「自分は長男なのに、思ったより受け取れる財産が少ない…」このように、被相続人の遺言書の内容に納得がいかなかった場合、それに対応する方法はあるのでしょうか?

 

また、納得がいかない遺言書の内容を訂正することはできるのでしょうか?

 

遺言書は相続トラブルに発展しやすい原因の1つですが、今回はその遺言書の内容に納得がいかない場合の対処法について、解説していきます。

 

遺言書の有効性をチェックする

遺言書の内容に納得がいかない場合、まずはその遺言書が正しい書き方の要件を満たしているか、確認をしましょう。もし要件を満たしていない形式で書かれていた場合、その遺言書は無効となる可能性があります。

 

確認すべきポイントは以下の3つです。

 

  1. 1. 日付が記載されているか
  2. 2. すべてを自筆で書かれているか
  3. 3. 署名、捺印があるか

 

もしもこれらの内容に不明確な部分があれば弁護士に相談し、その遺言書が本当に有効なのか、判断を委ねましょう。

 

(自筆証書遺言)

第968条

  1. 1. 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
  2. 2. 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

引用元:民法968条

 

相続人同士で遺産分割協議を行う

遺産分割協議とは、相続人全員で集まり、遺産の分割について話し合うこと。

遺言書が有効な場合、遺産は遺言書のとおり分割されますので、遺産分割協議を行う必要はありません。もっとも、相続人全員の合意があった場合、遺言書の内容に反する遺産分割を行うことは可能です。

 

あまりにも不公平な場合は遺留分請求を

遺言により相続人の遺留分が害されているような場合は遺留分請求をすることが考えられます。遺留分とは、相続人が最低限の財産を相続できるようにと定められた救済措置です。

 

第千二十八条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一

二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

引用元:民法1028条

 

例えば、遺言書に『私の財産はすべて次男に相続する』と書かれていて、ほかの相続人が一切財産を受け取れなかったとしたら、それはかなり不公平ですよね。

 

そういった事態を防ぐために遺留分は定められており、この遺留分を請求することで、遺言書の内容に反するとしても最低限の財産を相続できるようになります

 

遺留分については『遺留分とは相続人がもらえる財産|受け取れる割合と請求する方法』で詳しく説明しています。

 

 

遺言書に書かれた相続の内容があまりに納得いかないものだったとしたら、遺留分を請求するという方法も視野に入れて行動しましょう。

 

冒頭でも記したとおり、遺言書はトラブルに発展しやすいです。円滑な解決を目指すためにも、何か問題があれば弁護士に相談してみることをおすすめします。

 

遺言書の内容が納得いかない!やり直しや訂正は可能?