左からYUIMETAL、SU-METAL、MOAMETAL(画像はBABYMETAL公式ツイッターのスクリーンショット)
メタルダンスユニット・BABYMETALは19日、YUIMETALの脱退を発表した。今後はSU-METALとMOAMETALの2名を中心とした新たな体制で活動していく。
海外のメタル愛好家からも高く評価されているBABYMETALだけに、米音楽誌『Loudwire』がウェブサイトで速報記事をトップニュースとして報じるなど、世界的に大きな話題となっている。
BREAKING: Yuimetal is no longer a member of Babymetal https://t.co/WC2soAtadT
— Loudwire (@Loudwire) October 19, 2018
■海外でも注目されるベビメタ
Loudwireのツイッターフィードには「速報:ユイメタルはもはやベビーメタルの一員ではない」の一文が添えられており、該当記事へのリンクが埋め込まれた。
記事にはグループの公式サイトが発表した声明文に加え、YUIMETALが「水野由結」名義で所属事務所サイトに発表した「ファンの皆様へ」と題する文章の英訳が掲載され、「ベビーメタルとミズノユイの続報を楽しみに待とう」との記述で締めくくられている。
BABYMETALの公式ツイッターにも、海外ファンからの「ユイが去るなんて、とても悲しいよ」「僕のハートはズタズタに粉砕された」「ノー! オーマイガー!」といった反響が多数寄せられている。
同時にYUIMETALの健康面を心配する声も多く、「今の彼女に必要なのは療養に専念することだ」「悲しいが、ユイの決断は素晴らしいものだと信じる」といったコメントも目立った。
■昨年12月から活動を休止していたYUI
事の発端は昨年12月、YUIMETALが広島・広島グリーンアリーナでの公演を体調不良のため欠席したことだった。それ以来YUIMETALは活動を休止、BABYMETALは2人体制で活動していたが、本人の強い意向もあり、復帰へ向けてスタッフ全体でサポートを行ってきたという。
しかし体調に改善は見られず、「何度も考え直した」末の決断として、YUIMETALはグループからの脱退を決めた。BABYMETALとしてステージに戻ることは叶わないまま、無念のリタイアとなる。
なお、本人コメントに「またいつか水野由結として皆様にお会いできるように努力し邁進します」と記されていることから、芸能活動自体は続けていく意思があるものと見られる。
■そもそもベビメタとは
そもそもBABYMETALは、2010年にアイドルグループ・さくら学院の派生ユニット「重音部」としてスタートしている。本格的なメタルサウンドとアイドルの融合という、当時としては画期的な手法で注目を集めた。
さくら学院にはほかにも多数の「部活」が存在したが、重音部の独特すぎる個性は必然的に一人歩きを始め、いつしか「さくら学院の派生ユニット」としてよりも「BABYMETALというグループ」として広く知られるようになっていった。
さくら学院本体も今なお精力的に活動中だが、もはやBABYMETALとの知名度の差は歴然だ。現在ではBABYMETALはさくら学院の派生ユニットではなく、独立した1つのグループとして活動している。
SU-METAL名義でBABYMETALの中核を担う中元すず香は2013年にさくら学院を卒業しているが、BABYMETALとしての活動は継続中だ。なお余談ではあるが、元乃木坂46の中元日芽香は中元の実姉に当たる。
■ベビメタは「特化型アイドル」の先駆け
今でこそ、ある特定の音楽ジャンルに特化したアイドルグループは珍しくないが、それらはすべてBABYMETALの成功あってのものと言って間違いないだろう。厳密に言えば、Perfumeの成功も重要なお手本の1つになっている。
BABYMETAL以前は、音楽性に一貫したテーマを設けないアイドルが一般的であった。現在でも、大多数のグループはそこまで極端に振りきった音楽性を提示してはいない。「何でもあり」こそがアイドル音楽の醍醐味だという考え方もあるからだ。
しかし近年はその傾向が変わってきつつある。スタイリッシュなダンスミュージックに特化して長年高い評価を得ている東京女子流のような例もあるが、パンクを前面に押し出したBiSHや、ポストロック的なアプローチが特徴のsora tob sakana、本格的なファンクを聞かせるフィロソフィーのダンスといった面々は、比較的最近出てきたグループ。
こういった潮流は、BABYMETALが道を切り開いたからこそ生まれているものだ。各陣営は本格志向の音作りを徹底し、それぞれのジャンルに昔から存在する「本気の音楽ファン」を取り込みながら、ムーブメントを拡大させている。
この事実は、なかなかに興味深い現象であると言っていいだろう。「歌って踊る姿が魅力的であれば音楽は二の次」という時代は、もう終わりが来ているのかもしれない。
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