業務となります。さらに不動産関連業務や証券代行業務などの併営業務も行い、業務領域は多岐に渡ります。

金融に関連する技術は常に進化し、新しい商品が続々と誕生します。その流れについていくためには最新の技術・商品を理解していなければなりません。中途採用の動向を見ても、IT部門などのスペシャリスト採用が中心となっており、特に第二新卒を積極的に採用しようという動きは見当たりません。

(5)投資銀行

大口顧客を対象に株式・社債の引き受け業務、M&A仲介、経営・財務戦略に関するコンサルティング業務などを行う金融機関のことを指します。銀行とは言っても銀行業務は行わず、どちらかと言えば証券会社に近いかもしれません。

仕事は大きくエンジニアリング分野とカバレッジ分野に分かれます。エンジニアリング分野ではM&Aでの条件設定やファイナンス実行の諸業務、カバレッジ部門は営業を担当します。

投資銀行の中途採用トレンドはエンジニア分野は経験者限定のスペシャリスト採用が中心。カバレッジ分野は業界未経験者採用には積極的と言えます。これは投資銀行が対象となる業界ごとのプロジェクトチームを編成し営業を行うため、その対象業界に精通した人材であれば未経験者でも採用するからです。

第二新卒で銀行への転職する場合、どんな職種があるのか?

銀行の仕事は大まかに総合職と一般職に分かれます。
総合職とはいわゆる将来の幹部候補を指し、異動を繰り返しながら経験を積んで幹部を目指します。仕事内容は外回り営業、個人・法人への融資ほかあらゆる業務です。

一般職は店舗での窓口対応がおもな仕事で、基本的にほとんど転勤はありません。来店客に対し口座開設、振り込み、納税など店舗内での入出金業務を行います。全体的に銀行の一般職は女性の比率が高いようですが、近年は男性比率も若干高まっており中途・第二新卒での採用も増えつつあるようです。

銀行全体に見る中途採用の求人数は決して多くはありませんが、銀行ごとの事情により総合職・一般職ともに不定期で中途採用は行われています。

第二新卒応募者について銀行は何を見て採用を決めるのか

前述したとおり、近年の新卒入社者の早期離職傾向の高まりにより、新たな採用マーケットとして銀行も第二新卒者に注目し始めているのは確かですが、一般的な第二新卒採用とは性質が異なります。

一般企業の多くが第二新卒を「新卒採用が予定数に満たない場合や、早期退職者出た場合の補充要員」として位置付けているのに対し、銀行は「キャリア採用の枠組みの中に第二新卒者も含む」としています。つまり、「経験不問でポテンシャル重視」ではなく、わずかな社会人経験であっても「キャリアを活かす」という観点が求められ、「社会人経験値」を具体的に示さなければなりません。即戦力とはなり得なくとも「経験を通じてどんなスキルを獲得し、どう成長したのか?」「「なぜ銀行への転職を志し、将来何を実現したいのか?」などから総合的な能力と将来性を判断しようとしているのです。

銀行が第二新卒を含めた中途採用を行う理由は「人材の多様性が組織を活性化させ、イノベーションを起こす源となる」という期待があるから。それは銀行がこれまで守り続けてきた「新卒至上主義的人材観」では、これからの時代には対応できないという危機感の表れでもあります。銀行が求める人材の多様性とは、個人が組織に埋没せず個性を発揮することであり、そのためには各々が明確なビジョンを持たなければなりません。

第二新卒で銀行への転職を目指す場合、まずは自分のキャリアの棚卸しから自分の成長度合いをしっかりと確認し、強みとなるポイントを明確にしておくことが必要です。

銀行への転職を成功させるには、情報をキャッチアップするスピードと感度がカギとなる

銀行全体で見ても、第二新卒を含む中途採用数はそれほど多くはありません。しかし、業態ごとの温度差はあるものの銀行それぞれの事情により突発的に採用ニーズが発生することはよくあります。一般的に銀行の中途採用は非公開求人として扱われることが多く、企業ホームページ内のリクルーティングページに限定して募集要項を掲載したり、特定の転職エージェントを通じて採用活動を行うといったケースがほとんどです。

銀行への転職を目指す場合、求人情報をいかに素早くキャッチするかが重要です。銀行のホームページは常にチェックする必要がありますし、銀行案件に強い転職エージェントも押さえておかなければなりません。また、業界専門誌や金融新聞などに求人広告が掲載されることもあります。情報ソースはできるだけ広く持ち、頻繁に検索をおこないましょう。スピードと感度の高さこそが情報収集のカギとなります。

第二新卒で銀行への転職は自分に合った銀行を見極めるところから

銀行にはそれぞれ個性があり、企業風土、文化、求める人材タイプなども異なります。まずは「転職先として自分にマッチする銀行はどこか」をしっかりと見極めましょう。また、銀行への転職はいかに素早く求人情報をキャッチするかが肝。多角的な情報収集と戦略的な転職活動を心がけましょう。

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著者:平野輝樹

フリーランスライター
1989年リクルート入社。情報誌の企画・制作業務に携わる。
2001年フリーランスとして独立。現在は企業向けに人材採用・教育、広報関連のコンサルティング業務と各種メディアでのライティングを行う。
1965年生まれ・52歳 栃木県在住

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