ウルグアイ戦で二度目の共演を果たした海外若手トリオ、黄金のカルテットに比肩の予感

 森保一監督率いる日本代表は、16日のウルグアイ戦で4-3と勝利し、ロシアワールドカップ(W杯)後の新体制で3連勝を飾った。南米の雄を撃破した一戦で輝きを放ったのが、MF南野拓実ザルツブルク)、MF中島翔哉ポルティモネンセ)、MF堂安律フローニンゲン)だ。かつてジーコ体制で実現した“黄金のカルテット”に匹敵する期待感をファンに与えており、“黄金の2列目”が日本サッカーの新たな象徴となる予感が漂っている。

 かつてブラジル代表でジーコ、トニーニョ・セレーゾ、ファルカン、ソクラテスの実力者が並び“黄金の中盤”と称され、それにならって名づけられたのが和製・黄金のカルテットだ。中田英寿中村俊輔小野伸二稲本潤一の4人がジーコジャパンの初陣となった2002年10月のジャマイカ戦で初共演し、サッカーファンの心を鷲掴みにした。

 日本サッカー史に刻まれる4人組に比肩する興奮をもたらしているのが、南野、中島、堂安の海外若手トリオだ。森保体制の初陣となった9月のコスタリカ戦(3-0)で初共演。その試合では南野がシュート5本で1ゴール、中島と堂安がそれぞれ3本ずつシュートを放つなど圧倒的な攻撃性能を見せつけた。そして二度目の共演となったウルグアイ戦でも強烈なインパクトを残している。

 トップ下に入った南野は華麗なターンから3試合連続ゴールを叩き込めば、こぼれ球に反応して1試合2ゴールと圧巻のパフォーマンスを披露。南野の先制弾をアシストした中島も左サイドハーフで躍動。強烈ミドルでFW大迫勇也ブレーメン)のゴールを誘発すると、DF長友佑都ガラタサライ)も驚愕するドリブルでDFマルティン・カセレス(ラツィオ)を翻弄した。

 さらに右サイドハーフで起用された堂安は、相手に競り負けないキープ力を発揮し、流れる動きと華麗なフェイントでベテランDFディエゴ・ゴディン(アトレチコ・マドリード)をかわして代表初ゴールをマーク。強烈な左足シュートから南野の2点目を呼び込んでいる。


3人に共通するのは? 長友も絶賛「僕自身もやっていて、久しぶりに日本代表強いなと」

 3人に共通するのは、高い得点力とアシスト力を兼備し、局面を単独で打開できるアタッカーという点だ。南野は切れ味鋭いターンでマークを剥がし、中島と堂安は果敢にドリブルを仕掛ける。長友らW杯組も舌を巻くテクニックを有しながら、強気に突破も図る姿勢が観る者の心を捉えて離さない。

 とりわけボランチ、サイドバックが絡んだ時の重厚な攻撃は迫力十分で、森保監督も「前線の4人プラス、ボランチやサイドが絡む、縦パスをどう入れるかというチームとしての共通理解が進んだことが良い結果につながったと思う」と、ウルグアイ撃破の勝因を分析している。

 3人が並んだ2列目は、どこからでもゴールを狙うだけでなく、どこからでも起点に馴れる強みがあり、その“ワクワク感”はかつての黄金カルテットに比肩すると言っても過言ではないだろう。長友をして「僕自身もやっていて、久しぶりに日本代表強いなと」の言葉を残している。

 森保監督も2列目に大きなポテンシャルを感じ取ったようだ。「3人はもちろん、チームとして攻守ともにアグレッシブに入ることをやってくれた」と評し、さらに次のように続けた。

「実際、その3人は得点にも絡んでくれ、チームの攻撃を引っ張るという気持ちを持ち、得点に絡むというアグレッシブさでプレーしてくれた。結果もついてきて、さらなる自信になったと思う。チームにさらに良い形で落とし込んでいけるように監督としてつなげていきたい」


リオ五輪世代の中島と南野が阿吽の呼吸「イメージ通り」 堂安も連係に手応え

 当の3人はウルグアイ戦でどんな感触を得たのか。2ゴールの南野は「翔哉がボールを持ったらクロスもあるし、速いパスもつけてくれると試合前にも話していた。イメージ通りのプレーだった」と阿吽の呼吸に自身を覗かせた。

 一方の中島も「他の選手も動いていて、あのスペースが空いて、拓実が良いコントロールの質で決めてくれた。ずっと一緒にやっているので分かっている」と賛辞を送っている。

 また代表初ゴールの堂安は「森保さんのサッカーでは3人目の動きが関わる。それが代表に参加して変わったところ。僕だけがボールを持てる選手ではないので、オフ(ザ・ボール)で動くことも考えている」と語り、コンビネーションに確かな手応えを得たようだ。

 現在、リオデジャネイロ五輪世代の南野が23歳、中島が24歳。東京五輪世代の堂安が弱冠20歳。2022年のカタールW杯を見据えた時、若手トリオは選手として働き盛りの年齢を迎えている。期待膨らむ2列目トリオが、日本代表の旗頭となるのだろうか。


Football ZONE web編集部・大木 勇 / Isamu Oki)

(左から)日本代表MF中島、MF南野、MF堂安【写真:田口有史&Getty Images】