声優のみならず舞台俳優に歌手、ラッパー、クリエイターと多彩な顔を持つ木村 昴が、現在公開中のアニメ映画スモールフット』で主役のイエティ、ミーゴの吹き替えを担当した。ミュージカル映画でありCGアニメーション映画でもある本作で圧巻の歌声も聴かせる彼に、本作について話を聞く。

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――今回の『スモールフット』でご自身が演じるミーゴはどのようなキャラクターだとお感じになっていますか?

木村 昴 イエティのミーゴは、天真爛漫で純真無垢。とにかく疑いを持たず、まっすぐなキャラクターだなと思います。こうありたい、というある種理想像というか、僕らも学ぶところが多いな、と感じるようなピュアなキャラクターですね。演じ切ってからも、最後の最後まで自分の信じているもの、自分の目で見たスモールフット(=人間)を信じて、村の大人になんと言われようとも「僕が見たのはスモールフットなんだ!」と言って、実際に捜しに行く。すぐに行動に移せるところが、非常にシンプルなんですけど、そういうまっすぐな気持ちを感じて、僕らも思うところがあるというか。いいな、こうでありたい、と思えるキャラクターですね。

――ご自身とミーゴで似ているなと思った部分はありますか?

木村 図体がデカいところですかね(笑)。イエティたちはみんなデカいですけど、ミーゴもだいぶ大きいと思うので。あとは、基本的にあまり人の言葉に流されないというか。「みんなはああいってるけど、僕はこう思う」と自分の意見に自信を持てるところは似ているかなとも思います。でも、世知辛い世の中で、曲げなきゃいけない想いとか捨てなきゃいけないプライドはおおいにある時代ですが、だからこそいいな、と思いますよね。みんながミーゴみたいな気持ちでいられたらもっといい時代になるんじゃないかなとか思っちゃいます。僕らも我慢しなきゃいけないことやなかなか言えないことも大いにあると思うんですけど。根本的な性格は「僕はスモールフットっていると思う」って言っちゃうタイプではあるので、そういうところは似ていますね。自信家ということではないんですが、「やってみなきゃわからない」と思うタイプではあるので。チャレンジ精神はわりと僕もある方なので、そういうところも似ていると思います。

――演じるにあたって難しかったことはなんですか?

木村 個人的に難しかったところは、ミーゴが初めて地上に降りて来て、飛行機の残骸を被っちゃって飛んでいくところで、アドリブが続くシーンがあったんですけど、台本上でも「叫び」「唸り」「叫び」「叫び」みたいなのが2分くらい続いていて。そこが大変でしたね。「ワァーッ!」「ウッ!ヒャ!ギャッ!イ゛~~~~~ッ!!!!」みたいなのがずっと続いて(笑)。そこが大変でした。これに関してはオリジナルの役者さんの声のタイミングとか、叫びの長さにも合せていかなければいけないので。そこに対して日本語らしさとか自分らしく、とは言ってられないから忠実にやろうとするんだけど、忠実にやろうとすればするほど、アドリブなものですから声の高さとか力の入り方を表現するのが非常に大変でした。それとワード数も多いし、スピードも早いんですよね。ここは合わせるのが大変でしたね。

――事前の、映像をチェックしながらの練習も大変だったのではないでしょうか。

木村 大変でした。だいたい、「セリフの入りは何秒後で」みたいなものをメモしたりするんですけど、ここはもう本当にカウントも大変で。「ここで何回」「表現を小さく」「ここは大きく表現して」とか、チェックも細かくなりましたし(笑)。まだ完成品が観れてないんですが、うまくいっているといいなと思います。

――それこそ同じ原作者のセルジオ・パブロスの作った「怪盗グルーの月泥棒3D」や「ミニオンズ」が好きな子供たちがすっごく笑いそうな場面でもあるので、楽しみですよね。

