アフリカ諸国で中国当局による経済援助の拡大とともに、現地人に対する人種差別が横行している。

米紙ニューヨークタイムズ15日の記事によると、ケニアでは9月初め、中国人実業家が現地従業員に対して、「ケニア人は皆、サルだ。(大統領の)ウフル・ケニヤッタもそうだ。一人も残らず」などの暴言を吐いた。その様子を捉えた動画がツイッターに投稿された。

ケニア政府は9月6日、この中国人実業家を逮捕し、国外退去の手続きが行われていると発表した。

暴言を受けたのは昨年、中国人が経営するバイク関連会社に就職したリチャード・オチーン氏(26)。「これまで人種差別を受けたことがなかった」というリチャード氏は、中国人経営者から複数回、「お前がサルだ」と侮辱された。

怒りを覚えたオチーン氏は、中国人経営者の発言を録画し、9月この動画がSNS上に投稿した。これをきっかけに、ケニアでは中国人による人種差別問題への関心が高まった。

ニューヨークタイムズによると、多くの若いケニア人は植民地時代の人種差別を経験したことがない。今、中国当局の膨大な経済援助とともに、ケニア人を差別する中国人が押し寄せてくるのではないかという不安が国民の間で広がっているという。

首都ナイロビの若いケニア人も人種差別の実態を同紙に語った。ある若者は勤務先で中国人の上司がケニア人同僚を平手打ちしたのを見たと述べた。また、会社内で中国人用トイレとケニア人用トイレが別々に設けられていると話す人もいた。

いっぽう、ケニア政府は最近、中国当局に対して強硬姿勢を示している。9月5日ケニアの警察当局は、不法移民の取り締まりを理由に、ナイロビにある中国国営中央テレビ(CCTV)傘下の中国環球電視網(CGTN)アフリカ本部を強制捜査した。警察当局が複数の中国人記者を一時拘束した。

(翻訳編集・張哲)

中国当局のアフリカ投資拡大にともない、現地に進出する中国企業の経営者らによる人種差別的な言動が目立っている(YASUYOSHI CHIBA/AFP/Getty Images)