第3週「そんなん絶対ウソ!」 第17回10月19日(金)放送より
脚本:福田 靖 
演出:渡邉良雄
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎

連続テレビ小説 まんぷく Part1

17話のあらすじ
福子(安藤サクラ)が三田村(橋爪功)にお願いしたことによって萬平(長谷川博己)はついに釈放される。

屋台で密会
16週の終わり、世良(桐谷健太)が竹ノ原大作(宮田佳典)に迫り、まさかこの実直そうな青年が萬平を陥れた犯人か・・・と思わせて・・・、
やっぱり竹ノ原は最初から萬平と共に働いていた人だから萬平を信じていた。
「それが断言できる理由?」と世良は唖然となる。

そこからにわかに浮上する謎の「遠藤社長」の存在。
加地谷(片岡愛之助)がたびたび会っていた遠藤社長は存在せず・・・その正体は、憲兵・村城啓治(平原テツ)だった。

村城と加地谷が密かに落ち合い、町中の屋台で変装もしないで堂々と話しているのは相当うかつじゃないかと思うが(華丸も「あさイチ」でツッコんでいた)、これがメインの話じゃないからいいだろう。
なにはともあれ、片岡愛之助(加地谷役)が極悪人!?
お金のために軍事物資横流しして憲兵と共謀し、その罪を萬平になすりつけていた。
でも単なる悪役にせず、ホンモノの才能(萬平)の前に為す術ない、お金を稼ぐことしかできない資本主義の代表として描かれる。
「立花は俺の希望やった」「戦争さえなかったらこんなことにならなかったのに」「日本は負けると思っている」と言う加地谷。そこに、立花の才能を戦争に生かせなかったことへの無念、そもそも戦争に貴重な才能を生かすことへの疑問などが渦巻いている。先を見越す目はそこそこ持っているが、自分では明るい未来を創ることができず、目先の現実に振り回されてしまった人間の悲劇を短い時間で強烈に訴えかけた。

麿赤兒、登場
加地谷と村城がしゃべっているところを、世良(桐谷健太)が聞いていた。
朝ドラ名物、立ち聞きがこんな形に(鈴的にいえば「座り聞き」でしょうか)。
世良の掴んだ証拠を携え、福子に頼まれた三田村は、元陸軍大将・神宮幸之助(麿赤兒)に頼みに行く。
「大阪の経済界にとっては大きな損失です」と福子に言われた通りのことを言っている三田村も調子いい。

「幸之助」という名前、幸は野呂“幸”吉と、之助は 牧善“之介”とかぶっている。

六平直政のあとは麿赤兒と皺に人生が刻まれまくった俳優たちが続々。
このへん、顔で闘う日曜劇場的である。
16話で書いた大河ドラマっぽさといい、朝ドラが日曜夜のドラマ化しているような・・・。
それで視聴率がいいのならそれでいいし、このまま朝ドラから大河ドラマに長谷川博己が2020年登場となると今年はちょっと元気のない大河ドラマも、ここで朝ドラ層を取り込んで一気に大復活するかもしれない。

釈放
ひじょうに理にかなった流れで、神宮が動き、萬平は釈放、加地谷は逃亡。

夜、福子が帰ってくると、家が暗い。
鈴がお風呂を沸かし直していて、みんな、福子を応援していて、私の味方はひとりもいない、とぶつくさ。
世良が来た。立花さんが釈放されるそうよ、と伝える。
翌日、福子は世良と萬平を迎えに行く。
「大丈夫か」と世良は近寄るが、萬平の目には福子しか見えない。
「福子さん」と泣き崩れる。
世良さん・・・。
でも彼は全然へこたれない。調子よく自分が尽力したとアピール。
ついでに「パーティーは敵性語だったな」とこのご時世のお話もちゃんと出す。
加地谷も世良も三田村も時代が変わっていく中で風を読みながら生き抜いていく抜け目ない人物たち。善悪を超えた怪人たちの知恵比べが面白い。昭和のミステリー風味も盛り込んだこのあたりは新しい朝ドラになっている。

眼鏡で浴衣の萬平さん。
ほんとうに声が枯れている。叫びすぎてリアルに声が枯れているのかと思ってしまうほどだ。

福子が毎日お弁当をもって萬平の家に訪れていた。
夏の終わりが近づいた季節。17話の最後の窓の外から撮ったカットはポスターになりそうないい画。
あさイチ」では大吉さんが「今日はお赤飯炊きましょう」。ほんとによかった。

今日の鈴さん
福子「許してくれてますから」
鈴「許してるわけないやない!」

やっぱり憲兵より手強そうだ。

(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説まんぷく
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝ドラべっぴんさん」もBS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。 
戦後の街並にエキストラ大量投入している「べっぴんさん」第16話レビューはコチラ

連続テレビ小説 まんぷく Part1 (NHKドラマ・ガイド) NHK出版