親善試合クウェート戦で南スーダンにルーツを持つメイビルとデンが代表デビュー

 オーストラリア代表で二人の選手が信じられないようなサクセスストーリーを実現させた。ともに南スーダンにルーツを持ち、ケニア難民キャンプで生まれ育った幼馴染のDFトーマス・デン(メルボルン・ビクトリー)とFWアワー・メイビル(ミッティラン)が現地時間15日に行われた国際親善試合のクウェート戦(4-0)で揃って代表デビューを飾った。

 21歳のデンと23歳のメイビル。二人は似た境遇で育ち、難民としてオーストラリアに移住してサッカーを始めた。オーストラリアのアデレードで同じ学校に通い、同じサッカークラブでプレーするなど幼少期をともに過ごしたという。

 そんなアフリカ出身の二人が同じ試合でオーストラリア代表デビューを果たすことになるとは誰が想像しただろうか。敵地でのクウェート戦、メイビルは後半28分にMFマシュー・レッキー(ヘルタ・ベルリン)と、デンは同31分にDFジョシュ・リズドン(ウェスタン・シドニーワンダラーズ)との交代でピッチに立った。

 さらに、メイビルは終了間際の後半43分に初得点もマークし、記念の試合に花を添えた。デンのパスカットが起点となり、FWトミ・ユリッチ(ルツェルン)のアシストを受けてのゴール。真っ先に祝福に駆け寄ったのも親友のデンだった。

「まさか同じ日にデビューできるなんてね。絶対に忘れることはない」

 英紙「ガーディアン」はそんな二人の喜びの声を報じている。

「夢が叶った」と語るデンは「いろいろなことを乗り越え、僕らは同じ日にデビューした。超現実的な出来事で、まさにアメージングだよ」と喜びを爆発させた。

 ゴールも決めたメイビルは「彼が僕の後ろにいたから、何の心配もなかった。トーマスがいてくれたら何事も簡単さ」と固い絆で結ばれた二人の関係を強調し、この“奇跡”は孫の代まで語り継がれると語っている。

「僕らにとって、このデビューは大きな夢だった。まさか同じ日にデビューできるなんてね。絶対に忘れることはない。僕らはこのことをいつか孫に話すだろう」

 親善試合だったとはいえ、二人にとっては大きな意味を持つ重要な一戦となった。(Football ZONE web編集部)

南スーダンにルーツを持つメイビルとデンが代表デビューを飾った【写真:Getty Images】