NHK総合ほかで放送中の連続ドラマ小説「まんぷく」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか)。10月20日(土)放送の第18回で福子(安藤サクラ)と萬平(長谷川博己)ついに結婚した。

【写真を見る】10月22日(月)放送の第19回で、結婚した福子(安藤サクラ)と萬平(長谷川博己)は貧しいながらも幸せな新婚生活を送る

福田靖の脚本による、福子とその夫・萬平の成功物語で、インスタントラーメンを生み出した実業家である安藤百福氏と妻・仁子氏の半生をモデルに、戦前から高度経済成長期にかけての激動の時代を舞台にたくましく生きる夫婦の姿を描いている本作。

紆余曲折を経て、2人の関係に反対していた福子の母・鈴(松坂慶子)の心をもついに溶かし、結婚を果たした福子と萬平のこれからにさらに注目が集まっている。

今回、営業担当として萬平と会社を共同経営していたが、軍需物資横領の罪を萬平に被せた加地谷圭介を演じる片岡愛之助が、本作への出演が決まったときの気持ちや、役作り、現場の印象などを語った。

■ 加地谷には共感できない

――「まんぷく」に出演することが決まったときのお気持ちは?

長年役者の仕事をしていると、夢や抱負が見つけにくくなっていくんですが最近「あ! “朝ドラ”に出たい」と思いついて、2018年の抱負をそう答えていたんです。だから「やったー! 夢がかなった!」と、ガッツポーズが出るような、面接に受かったような喜びでした。

僕は大阪の人間ですし、実家も堺。上方の歌舞伎俳優として、ぜひ大阪で作る“朝ドラ”に出たいなと思っていたら「まんぷく」のお話をいただいて。すごくうれしかったですね。

――ご自身の役柄についての印象や、演じるうえで楽しみにしていること、役のここに注目してほしいという点などはありますか?

僕個人として、加地谷には全く共感できないですね(笑)。似たところもないし、始めは加地谷の人物像は理解不能でした(笑)。

でも台本を読みながら、この人はどんな人で、どう進めたいのかな…と一つずつ丁寧に考えていき、ようやく理解できたんです。なるほど、そう振舞うのも仕方ない時があるよね…という感じで今は納得できています。

自分にはない塊を、演じるのが面白いんです。そう感じるんだ、そっちに進んじゃう!? と、つっこみどころが満載です。加地谷は悪い人ではないけれど、どんどんステップアップしたい野心家で、上から目線が引っかかる、ちょっと損な生き方をするキャラクターの人物ですが、戦争のあるこの時代が彼を変えてしまいます。

彼は戦争をビッグビジネスのチャンスと捉えて戦争景気に乗って勝ち組に入ろうと奮闘しますが、そのせいで闇を抱えてしまう。考え方によっては、かわいそうな人物です。

萬平のことは、共同経営者として彼のひらめきや腕前を認めていました。でも、その才能を目の当たりにするうちに、だんだんと嫉妬のような感情が心に宿ってしまい、そして自分が何も持っていないのだと気付いてしまいます。

もともと自己顕示欲の強い加地谷にとって、それはとてもつらいことだったはずです。従業員二人だけの会社なのに、事あるごとに萬平に「俺が社長やぞ!」と念押ししたり、二人で会話しているのに、いつも最後に「そうやな、立花」と名前をつけたりしているのは、加地谷の“俺が俺が精神”の表れだと思います。

普通、二人しかいないときに相手の名前をいちいち呼ばないですよね。台本を読んでいて「どれだけ圧力かけるねん!」と思いましたよ(笑)。

そんな人物が、「自分なんてたいしたことないんやろうな。金勘定しかできないし」とちょっとひがみだしたら、あらぬ方向性へ突き進むのもわかります。上下白のスーツでおしゃれして、すごく目立つのも自己顕示欲からでしょうね。

今まであまり演じてきていないタイプの人物で、新鮮です。一人の人間を演じるのに、アップダウンが大きいのも楽しいですよ。人間って誰でも大なり小なり、人生のアップダウンがありますからね。加地谷圭介として生きる事ができるのは、役者として幸せです。

■ カットがかかったら長谷川さんと楽しくおしゃべりしています(笑)。

――収録に参加されてみて、現場の印象は?

スタッフの皆さんが明るく面白く、とてもいいカンパニーです。それは、福子ちゃんと萬平さんが醸し出す雰囲気のおかげでもありますね。僕も、せりふは威圧的に言っていますが、カットがかかったら長谷川さんと楽しくおしゃべりしています(笑)。

実は、長谷川さんはうちの妻と過去に共演されていて。「妻がよろしくと言っていました」とお伝えしたら「え! 覚えていてくださったんですか!」と驚かれたんです。元夫婦役での共演だったので妻が忘れるわけないと思いますが、なんだかちょっと面白い方です。そのリアクション、ちょっと萬平さんっぽいでしょ(笑)。

安藤さんとは共演シーンがあまりないので、スタジオでお会いすることも少ないですけれど、ベイビーにはよく会います。お父さん、お母さん、おじいさま、おばあさま、みんなにとってもよく似ていてかわいらしいんですよ。すごく癒されます。さっき一緒に写真をとって、安藤さんに見せたところです(笑)。

――放送を楽しみにしている読者の方々へのメッセージをお願いします。

この作品全体の魅力は、人と人との出会いや絆です。この時代だからこそ大変だったことって山ほどあるじゃないですか。今は携帯一つで無事が確認できますが、この時代はその場での情報しかないわけですから、人と人とのコミュニケーション、言葉の一つ一つがすごく大切だったと思うんです。

そんな中で紆余曲折の人生をどう生きていくかという、いい意味ですごく泥臭い物語。その泥臭さや描かれている愛を楽しんでもらえたらいいですね。ご覧になっていただいたら、きっとまんぷくになって楽しい一日をスタートできると思います。非常にわかりやすいので物語の世界に入りやすいですし、いろんな目線から共感できる。

安藤サクラさん、長谷川博己さんはじめ、役者陣も非常に豪華なので、ぜひ毎日見逃さないようにしていただきたいなと思います。

■ 第4週(10月22日[月]~27日[土])あらすじ

昭和19年、春。夫婦となった福子(安藤)と萬平(長谷川)は、貧しいながらも幸せな新婚生活を送っていた。しかし、戦況が激しさを増してきたため、反対する母・鈴(松坂慶子)を説得し、萬平の親戚を頼って3人で上郡に疎開することに。しかし疎開してしばらくすると、萬平に赤紙が来てしまう。覚悟を決めた萬平だったが、憲兵隊に受けた拷問が原因で、突然激しい腹痛に襲われる。(ザテレビジョン

連続テレビ小説「まんぷく」(NHK総合ほか)に出演中の片岡愛之助