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政府がこれまでの方針を大転換させ、いよいよ日本は“移民大国”になろうとしている。

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外国人労働者の受け入れ拡大に向け、政府は新たな制度について来年4月の導入を目指している。一定の技能水準と日本語能力を身につけた外国人を対象に、新しい在留資格を新設し、条件次第では家族帯同や長期滞在が認められるようになる。

新制度では建設や農業などの“単純労働”も対象としており、この部分が大転換だ。

これまで、就労目的の在留資格は「高度な専門性」を持った人材に限定していた。建前上「外国人の単純労働は認めない」としていたが、現実は飲食店を中心に都市部のサービス業は外国人労働者によって支えられている。

コンビニファストフードなどはその典型だ。日本で働く外国人労働者の数は、年々増加しており、去年は128万人と過去最高になった。「留学」や「国際貢献」を目的とする“技能実習”の名目で入国する外国人が56万人もいて、実際には彼らが「出稼ぎ労働者」となっている。

今回の方針大転換は、特定の業種と中小企業を中心に人手不足が深刻化し、政府に泣きついたからだ。しかし、低賃金の外国人労働者の流入は、日本経済に大きな問題を引き起こす。日本人の賃金相場を引き下げる可能性があるからだ。

 

「超低賃金」時代!?本格『移民』受け入れでみんな不幸になるワケ

安易な移民政策は全員が不幸になる

経済評論家三橋貴明氏はこう語る。

「技能実習生はすでに最低賃金以下で働かされるケースが頻発している。日本人は今後、安い賃金でも働く外国人との間で賃金切り下げ競争をさせられる。かつて西ドイツは、50年から55年までの経済成長率は10%だったが、55年に移民受け入れを始めて以降、6%弱に急降下した。人手不足を人材教育や機械・設備投資によって解消しようとすることで経済は成長する。移民受け入れで埋めてはならない」

全国紙の経済部デスクもこう指摘する。

「安倍内閣はアベノミクスによってデフレ脱却と日本人の賃金上昇を目指していたはず。外国人労働者の受け入れは、それとは逆行する政策だ」

米国にこんな例がある。米国で『いちご摘みロボット』の開発が急速に進んでいる。全米のいちご生産量の90%をカリフォルニア州が占め、収穫作業はこれまで低賃金で働く中南米移民によって支えられていた。しかし、トランプ大統領が厳しい移民政策を打ち出し、働き手が不足するおそれが出てきた。最近は2000円以上の時給を出しても人が集まらない。そこで、あるロボットメーカーがAIで最適な収穫時期を識別するロボットを開発し、今年1月から収穫実験を開始した。19年の商業化を目指しているという。

前出の三橋氏は日本の会社経営者の意識も問題視する。

中小企業経営者に『不景気になって人手が余ったらどうする』と質問したら、彼らは『外国人労働者リストラするしかない』と言っている。結局、現時点で安い労働力が欲しいだけ。こういう政策は外国人に対して失礼だ」

人手が集まらなければ、まずは従業員募集の際の賃金を上げる。それで効果がなければ、機械やロボット導入などで生産性向上を図る。企業が取るべき人手不足への対応策は、これが王道であり、順番ではないのか。

景気には循環があり、景気の悪い時期は必ずやってくる。それを忘れてはならない。

 

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