一般的に『自転車は車道を走るべき』と認識されています。自転車と歩行者が衝突する事故もあり、歩行者にとって危険だからです。しかし、自動車との衝突事故を避けるために自転車で歩道を走る人もいます。
歩道を自転車で走ることは違法ではないのでしょうか?
原則、車道または自転車専用の道を走らなければならない
道路交通法では、自転車は軽車両(原動機を持たない車両の総称)として扱われるため、原則車道または自転車専用の道を走らなければなりません。自転車の走行部分は道路の形状によって異なります。
①歩道と車道の区別がある道路
自転車道が設けられておらず、道路標識による走行部分に指定がない上に、歩道と車道が区別されている場合、自転車は車道の左側を通行しなければなりません(参考:道路交通法第17条、道路交通法第18条)。
②車道通行帯が設けられている場合
車両通行帯(既定の部分を通行するように白線などの道路標示により車両へ定められた帯状の部分)が設けられている場合、自転車専用の通行帯がなければ自転車は車道の左端を走らなければなりません(参考:道路交通法第20条の1)。
《車両通行帯の例》
また、自転車専用の通行帯がある場合は、通行帯に沿って走る必要があります(参考:道路交通法第20条の2)。
③自転車道がある場合
自転車道(自転車を自動車交通から分離するために設けられた道路)がある場合は、自転車道を走らなければなりません(参考:道路交通法第63条の3)。
④自転車歩行者道の標識がある場合
自転車歩行者道の標識がある場合は、歩道を走ることができますが、車道寄りを走らなければなりません(参考:道路交通法第63条の4)。
路側帯が設置されている場合
路側帯(歩道が設けられていない道路)が設けられている場合、車道の左端を走らなければなりません。しかし、歩行者の通行の妨げや、軽車両の通行が禁止されている場合を除き、道路左側の路側帯を通行することが可能です。
自転車が歩道を走行できるケース
道路標識で指定された場合を除いて、以下に該当する場合、自転車は歩道を走ることができます。
- ・運転者が13歳未満または70歳以上の場合
- ・運転者が身体に障害を抱えている場合
- ・車道や交通の状況からやむを得ないと判断できる場合
《やむを得ないと判断できる例》
- ・路上駐車している車両が多い場合
- ・自動車の交通量が多い場合
- ・車道が狭い場合 など
自転車の歩道走行により科される罰則
では自転車の歩道走行により道路交通法に反した場合、どのような罰則が科されるのでしょうか? 道路交通法第121条1項5号には2万円以下の罰金が定められています (参考:道路交通法第121条)。
まとめ
自転車で歩道を走ることは、基本的には好ましいことではありません。一方で、自転車に乗る人の安全面を考えると、歩道を走った方がよいシチュエーションもあります。法律に反することなく安全運転をするためにも、自転車を利用する人は、自転車に関する道路交通法の知識を身につけることをおすすめします。
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