突然ですが、問題です。鎌倉幕府の成立は何年でしょうか? 歴史を学んだ学生なら簡単な問題ですね。「いいはこ作ろう鎌倉幕府」の語呂合わせで有名な「1185年」が正解です。ですがこの問題、大人に出すと「1192年」と答えてしまう人が多いのです! なぜ私たちの知る歴史が大人たちと違うのでしょうか?

私たちの習う歴史が大人には通じない?

私たちは基本的に学校の授業で日本の歴史を学びます。かつて学生だった大人も同じように授業を受けて日本の歴史を学んできました。しかし、今学生が習っている歴史の中には大人が知っている歴史と違うところが多々あります。

代表的なのが鎌倉幕府の成立。実は、大人に聞くとほとんどの人が「1192年」と答えます。もちろん正解は「1185年」ですよね。他にも、天下分け目の戦・関ヶ原の戦いでの徳川家率いる東軍と対立した相手といえば、大人は「石田三成」と答えるでしょう。ですが、最近の教科書では、「毛利輝元」と記されるのが主流となっています。

大人たちはなぜ間違った歴史を覚えているのでしょうか? 実は、大人たちは嘘の歴史を教えられたわけではありません。その当時はその歴史が正しいとされ、教科書に記載されていたのです。

いつの時代も教わることは変わらないと思われがちな教科書ですが、実は常にアップデートし続けており、そしてその中でもダイナミックに変化している顕著な例が歴史の教科書なのです。

歴史の教科書が書き変わる理由とは?

文部科学省によると、小学生・中学生が使用する文部科学省検定済みの教科書は通常4年ごとに改訂の機会があります。その際にさまざまな理由によって教科書内容の更新が行われるのです。歴史の教科書において改訂がなされるパターンはいくつか存在します。

もっとも分かりやすいのは新事実の発見によるものです。新たな資料の発見や発掘によって今までの定説が覆され、内容が改訂されたという事例も存在します。

また、新事実の発見がなくても歴史研究の専門家の間で名称の変更が行われることもあります。資料の記述などからより適切な表現方法が見つかった場合に行われますが、この変更を受けて、教科書も新しい名称を採用することがあります。

これら以外には解釈や諸説の変更により改訂されることも。例に挙げた鎌倉幕府の成立年の変更はこれにあたります。歴史上の出来事にはいまだに専門家の間でも諸説あるものもあり、その中で有力とされる説を教科書に採用します。そのため、さらなる歴史研究によって今まで採用されなかった説が有力になってきた場合、教科書も改訂されることがあるのです。

このような条件で教科書の内容は更新されていきます。十数年のうちに歴史の教科書がダイナミックに変化してきたのは、歴史研究家たちの努力の結果ともいえるのです。

「歴史学」の発展で、今後も教科書に記される歴史は書き変わっていく

日本の歴史にはまだ分からない部分や曖昧な部分が多く、さまざまな資料から正しい歴史の姿をひも解いていくのが「歴史学」です。今後も歴史学の発展によって教科書の内容は書き変わっていくと予想されます。最新の学習指導要領では「鎖国」や「士農工商」などの言葉も教科書から消えるという話もあります。

このように歴史研究には、まだまだ教科書を書き変えるほどの新しい発見が隠されています。日本の歴史を研究し、正しい歴史をひも解くことに面白さやロマンを感じた人はぜひ「歴史学」の道を歩んでみませんか? あなたの発見が日本の歴史を更新するかもしれません。

【出典】
・ZUU online
https://zuuonline.com/archives/147515
・BuzzFeed News
https://www.buzzfeed.com/jp/satoruishido/mada-sakoku?utm_term=.xuYxE8qLNB#.cibNBz4Q0D
文部科学省 教科書Q&A
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/010301.htm