10月9日から12日にかけてチェコプラハで、第42回世界オセロ選手権が行われ、日本人の福地啓介くんが優勝を果たした。驚くべきはその年齢であろう。福地くんは11歳の小学5年生。もちろん歴代最年少の優勝記録である。この記録が塗り替えられたのは実に36年ぶりであった。

 さらにミラクルは続く。帰りの飛行機の機長が、これまで15歳での最年少優勝記録を保持していた谷田邦彦機長であったのだ。これは福地くんの優勝を想定し、谷田機長を配置したANA(全日空)の粋な計らいだったようだ。

 シンプルなルールで世界中で親しまれているオセロは、実はメイドインジャパンのゲームとして知られる。オセロの発案者は、茨城県出身の長谷川五郎氏(2016年没)である。長谷川氏は囲碁のルールがわからなかったため、碁石を挟んで相手の駒を取るゲームを発案し楽しんでいた。その後、製薬会社の会社員となった長谷川氏は、同僚の女性から簡単なゲームを教えてほしいと求められる。そこで囲碁のゲームを思い出し、牛乳瓶の蓋の両面を塗ってコマを自作した。ゲームは同僚のほか、営業先の病院の入院患者などに好評であり、ルールをシンプルなものに整理しオセロの原型ができあがった。

 オセロと命名したのは長谷川氏の実父であった英文学者の長谷川四郎氏(1982年没)である。シェークスピアに同名の戯曲があり、黒人と白人の登場人物が入り乱れる設定に、オセロの世界観を重ねたのだ。茨城県ではオセロ発祥の地として、お土産オセロチョコレートなどが売られている。

 オセロに似たボードゲームとして、イギリス発祥のリバーシがある。ただ、こちらは最初に置くコマの位置などが定まっていない。リバーシをシンプルに改良したものがオセロだといえる。日本発のゲームから11歳の日本人チャンピオンが誕生するのは喜ばしいといえるだろう。

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