木村 ですね。あと、面白かったのは、天上から落ちて来るところ。雲を割って「ウアァァァァァァ」って叫び声だけが響いていて地上に落ちるところがあるんですけど、ああいうの、面白いですよね。CGアニメだからこそできるテンポだし、ギャグだし。実写だったら絶対にできない。声だけが落ちて来て、雪の上にドーンと落ちて、ミーゴの形のまま雪に埋もれていて。そういうところで子供たちも含めて観てくれた人たちが笑ってくれたらうれしいですね。

――そんな『スモールフット』はミュージカルアニメでもあります。普段のお仕事で歌うキャラソンともまた違った歌表現になったかと思いますが、「ミュージカルならでは」の歌唱で明らかに違っていたところはどんなところでしたか?

木村 より、感情が乗っかって来るところじゃないでしょうか。キャラクターソングはもちろんキャラクターの声を借りて、キャラクターの姿を借りて歌わせていただくので、あくまでも僕ら個人と言うよりもキャラクターとしてやらせてもらうんですけど、キャラクターソングは「歌」なので、ある程度、ちゃんと歌う。歌として成立させるために歌うんですけど、こちらはどちらかというとお芝居の延長。それがミュージカルなので、より芝居を際立たせて歌うことが大きな違いじゃないかと思います。あくまでもお芝居の延長で、気持ちが高ぶって歌っちゃう、歌になっちゃうのがミュージカル。ライブのシーンとか、アニメだとそういうふうに歌うこともありますが、ミュージカルは感情の昂ぶりが大事で。セリフにできないものを歌にする、ということなので、そういう特徴があるんでしょうし、そこを意識してやった方がいいんだろうなと思いましたね。

――ほかの方の歌は聴かれましたか?

木村 早見沙織さんが演じるミーチーの歌だけは聴きました。素敵ですよね。普通に、むちゃくちゃうまいですよね。やっぱりミーチーっぽさというか。女の子の中では達観している子ですが、そのミーチーが歌ったらきっとこういう素敵な歌になるんだろうな、というのは伝わりましたし、本当に素敵でした。あと楽しみにしているのは、立木文彦さんの演じる村の最長老、ストーンキーパーのラップですね。オリジナルでは、グラミー賞も受賞しているラッパーのコモンがやっているんですけど、日本語のラップを元SOUL’d OUTのDiggy-MO’さんが作っていらっしゃって。ワンフレーズやワンバースじゃなく、5分くらいのシーンをずっと立木さんがラップしているんですよ。それが早く聴きたいですね。オリジナル版でもカッコいいところだったので。

――では最後に、ずばり『スモールフット』の見どころを教えてください。

木村 ミーゴがとにかく「モジャかわ」です。モジャモジャしていてかわいいです。ちなみにミーチーは毛並みがよくてさらさらしているんです。だからミーチーは「モジャサラ」。そしてストーンキーパーは「ゴリモジャ」ですね。ゴリゴリにモジャモジャしていて。モジャモジャしつつ体はストーンだらけでゴリゴリしているので(笑)。そんなモジャモジャイエティたちの個性も楽しんでもらいたいです。

Interview & Text By えびさわなち Photography By 小賀康子





●作品情報
スモールフット』

全国公開中


【スタッフ】
監督キャリー・カークパトリック
製作:ボニー・ラドフォードグレン・フィカーラ、ジョン・レクア
製作総指揮:ニコラス・ストーラー、フィル・ロード、クリストファー・ミラー、ジャレッド・スターン、セルジオ・パブロス、キャリー・カークパトリック

【キャスト】
チャニング・テイタム、ジェームズ・コーデン、ゼンデイヤ、コモン、レブロン・ジェームズ ほか

吹き替えキャスト】
木村昴(ミーゴ)、宮野真守(パーシー)、早見沙織(ミーチー)、立木文彦(ストーンキーパー) ほか

エンドソング:ナイル・ホーラン「Finally Free」

配給ワーナー・ブラザース映画

(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

関連リンク
スモールフット』公式サイト
リスアニ!

掲載:M-ON! Press