新生イタリアが公式戦初白星を挙げた。14日に行われたUEFAネーションズリーグのポーランド戦で、ロベルト・マンチーニ監督率いるイタリア代表が勝利した。
試合を決めたのはクリスティアーノ・ビラーギだった。スコアレスで迎えた後半のアディショナルタイム、CKの流れからゴールネットを揺らした。劇的勝利にマンチーニ監督も喜びを爆発させ、ベンチにいた選手たちにもみくちゃにされていた。指揮官は「もっと早い時間にゴールしなければならなかった」としつつも、「持っている力を最大限に出そうとしてくれていた。良くやってくれた」と選手たちをねぎらった。
ゴール後、ビラーギは右手の指で「1」、左手の指で「3」を作り天に掲げた。「1」と「3」=「13」は今年3月に急逝したフィオレンティーナのチームメイト、ダヴィデ・アストーリの背番号だ。ヴィオラでキャプテンを引き継いだビラーギは、「彼は僕の一部であり、フィオレンティーナの一部でもある。このゴールは彼に捧げる。彼が僕をどれだけ成長させてくれたか……」と語った。
この試合で、久しぶりに本気モードで勝ちに行くイタリアを見た気がする。中盤のマルコ・ヴェッラッティを軸にして、フェデリコ・キエーザ、ロレンツォ・インシーニェ、フェデリコ・ベルナルデスキの3トップが積極的にシュートを放っていた。イタリアのボール・ポゼッションは68.5%を占め、ハーフタイムにはポーランドサポーターから激しいブーイングが起こったほどだ。“ギリギリまで追い詰められたら勝つ”というイタリアのスタンダードがそこにはあった。
ディフェンス陣も踏ん張った。この日、代表99試合目となったジョルジョ・キエリーニを中心に、レオナルド・ボヌッチとジャンルイジ・ドンナルンマで数回あったピンチを乗り切る。ピッチからは必死で勝利をものにしようとする意思が伝わってきた。
徐々に固定されつつあるアッズーリの中で目を引いたのが、とにかくガムシャラに絡んでいくМFニコロ・バレッラだ。カリアリの下部組織で育った21歳の彼は、172センチと小柄ながらもU-15から代表に選出され続け、すでに推定移籍金は3000万ユーロ(約39億円)まで跳ね上がっているという。
マンチーニ監督は試合後、「イタリア代表の新しいストーリーが始まったか」と質問され、「いや、すでに始まっている」と早口で締めくくった。生中継のテレビ局RAIで試合を観戦した往年の名選手、パオロ・ロッシ氏は「アウェーでの勝利は大きい。マンチーニはいい仕事をした」と評価した。次戦は11月17日、同じグループ3で首位に立つポルトガル代表をミラノのサン・シーロ・スタジアムに迎え撃つ。マンチーニ体制のイタリア代表の真価が問われる一戦となる。
文=赤星敬子
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