夏の暑さが陰りを見せ、少しずつ秋を感じるようになってきました。秋と言えば紅葉が思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。少し標高が高い場所にある城は、紅葉の鑑賞スポットに最適!今回は西日本にある紅葉の名所となる城をイベントやライトアップの情報と一緒に紹介。西日本の今年の紅葉の見頃は11月中旬と予想されています。


[彦根城]大名庭園を彩る秋の錦

玄宮園、天守、紅葉、彦根城

玄宮園から見た彦根城の天守。赤い紅葉と白く映し出された天守の対比が美しい

「井伊の赤備え」で有名な井伊家の居城だった彦根城滋賀県)。国宝指定されている天守をはじめ、建物や石垣などが往時とほとんど変わらない姿で残っています。彦根城では城全体で紅葉を楽しむことができますが、特に見事なのが城主の庭園だった玄宮園。紅葉に彩られた天守を望める他、庭園全体に広がる魚躍沼(ぎょやくしょう)では逆さ紅葉を見ることも可能です。紅葉シーズン中は玄宮園への夜間入園ができるライトアップイベントも開催されます。


[城名]彦根城

[見頃]11月下旬〜12月上旬

[イベント名]錦秋の玄宮園ライトアップ

[開催時期]11月17日(土)〜12月2日(日)

[アクセス]JR彦根駅から徒歩約15分


[二条城]古都・京都を彩る綾錦

二条城、天守台、紅葉、水堀

二条城の天守台からは城全体を見わたすことができる。水堀と紅葉、御殿と紅葉など二条城ならではの光景を堪能しよう

二条城(京都府)は、徳川家康が上洛時の江戸幕府将軍の宿所として築いた城。幕末に15代将軍・徳川慶喜が大政奉還を宣言した場所としても知られています。紅葉の名所として名高い京都ですが、二条城もその例に漏れず美しい紅葉が楽しめます。堀や石垣と紅葉のコラボレーションは他の寺院では見られない光景なので、京都に紅葉を見に行く際は旅程に入れてみては。二条城では現在「二条城まつり2018」が行われていますが、11月からは紅葉をライトアップする「FLOWERS BY NAKED2018」が開始予定です。


[城名]二条城

[見頃]11月中旬〜12月上旬

[イベント名]二条城まつり2018

[開催時期]9月28日(金)〜12月9日(日)[「FLOWERS BY NAKED2018」は11月3日(土)〜12月9日(日)]

[アクセス]地下鉄二条城前駅から徒歩約5分


[姫路城]秋冷や白鷺の城も綾衣着て

姫路城、櫓、長堀、紅葉

姫路城の櫓や長塀の合間からのぞく色とりどりの紅葉は、ジオラマをのぞいているような鮮やかさだ

2015年に「平成の大修理」が終わり、“白鷺城”の名にふさわしい白さを取り戻した日本初の世界遺産姫路城兵庫県)。来城者数が日本1位ということもあり、年間を通して城を楽しむことができますが、紅葉色づく秋もオススメ。赤や黄色に彩られた木々と白亜の城の見事なコントラストは、ぜひ見て欲しい景色です。隣接する庭園・好古園では、姫路城を背景に紅葉を楽しむこともできます。


[城名]姫路城

[見頃]11月中旬〜12月中旬

[イベント名]なし

[アクセス]JR姫路駅からバス「大手門前」下車、徒歩約5分


[和歌山城]大名庭園で楽しむくつろぎのひととき

和歌山城、紅葉、紅葉渓庭園、池

和歌山城の紅葉渓庭園の紅葉。鮮やかな紅葉が池に映り込むさまが、何とも言えない風情を醸し出している

徳川御三家の一つ・紀州徳川家の居城だった和歌山城(和歌山県)。昭和時代に国宝に指定された天守は惜しくも空襲で焼失してしまいましたが、戦後に再建され2018年に再建60年を迎えています。江戸時代初期に造られた西の丸の庭園は、「紅葉渓庭園」の通称を持ち、秋には美しい景色が見られます。庭園内にある茶室紅松庵では、色づいた木々たちを鑑賞しながら、抹茶を楽しむことができます。


[城名]和歌山

[見頃]11月下旬〜12月上旬

[イベント名]なし

[アクセス]JR和歌山駅からバス「公園前」下車、徒歩約5分


[岡山城]天守から見る紅葉楽土

岡山城、ライトアップ、紅葉

ライトアップされた岡山城。天守から眺めるのも良いが、城下を流れる旭川から天守を見上げるのも乙だ

岡山城(岡山県)は、天下人・豊臣秀吉に実子のように可愛がられた宇喜多秀家が近世城郭へと改修した城。漆黒の外観に金箔瓦が輝く天守は秀吉の大坂城天守を真似たものと言われています。紅葉見頃時期には「秋の烏城灯源郷」が開催。天守とその周辺が提灯や灯篭で幻想的に照らし出されます。イベント期間中は天守の夜間開館も行われるので、他では見られない天守からの夜の紅葉を楽しんでみてください。隣接する岡山藩主の庭園・後楽園から見る紅葉と天守も見事です。


