〇三河 74 ‐ 64 SR渋谷●
(三河通算成績 1勝5敗)

 これがトンネルの出口となるのか。新体制の快進撃の始まりとなるのか。Bリーグシーホース三河は開幕6戦目にして今季初勝利をつかんだ。

・合わせて読みたい→
日本代表・比江島、橋本が移籍した三河 新体制にエース・金丸晃輔「僕の方が移籍した感じ(笑)」(https://cocokara-next.com/athlete_celeb/seahorse-mikawa-new-system/)

「本当に苦しい時に…。良い時も、悪い時もあるんですが、本当に熱い声援をありがとうございます…」

試合後のオンザコートインタビューでヘッドコーチの鈴木貴美一は安堵の声をあげた。

三河は今季唯一の岡崎開催主催ゲーム「岡崎信用金庫 presents シーホース三河ホームゲーム」はサンロッカーズ渋谷と対戦。「ブースタークラブDAY」の今節は、ブースタークラブ会員が楽しめるイベントが満載。キッズMCがロースター紹介を見事に務め上げると、会場は温かな一体感に包まれた。
2137人のファン・ブースターの「青援」に応えたい三河は、アグレッシブなディフェンスで流れを掴むと今季栃木から移籍してきた生原秀将とチーム最古参の「ミスターシーホース」桜木ジェイアールが16得点、エース・金丸晃輔が15得点、そしてNBA経験もある今季新加入のジェームズ・サザランドが13得点と4人が二桁得点の活躍。待望の今季初勝利を掴んだ。

 シーホース三河の選手、関係者に聞く限り「開幕5連敗は記憶にない」と言う非常事態だった。

前節10月17日(水)のアウェイでの川崎戦、前身のアイシン精機と東芝の時代から長年しのぎを削り、切磋琢磨してきた相手に惜敗。
試合後、ヘッドコーチの鈴木貴美一はロッカールームの前の通路で目を充血させていた。涙ではない。試合直後の興奮もあっただろうが、すぐさま終了直後のスタッツに目を通し、次戦への策で頭の中を巡らせていたのだ。

 前身のアイシン精機が一部リーグに昇格する前から采配を振るって来た指揮官にとっても、今シーズンは未知の領域だった。オフに比江島慎、橋本竜馬の日本を代表する二人の選手を移籍で失い、チーム体制づくりは2、3か月前にスタートしたばかり、試行錯誤だった。

この日は、NBAでのプレー経験の多いロバート・サクレ、ライアン・ケリー等を擁する渋谷を相手に「選手が集中して、チームの約束ごとのディフェンスをしっかりやってくれました。」と言うように、開幕からテーマとして掲げていた事が実現した試合でもあった。

「攻めが単発的になっていたので、しっかりパスを回して攻めなさい」とハーフタイムに指示を出した指揮官。その期待に応えて、エース・金丸、桜木、そして指揮官が「成長してもらわないと困る」と言う生原が3Qに爆発した。生原は、昨季まで栃木では田臥勇太の控えに甘んじていたが、今季開幕からアグレッシブプレーして来た。まだ6試合だが「成長」が感じられる。

この日、得点、リバウンド、アシストの「トリプルダブル」を惜しくも逃した桜木は「これは始まりに過ぎない」と言う通り、快進撃の始まりとなるのか。

1Q 三河20–10 SR渋谷


二桁リードで幸先のよいスタート

三河のスターティング5は、#5バッツ、#14金丸、#24加藤、#32桜木、#46生原。

#24加藤、#46生原が激しいディフェンスから流れを作ると、オフェンスでも立ち上がりからエナジー全開。#32桜木がローポストからディフェンスをかわしてジャンプシュート、#14金丸がアーリーオフェンスから3Pシュートを沈めて幸先の良いスタートを切る。

残り4分半からSR渋谷をノーゴールに封じると、#14金丸が1on1からミドルシュートとフリースローの連続得点を決めて抜け出す。終了間際には#46生原が鋭いドライブからレイアップを沈めて、三河20–10 SR渋谷のダブルスコアで最初の10分を終えた。

2Q 三河36–30 SR渋谷 (三河16–20 SR渋谷)

バッツがサクレを完封。6点リードで後半へ。

スタートは、#0サザランド、#4狩俣、#12西川、#14金丸、#32桜木。

#32桜木を起点に#4狩俣の3Pシュートや#12西川のカットインなどチームオフェンスが冴える。

守備でも#5バッツが#6サクレを無得点に抑えてインサイドを制圧。SR渋谷は#3ファイ、#24広瀬の3Pシュートなど外からのシュートで反撃するも、三河は粘り強いディフェンスで得点源である外国籍選手を自由にさせず、6点のリードを保つ。

3Q 三河65–47 SR渋谷 (三河29–17 SR渋谷)

