米国は依然、インターネット広告市場の規模が世界で最も大きい国。その同国で市場を複占しているのは、検索最大手の米グーグルと、ソーシャルメディア最大手の米フェイスブック(FB)である。
アマゾンの広告収入、今年は144.5%増の46億ドルに
ただ、米国の市場調査会社eマーケターが先ごろ公表したレポートによると、この市場では米アマゾン・ドットコムが、そのeコマースプラットフォームを武器に、事業を急拡大させている。
eマーケターによると、米国ネット広告市場における今年(2018年)の広告収入シェアは、グーグルが37.1%で首位。これにフェイスブックが20.6%のシェアで続く。その合計シェアは57.7%と過半を占め、同国市場はこの2社による複占状態が続く。
その後を追うのは、オース(米ベライゾン傘下の米AOLと米ヤフーの中核事業を統合した企業)、マイクロソフト、そしてアマゾンなど。ただ、これら3位以降のシェアはいずれも数パーセント程度にとどまるという状況だ。
eマーケターは先のレポートで、アマゾンの今年における米国ネット広告収入は、前年比64%増の28億9000万ドルになると推計していた。しかし今回のレポートで、これを同144.5%増の46億1000万ドルに上方修正した。
これは、アマゾンが会計方針を変更したことが主な要因だが、実際に同社のネット広告事業は予想を上回る勢いで成長しているという。これにより、今年のアマゾンのシェアは4.1%となる。アマゾンはオースとマイクロソフトを追い抜き、同国ネット広告市場で3位に浮上すると、eマーケターは見ている。
アマゾンのシェア、2020年には7%に上昇へ
アマゾンの広告事業は、来年以降も好調に推移するとeマーケターは予測する。その2019年における広告収入は、前年比57%増の72億3000万ドル。2020年は同51%増の109億2000万ドルとなり、アマゾンのシェアは7%に拡大するという(eマーケターのレポート概要)。
この時点でもグーグルとフェイスブックの合計シェアは55.9%で、2社による複占は続く。しかしアマゾンは着実にその差を縮めていくと、eマーケターは予測している。
アマゾン、広告部門を再編しシステムを統合
アマゾンは、自社のeコマースサイトで、「スポンサーリンク」や「スポンサープロダクト」といった広告商品を展開している。
これらは、利用者が入力した検索キーワードや閲覧内容に関連する、スポンサー企業の商品を検索結果ページや商品詳細ページに表示するというものだ。また同社の広告商品には、eコマースサイトや電子書籍端末「Kindle」に表示するディスプレー広告もある。
eマーケターによると、こうした広告枠の購入手続きについては、これまで広告主から複雑で分かりにくいといった不満の声が上がっていた。そこでアマゾンはこのほどシステムに改良を施し、使い勝手を向上させた。また、かつて複数の部門に分かれていた広告商品を新部門「Amazon Advertising」に集約した。年末までにシステムを完全統合する計画だという。
アマゾンの広告事業については先ごろ、同社eコマース内に表示される広告が著しく増えていると報じられた。一方で米国では、消費者が商品をネットで探す際、グーグルなどの検索エンジンではなく、アマゾンで検索する人が半数以上に上るといった調査結果がある。こうした中、広告主にとって、アマゾンの重要性がますます高まっていると指摘されている。
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