以前にも何度か書きましたが、うちのような築古マンションのリノベーションでは「古い設備をいかに新しいインテリアと調和させるか」が課題になります。
今年工事した部屋でも古い設備を活用するようこころがけましたが、とくに重視したのは、仕方なく残すというよりは、なるべく「積極的に古さを活かせる方法」を考えようということでした。
今回は、古いマンションの魅力を少しでも活かせる工夫をご紹介します。
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まずは、リノベ前の写真から。
便器の古さもさることながら、壁面の白タイルと床の水色タイルの組み合わせが、「ザ・昭和」的古くささを感じさせます。
目地にたまった汚れも残念。
これまでの工事では、ドアの位置も変え、床も壁も新しい壁を造作して塗装していました。
申し分なくきれいになるのですが、間取りを変えることもあり、それなりの費用がかかるのが困ったところ。
ならば、今回は便器のみを新しく交換し、間取りそのままで既存のタイルもうまく活かしてみようと試みました。
残すのは壁の正方形のタイル。ポイントは塗装です。「タイルに塗装なんてできるの?」と思われるかたもいると思います。
ひと昔前なら、タイルには塗装がのらないと考えられていました。
現在では、下地の素材と塗料を密着させる技術の開発が進み、タイルへの塗装も可能になったそうです。塗装後のタイルは、こんな感じ。
目地の汚れなども見えなくなり、ツヤのない落ち着いた質感になりました。
注意したいのが、通常の塗装などにくらべると、若干強度は劣るということ。
塗装がはがれてしまえば、下地が見えてしまうので、要注意です。
今回は白タイルを白で塗装したので、多少の傷なら目立たないと思いますが、床のように頻繁に摩擦が加わる箇所のタイル塗装はやめておいたほうがいいでしょう。
ということで、床にはDIYで青と黒のミックスタイルを新たに貼りました。
塗装も済んで完成した写真がこちら。
ガラリと雰囲気が変わって、おしゃれになりました。
下地のブロックを現しにしてインテリアのアクセントに
いつものリノベならトイレのドアがつくはずの箇所には、既存のブロック壁の風合いを活かした空間を作りました。
この壁は今回のリノベーション工事の目玉のひとつ。うちの物件では、いたるところにブロックが建材として用いられています。
昔はそのうえから左官をほどこしたり、木材を貼ったりして隠していました。
この壁も木目調の化粧板が貼られ、かつては棚として使われていました。
でも、今はブロックをむきだしにするのが、インテリアのアクセントになる時代。
今回は、工事業者さんと解体時に打ち合わせして、この壁を残してもらうことにしました。
とはいえ、解体してみると、配線を埋めた跡なども目立ち、想像以上に荒々しい状態。
「塗装するだけで大丈夫か?」と一抹の不安がよぎったりもしましたが、最終的に塗装が施されると、むしろ「おとなしすぎたかな」と思うくらい、部屋になじむ壁に仕上がりました。
ブロック壁は、露出配管や工業系の照明との組み合わせに最適。
フックや折りたたみ棚なども取り付けて、壁のレイアウトを考えるのは楽しい作業でした。
中古マンションを購入してリノベーションする方にはぜひトライしていただきたいです。
小物だけで建具の印象はガラリと変わる
交換しようとすると費用がかかる代表が建具です。
トイレのドアにシューズボックス、クローゼットに間仕切り引き戸と、ぜんぶ替えようとすれば目が飛び出るような見積もりが上がってきます。
そこで、既存の建具をアレンジして、雰囲気を変えることが重要になってきます。まず、トイレのドア。
ドアノブなども含めて昔のままですが、塗装をしなおしてサインプレートを付けました。
アイアンのプレートは、以前買ったものの、使わないでストックしていたもの。
今回の部屋では、ところどころにアクセントとしてブラックを用いているので、うまくハマるかと期待して設置しました。
クローゼットも状態が良好だったので、そのまま残しましたが、
取っ手のデザインが部屋の雰囲気と合わなかったので交換することに。
この日記ではおなじみのtoolboxで見つけた取っ手に付け替えました。
ざらっとした質感の黒の取っ手で、ぐっと雰囲気が大人っぽくなりました。
ちなみに、新規の建具もあえてメーカー製は避け、toolboxで手配したものを採用。
小物ひとつで建具の雰囲気は変わりますね。DIYのハードルも低いので、自分でトライするのもアリです。
欄間窓+ボルト穴で天井まわりも既存の設備を活用
「積極的に古さを活かす」という意味で成功だったのが、間仕切り引き戸の上に設置されていた「欄間窓」。
よく団地などにも設置されている、築古マンションではおなじみの建具です。
うちの欄間窓には「型板ガラス」と呼ばれる凹凸のあるガラスが入っており、視線はゆるやかにさえぎりつつ、隣室の明かりをほんのり感じさせてくれます。
もともとは予算の関係で残していた設備なのですが、入居者や内見にいらした方々からは評判がよく、それ以来、積極的に残すようになりました。
その欄間窓に隣接する天井は、もともと設置されていた天井を撤去し、躯体あらわしに。古い配管なども隠さず塗装だけを施しました。
元の天井を吊るしていたフックがねじこまれたいたボルト穴を埋めずに残し、
「アイボルト」と呼ばれる円形のフックを設置。これで天井の使い勝手が劇的に変わります。
ペンダント照明の位置を変えたり、グリーンやモビールを吊るしたり、ハンモックを吊るしたり、とさまざまな使い方が可能です。
天井を解体する際には、ぜひこのボルト穴を残すことをオススメします。
古い照明や配電盤は劣化による漏電に注意
要注意なのが、電気関係の設備です。
玄関に設置されていたボール型の照明は、レトロな雰囲気が気に入ったので、当初は残す方向で検討していました。
ところが、電気屋さんが照明を取り外してみると、中のコードは経年の劣化でかなり傷んでいました。
「これはいつ壊れて漏電してもおかしくないよ」と言われては、あきらめるしかありません。
結局、toolboxのショールームで見つけたフロストガラスのレトロな雰囲気の照明を導入することにしました。
築50年ともなれば、思いがけない設備の劣化があって当然。
予想できる危険はなるべく避けようということで、配電盤も交換しました。
「古さを活かす」のは魅力的ですが、インフラ関係にはご注意いただきたいと思います。
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