生原 アグレッシブプレーで11得点。18点リードを奪う

スタートは、#5バッツ、#14金丸、#24加藤、#32桜木、#46生原。

序盤にSR渋谷#34ケリーの連続得点で3点差まで詰め寄られるが、ベテラン#32桜木がこの10分だけで6得点5アシストと巧みにゲームをコントロール。#32桜木のアシストから#0サザランドダンク、#14金丸がゴール下を決めて流れを渡さない。

新加入の#46生原が持ち味のアグレッシブプレーでチームに勢いをもたらし、2本の3Pシュートやファストブレイクから3点プレーとなるバスケットカウントを獲得するなど11得点の大爆発。18点リードで最終Qを迎えた。

4Q 三河74–64 SR渋谷 (三河9–17 SR渋谷)

4人が二桁得点。待望の今季初勝利!

スタートは、#0サザランド、#4狩俣、#5バッツ、#14金丸、#46生原。

3Qまで無得点のSR渋谷#6サクレに二桁得点で追い上げられるも、#4狩俣、#46生原が身体を張ったディフェンスで凌ぐ。#0サザランドがフリースローやファストブレイクでつなぎ、追いすがるSR渋谷を振り切って嬉しい今シーズン初勝利!2137人の熱いBLUE ENERGYに結果で応えた。

〇三河 74 ‐ 64 SR渋谷●
(通算成績 1勝5敗)
入場者:2,137人

■ 鈴木貴美一ヘッドコーチコメント

 連敗していて苦しい状況でしたが、選手がしっかりと冷静にやるべきことを今日はやってくれたと思います。
今シーズンはディフェンスが昨年に比べて少し良くなったので、あとはオフェンスの精度をもう少しあげていかなければいけません。
 もう少し点数が入ったのではないかと思っています。オフェンスで単純なミスがあるので、勝利はしましたが、そこをこれから改善していかなければならないなと感じた試合でした。ただ、いつもよりは良い感じでバスケットができたので、そういった意味ではこれからまた勝ち星が増えていくようにしっかりと頑張っていきたいと思います。

■ #32桜木ジェイアール選手ヒーローインタビュー

ー今シーズン初勝利おめでとうございます。今の気持ちをお聞かせください。
まずは勝てたことがとても嬉しいです。
ただしこれは始まりにすぎないです。

ー本日の試合を振り返っていかがですか?
ハードにプレーできて、チームとしてしっかりプレーできたと思います。
ファンの皆さまの我慢にとても感謝しています。

ー16得点9アシスト11リバウンド、ほぼ「トリプルダブル」ですが?
いつも、あと「1つ」というところで「トリプルダブル」を達成できていません。(笑)

ー明日への意気込みをどうぞ。
鈴木HCがいつもいうことですが、明日は必ず違うバスケットボール・テンポになるので、それに対して自分たちが受け身にならず準備をしてプレーすることだけだと思います。

■ #46生原 秀将選手ヒーローインタビュー

ー今シーズン初勝利おめでとうございます。今の気持ちをお聞かせください。
やっと勝てたのでほっとしています。

ー今日ゲームメーカーとして戦って、振り返っていかがですか?
なかなか得点が入らない時間帯もあったのですが、ディフェンスをしっかり我慢して、全員でリバウンドがとれたのでそこがよかったのかなと思います。

ー今日はスコアリングリーダー桜木選手と並ぶ、16得点でしたがいかがでしたか?
やっとシュートが入ったのでよかったです。(笑)

ー明日のサンロッカーズ渋谷戦に向けて一言。
しっかり2連勝して、自分たちの勢いに、波にのりたいので引き続き青援をお願いします。

■ サンロッカーズ渋谷 勝久ジェフリー ヘッドコーチコメント

 今、チームとして凄くオフェンスのところで試されています。三河さんのように中を固めて外はある程度空けて守るというのに対して、今日まずはオフェンスの部分でなかなかシュートが入りませんでした。

その中でそれでもリングをアタックしてフリースローを20本打てたということがチームとしてプラスです。
今まではフリースローアテンドがリーグの中でも少ない方なので、その中で20本打てたというのはプラスなので、空いたシュートをしっかり自信を持って打って決めて、ディフェンスでは少し#32桜木選手にスコアの面でもパスの面でも気持ちよくやられたという気持ちが少しあるのでそこのアジャストは必要かなと思います。

#6サクレ選手は#5バッツ選手に対してリバウンドをとても頑張ったと思います。平均5つ取るのを1つに抑えて、あとは#14金丸選手のフリースロー8本が余計だったと思うので、またチームとしてそういった細かいところを修正して、また明日チャレンジしたいと思います。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

「田臥の控え」だった男が成長 創設71年目の名門チーム「記憶にない」6戦目で今季初勝利