2018年10月21日 テクニカル分析

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外的環境は依然としてリスクがあるものの個別銘柄にはチャンス

2018年10月19日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より126円08銭安の22,532円08銭となりました。18日の米ダウ工業株30種平均が327ドル安と大幅に下落したことなどを受けて日経平均も売られ、下げ幅は一時、445円まで拡大しました。しかし、後場では押し目買いなどにも支えられて下げ幅を縮小しました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。前週までは米国をはじめ、欧州、中国、アジアの株式相場が軒並み下落していました。一時、世界同時株安が起きるのではないかと懸念されていました。

しかし先週末には、ドイツ株式指数(DAX)、ブラジル主要株価指数ボベスパなどが反発するなど、下落は続かず、むしろ押し目で買われる動きも見えました。世界同時株安のリスクは後退したと言えるでしょう。

とは言うものの、不安材料がなくなったわけではありません。きっかけの一つとなったのが、米国の金利の上昇です。

外国為替市場では今、「ドル1強」といった状況です。トルコ・リラショックはひとまず落ち着いたものの、通貨安のリスクが高いことには変わりがありません。さらに同様の圧力が、インドネシアアルゼンチンなどの通貨にもかかりつつあります。

新興国での資金流出が起こっており、新興国における国債や社債の発行額も減少しています。新興国の企業の中にはドル建て債務の負担が大きくなり、デフォルト(債務不履行)に陥ったところもあります。

このまま「ドル1強」が続くと、世界的に通貨リスクが拡大する恐れもあります。日本企業にとっては、「ドル1強」にともない、円高傾向になっていることが心配されるところです。サウジアラビアでの記者殺害疑惑など地政学リスクも高まっていることから「有事の円」が買われる可能性があります。

いずれにしても外的環境はあまり芳しくなく、先行きは不透明なところです。一方で、国内企業の業績はいいので、個別銘柄を物色するほうがいいかもしれません。今週から月末にかけて大手企業の決算発表も相次いで行われます。まずはその結果に注目したいところです。

早期に23,000円を回復できなければ、再度レンジ相場になる

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週は、75日移動平均線を回復できるかどうかがポイントの一つでした。そのためにも、週初に陰陽どちらで引けるか注目されました。15日には窓をあけて上昇して寄りついたものの、その窓を埋めて下落しました。

こうなると翌日は下げが続くところですが、今度は長い陽線で反発。17日には75日線を回復しました。ところが、ここで下値をサポートされず、19日には再度、75日線を割り込んでしまいました。価格が上下に振れる、読みづらい1週間でした。

今後の動きはどうなるでしょうか。まず、目線をどちらに持つべきかという点について、大きく下落するというのは考えづらいところです。理由としてはまず、先週の下落が、直近の安値である9月7日(22,172円)を割り込まなかったこと。

ここを割れると、中期的な上昇トレンドが崩れるところでしたが、実際には、15日の下落、19日の下落ともに、このあたりで下値をサポートされて反発しました。19日には大きく窓を上げて下落したものの、その窓を埋めるように長い陽線となっているのも週初からの反発を予感させます。

その一方で懸念があるとすれば、やはり、これまで何度も上値抵抗ラインとなってきた23,000円を先週も突破できなかったことです。17日には一時、22,959円にまで迫りましたが、上値を押さえられました。

こういった点からも、しばらくは22,200円と23,000円の間で、もみ合いになることも考えられます。積極的な出動は、このレンジを抜けてからでも遅くはないでしょう。