初陣コスタリカ戦で6人、パナマ戦で4人交代 ウルグアイ戦ではわずか2人

 森保一監督率いる日本代表は、16日のウルグアイ戦で4-3と勝利し、新体制3連勝を飾った。FIFAランキング54位の日本にとって、同5位の格上を撃破する一戦となったが、森保監督は交代6枠中2人のみを起用。なぜ新体制で最少の交代人数となったのか。指揮官の試合後コメントから、その理由が浮かび上がった。

 初陣となった9月のコスタリカ戦(3-0)では、直前のチリ戦が北海道地震の影響で中止となった影響もあり、後半23分から徐々に交代カードを切って6枠をフル活用。12日のパナマ戦(3-0)でも後半21分から投入し、最終的に4人を途中出場させた。

 新体制発足直後とあって様々な組み合わせをチェックしており、ロシアワールドカップ(W杯)主力組6人を招集した10月シリーズでも事情は同じだ。世代間の融合と化学反応がテーマとなっており、指揮官はメンバーを入れ替えながら様々なテストを行っている。

 そうして迎えたウルグアイ戦では、GK東口順昭(ガンバ大阪)、DF長友佑都ガラタサライ)・吉田麻也サウサンプトン)・三浦弦太(G大阪)・酒井宏樹マルセイユ)、MF柴崎岳(ヘタフェ)・遠藤航シント=トロイデン)・中島翔哉ポルティモネンセ)・南野拓実ザルツブルク)・堂安律フローニンゲン)、FW大迫勇也ブレーメン)が先発した。

 前半10分に南野が先制ゴールを決めるも、同28分に被弾。1-1で迎えた同36分に大迫が勝ち越しゴールを奪ったが、後半12分に同点弾を献上して振り出しに戻った。しかし同14分に堂安が鮮やかな一撃を流し込むと、同21分には南野が2点目を叩き込む。その後1点返されたが、4-3で逃げ切った日本が勝利を収めている。

 ウルグアイハーフタイムに2枚替えを敢行し、後半19分に3枚目のカードを切った一方、森保監督は後半29分まで静観。ようやく動いたと思えば、柴崎に代えてベテランMF青山敏弘サンフレッチェ広島)を投入し、終了間際の同42分に中島を下げてMF原口元気ハノーファー)を起用した。その後は動かず、最終的に2人のみの交代で試合は終了している。


世界5位の強豪を相手に、多くの選手に経験を積ませる選択肢もあったが…

 ウルグアイ戦後の会見で森保監督が発した言葉が、交代2人の理由を端的に示す。「勝ちにこだわってやっている」。その一言に大分部が集約されていると言っていいだろう。

「攻撃的な姿勢でやれたのが良かった一方で、失点は減らせたと思う」

 収穫と課題を指摘した指揮官は、攻撃面を高く評価した。大迫、南野、中島、堂安の攻撃カルテットが存在感を放ち、ウルグアイから4ゴールを奪取。森保監督は「融合という意味では、今のベストを出してくれた。上手くいかない部分はあっても、トライしている段階。より良いものを作っている段階と考えて、ベストのトライをしてくれている」と選手たちを称賛した。

 観客だけでなく、森保監督もまた魅了された一人だったようだ。日本の攻撃が機能している間、指揮官は交代の素振りを見せず、4ゴールが生まれた。疲れが見え始めた後半29分にようやく青山を投入したが、それも“チームの原型”を残しながらの最小限のテコ入れだ。強豪相手に多くの選手に経験を積ませるという選択肢も確かにあった。だが、指揮官は「今のベスト」を披露した布陣の維持を優先したと言える。

 果たして、指揮官が選択した結果はどうだったのか。もちろん、「たら・れば」の答えなど誰にも分からない。しかし、多くのファンが日本代表の戦いぶりに期待感を膨らませ、満足感を得たという事実がひとつの回答だろう。


Football ZONE web編集部・大木 勇 / Isamu Oki)

日本代表を率いる森保一監督【写真:田口有史】