「どうして下の子はかわいいのに、上の子をかわいがれないんだろう…」

「親なのに子どもをかわいいと思えないなんて…。母親失格かしら」

 これらのように、子どもを100%愛している自信が持てず、母親として「このままでいいのか…」とお悩み相談をいただくことがあります。でも、100%かわいいのが子どもではありません。子どもは自分とは違う一人の人間。わかりあえない部分があるのは当たり前なんです。

 子どもが大きくなればなるほど、近い存在であるがために、些細なことで親に反発したり、口悪く親を罵ったりするようになります。もちろん、これは「家族なら何でも言っていい」という甘えがあるからこそ。筆者が子ども時代を振り返っても、「どうしてあんなことを言ってしまったのだろう…」と、今では決して言わないような酷い言葉を軽率に発信していたと思います。

 また、家族だからといって、考え方がみな同じとは限りません。好みが違えば、これだけは譲れない!というこだわりもそれぞれ。母としてここだけは大切にして欲しいというものが伝わらず、「そんなもの」と吐き捨てられてしまえば、カチンとくるのも当たり前です。

 思い通りにしようとすればするほど、すれ違ってしまうのが親子。何があっても100%かわいい存在と考えるのではなく、一人の人として尊重し、相手の考えを受け入れる姿勢を忘れずにいること。そうすることで、親子関係がより風通しよく、あたたかくなっていきますよ。

 家族だからそうわかっていても、「どうしてこんなことを言われないといけないのか?」「こんな子に育てた覚えはないのに…」と、マイナスの感情が沸き起こってしまうことはあると思います。そんなときは、どんどん吐き出してOK。ただし、嫌な部分を吐き出す場所には注意してください。子どもの前で言うことだけは避けましょう。

 たった一度の母親からの言葉が突き刺さり、生涯恨みの気持ちを持ち続ける子もいます。そうならないためにも、パートナーや祖父母、ママ友、学校の担任など、モヤモヤや悩みを打ち明けられる居場所を持っておきましょう。そうすればイライラにとらわれず、スッキリと気持ちを切り替える機会をつくることができるでしょう。

 また、「どうしてもかわいくない!」「話すだけでイライラする!」と思ったら、少し距離を置いてみるのがオススメ。子どもを他の大人とのふれあいの場(習い事のキャンプや実家など)に送り出したり、新しい習い事に挑戦させたりするのもよいでしょう。子どにとっても、親と離れることで初めてありがたみがわかります。そんな機会に触れることが重要なのです。

 親子の関係性は、親子の数だけあります。自分の性格や期待、そして相手の思いやこだわりをお互いに押し付けるのではなく、受け入れようとすることがすべての始まりです。子どもにとっても、「あなたはこれを大切にしているのね」とわかってもらえる存在は、大きな安心と信頼の場になります。イライラしたときは自分の気持ちを優先していないかと立ち止まり、相手の心に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

Nao Kiyota)

アサジョ