[城名]岡山城

[見頃]11月中旬〜12月上旬

[イベント名]秋の烏城灯源郷

[開催時期]11月16日(金)〜11月25日(日)

[アクセス]JR岡山駅からバス「県庁前」下車、徒歩約5分


[備中松山城]雲海に浮かぶ紅葉の城

備中松山城、紅葉、雲海

山上にある備中松山城の天守周辺は空気も清々しく、紅葉がいっそう美しく感じられる

鎌倉時代に築かれた砦を起源とする備中松山城(岡山県)。山城で唯一天守が残る城として人気が高く、2016年には大河ドラマ「真田丸」のオープニング映像のロケ地になったことでも話題になりました。秋になると大手門や本丸付近が紅葉で赤く染まります。気象条件が整えば、雲海の中に紅葉と天守が浮かぶ幻想的な光景を見ることもできます。


[城名]備中松山城

[見頃]11月上旬〜11月中旬

[イベント名]なし

[アクセス]備中高梁駅からバス「松山城登山口」下車、徒歩約50分


[津山城]一二三の石垣に施された秋化粧

津山城、石垣、紅葉

2015年に復元された備前櫓と紅葉。津山城の要塞のような厳しい石垣も、秋は華やかに紅葉化粧をする(津山市観光協会提供)

織田信長の小姓として有名な森蘭丸の弟・忠政が築いた津山城(岡山県)。現存建物はありませんが、「一二三段」と呼ばれる幾重にも折り重なった石垣が残っています。「日本さくらの名所100選」にも選ばれた桜の名所として有名な津山城ですが、実は紅葉も見事。約300本のモミジが色づき、普段は厳しい石垣を華やかに染め上げます。11月中旬には「津山モミジまつり」が開催され、ライトアップやグルメフェスティバルなどが行われます。


[城名]津山城

[見頃]11月中旬〜11月下旬

[イベント名]津山紅葉まつり

[開催時期]11月中旬予定

[アクセス]JR津山駅から徒歩約10分


[伊予松山城]幻想的な庭園ライトアップ

伊予松山城、紅葉、ライトアップ

ライトアップイベントされた伊予松山城の二之丸史跡庭園には和傘などの小物も置かれ、幻想的な空間が演出される(二之丸・堀之内管理事務所提供)

賤ヶ岳の七本槍の一人・加藤嘉明が築いた伊予松山城(愛媛県)。現存12天守の一つである連立式天守は幕末に再建された最後の天守建築です。二之丸跡に整備された二之丸史跡庭園は、秋になるとヤマモミジが色づき日本庭園と見事な調和を見せてくれます。11月中旬ごろからは庭園のライトアップも開催予定。「恋人の聖地」にも認定されている庭園でロマンチックな紅葉のライトアップを楽しんで見ませんか?


[城名]伊予松山城

[見頃]11月中旬〜11月下旬

[イベント名]二之丸光の庭園

[開催時期]11月中旬〜11月下旬

[アクセス]JR松山駅からバス「大街道」下車、徒歩約5分


[高知城]並木道を彩るイチョウ絨毯を歩く

高知城、追手門、天守、紅葉

高知城の追手門方面から見た天守。色鮮やかな紅葉に彩られた天守の姿が楽しめる

幕末の風雲児坂本龍馬を輩出した土佐藩の居城・高知城(高知県)。全国で唯一、天守と御殿の両方が現存している城でもあります。四季折々の花木を楽しめる城内は、秋にはモミジやイチョウなどを目当てにたくさんの人びとが訪れる紅葉の名所です。三ノ丸の並木道には絨毯のようにイチョウが降り注ぎ、周囲の石垣に鮮やかな黄色の化粧が施されます。


[城名]高知城

[見頃]11月下旬〜12月中旬

[イベント名]なし

[アクセス]JR高知駅からバス「高知城前」下車、徒歩すぐ


[秋月城]小京都で感じる秋の情緒

秋月城、黒門、紅葉

町を見下ろす位置にある黒門は、秋月のシンボルとして親しまれている

秋月城(福岡県)は初代福岡藩主・黒田長政の三男・長興が立藩した秋月藩の居城。風光明媚であることから「筑前の小京都」とも称される秋月の中心地でしたが、現在は2基の門と水堀・石垣がわずかに繁栄の面影を伝えるのみです。城跡は長興を祀る垂裕神社となっており、城の大手門を移築した神門(通称・黒門)の周辺では毎年約20本のモミジが色づき、多くの観光客で賑わいます。


[城名]秋月城

[見頃]11月下旬〜12月上旬

[イベント名]なし

[アクセス]甘木鉄道甘木駅からバス「博物館前」下車、徒歩約10分

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この秋に行きたい!艶やかな紅葉が美しい10城<東日本編>


執筆・写真/かみゆ歴史編集部

ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。かみゆ歴史編集部として著書・制作物多数。