2017年に人気リアリティ番組「TERRACE HOUSE ALOHA STATE」に出演し、その唯一無二のゆったりとした空気感と、サーフィンへの真剣な姿勢の“オン・オフ”のギャップが、テラハファンの心を掴んだプロサーファー・佐藤魁(がい)。サーフィンが正式種目となった2020年の東京オリンピック強化指定選手にも選ばれている注目株だ。5歳からサーフィンを始め、中学生から間もなく22歳になる現在まで国内外の大会を飛びまわる…。そんな“サーフィン一筋”の人生を送ってきた佐藤が、映画『ハナレイ・ベイ』(公開中)でまさかの(!?)俳優デビュー!「オファーを受けて、即OKしました」と振り返る佐藤に、出演の経緯やサーフィンへの思いを聞いた。

【写真を見る】サーファー役で俳優デビューした佐藤魁。もちろん劇中ではサーフィンを披露している!

本作はシングルマザーのサチ(吉田羊)が、サーフィン中に亡くなった息子(佐野玲於)の死を乗り越えるまでを描いた物語。息子が事故に遭ったサーフポイントである、ハワイのカウアイ島にある湾“ハナレイ・ベイ”を毎年命日の時期に訪れるようになるサチ。そこで彼女が出会うサーファー・三宅を演じているのが、佐藤だ。そう、三宅は、佐藤のために用意されたような役柄なのである。

「本当に突然、お話が来ました。海や自然に関する映画だったので、本物のサーファーを入れたいということで、僕を抜擢してくれたのかなあと思っています。この作品で描かれる自然の脅威や“循環”は、僕も死に直面した経験があったので、すごく縁を感じました」と、「TERRACE HOUSE」出演中にサーフィンで大怪我をした過去が、今回の出演を決めた理由の一つだという。

またもう一つの理由として、物語の舞台である“カウアイ島”を挙げた佐藤。「毎年ハワイには行っているんですけど、カウアイ島は(今作での撮影が)初めてで。カウアイ島ってカッコいいサーファーがたくさん生み出されている土地なんです。僕もいつか訪れたいなと思っていたら、いきなり映画の話が来て!訪れるべき場所には誘われるんだ、僕も“循環”の中に入っているなと思いました」と、彼らしい言葉で分析してくれた。

そんな念願が叶って訪れたカウアイ島。撮影の合間も海へ足を運んだそうで、「カウアイ島の波はものすごく良かった!約束の時間に遅れて怒られちゃったぐらい、本当にいい波(笑)。波がいい場所は土地にパワーがあることが多くて、波が割れているところの延長線上にパワースポットがあったり。山と海が近くて、水もキレイだし、イイ人たちばっかりだし、幸せなオーラがたくさん出ている。古い民族文化も残っていて、確実に歴史が深い場所だなと感じました」。

劇中でももちろんサーフィンシーンは登場するが、それ以外の撮影は何もかもが初体験。「『TERRACE HOUSE』の撮影は素の自分の姿をさらけ出しているだけなので、演技というものをどうやったらいいのか考えさせられました。松永(大司)監督に『わからないです!』ってずっと相談してたんですけど『魁は自由でいいんだよ!』と言われて…」と悩みながら撮影に臨んでいたそう。

「でも、とても刺激的でした。それこそ、ジョニー・デップと仕事をしたことがあるスタッフさんもいて、一流の方たちに囲まれて僕は本当にすごい経験をしているんだな、って。役者さんたちも、プロではない“はじめまして”の僕みたいな人と、一緒にカメラの前で演技を共有しなければいけない。特に吉田羊さんはハワイにいる間、ずっとストイックにサチ役と向き合っていて…陰ながら見ていたんですけど、本当にカッコよかったです」。

新たにチャレンジすることが好きで、それを本業のサーフィンにも活かしていきたいという佐藤。『ハナレイ・ベイ』を通じて得たものとは何だったのか?「“自分を演じる”ことに対しての、サーファーとしての在り方を考えさせられました。僕はいつも自然体だと言われるんですけど、それだけじゃ次のレベルにいけないなと感じましたね。すみません、まだうまく言葉に出来ないんですけど…僕はまず先に感じて、あとからインプットしていくタイプなので(笑)!」(Movie Walker・取材・文/トライワークス)

「TERRACE HOUSE」の元メンバー佐藤魁が映画『ハナレイ・ベイ』に俳優として出演中!