若手が躍動しウルグアイに4-3勝利、「融合」も順調に進む

 国際親善試合の日本対ウルグアイの一戦が10月16日埼玉スタジアムで開催され、日本は過去1勝1分4敗と苦手にしていたウルグアイに4-3と勝利を収めた。

 森保一監督が率いる日本代表にとってのテーマは、「世代交代と、ロシアワールドカップ(W杯)組と若手の融合」だ。ウルグアイ戦にはロシアW杯組のDF長友佑都、DF吉田麻也、DF酒井宏樹、MF柴崎岳、FW大迫勇也の5人がスタメンに名を連ねた。センターバックは吉田と代表歴3試合のDF三浦弦太、右サイドは酒井とMF堂安律、左サイドは長友とMF中島翔哉ボランチは柴崎とMF遠藤航ロシアW杯メンバーだが出場機会なし)、そして前線は1トップの大迫とトップ下のMF南野拓実というユニットで「融合」のテストが行われた。

 結果はフレッシュな若手が躍動し、南野が3試合連続となる2ゴール、中島が南野と大迫の2ゴールをアシスト、そして酒井とのコンビネーションプレーで堂安がゴールと、見事に結果を残した。

 試合後の森保監督も「融合という意味では今のベストを出してくれた。上手くいかない部分もあったが、それは今トライしていることで、ベストなトライをしてくれ、今のベストを出してくれた。しかし、ここがトップトップではない。さらに上を目指していきたい」と手応えを感じたようだ。

 12日のパナマ戦(3-0)では、両サイドハーフのMF伊東純也とMF原口元気が中央に移動することでサイドにスペースを作り、DF室屋成とDF佐々木翔の両サイドバックの攻撃参加を引き出した。一方のウルグアイ戦では、攻撃のスタート時は外に張り、ボールを受けたらカットインする中島と堂安というタイプの違うユニットもテストし、南米の古豪ウルグアイ相手に結果を出したことは、今後のチーム作りにおいて明るい材料と言えるだろう。まだW杯主力組が参戦して2試合だが、「融合」は順調に進んでいると見ていい。


五輪に出場した選手が、6年後のW杯で主力となるサイクル

 そして世代交代である。これまでの日本は五輪チームの主力が6年後にW杯の主力に切り替わるサイクルが多かった。1996年アタランタ五輪のGK川口能活、DF松田直樹、MF中田英寿らが2002年日韓W杯の主力になった。2006年のドイツW杯では2000年のシドニー五輪の主力であるDF宮本恒靖、MF中村俊輔、FW柳沢敦らだった。そして2010年の南アフリカW杯では2004年のアテネ五輪のDF田中マルクス闘利王とDF駒野友一、MF阿部勇樹、MF今野泰幸、MF松井大輔、FW大久保嘉人らが主力となった。

 南アフリカW杯後、日本代表では2008年北京五輪の主力だったMF本田圭佑、MF香川真司、DF長友佑都、DF吉田麻也、FW岡崎慎司らが一気に台頭し、2014年ブラジルW杯の主力となった。もちろん、そのこと事態は悪いことではない。問題はその先で、彼らを突き上げる選手がいなかったことだ。本田、長友、香川、吉田、岡崎は今夏のロシアW杯まで主力メンバーを務めた。

 そこで“谷間”となったのが、2012年ロンドン五輪に出場したメンバーだった。DF酒井宏樹とDF酒井高徳、MF宇佐美貴史とMF山口蛍ロシアW杯メンバーに入ったものの、今も主力として残っているのは酒井宏しかいない。4位になったロンドン五輪のチームで活躍したFW永井謙佑やFW大津祐樹らは、結果的に「谷間の世代」ということで消えていった印象が強い。

 そんなサイクルにくさびを打ち込んだのが森保監督であり、2016年リオデジャネイロ五輪世代だった。南野、中島、遠藤、室屋であり、長く続いた北京五輪世代中心のチームに新風を吹き込んだとも言えるだろう。さらに堂安、DF冨安健洋という2020年東京五輪世代も台頭してきている。

 ウルグアイ戦の前半途中、右サイドで堂安、酒井宏、遠藤、南野らが狭いスペースでウルグアイのお株を奪うようなショートパスを落ち着いて回した。これまでの日本には見られなかったプレーである。南野と中島はワンタッチで屈強なウルグアイのマーカーを無力化するなど、異次元のプレーを見せた。日本サッカーは新たな世代の出現と、これまで支えてきた選手の「融合」で、違うレベルにステップアップするのではないか。そう期待させるウルグアイ戦でもあった。


(六川亨 / Toru Rokukawa)

若手が躍動し、強豪ウルグアイ代表に勝利した森保ジャパン【写真:田口有史】