今年もこの季節がやってきました。「インフルエンザ予防に早めにワクチンを打ちましょう」の季節です。今年は9月早々に流行が見られ、学級閉鎖のニュースも聞かれました。そのせいか、ワクチンも例年より早めに話題になっているようですね。

今年もインフルエンザワクチンについて書きます。毎年打っているのに罹っちゃう人、あるいは家族や知り合いにそういう人がいる方、ぜひ読んでいただきたいと思います。

ワクチン打ったら堂々と仕事休める?

先日タクシーの中でラジオを聞いていたら、あるキャスターの方が、ゲストの医師にこんな話をしていました。

「ぼくは毎年インフルエンザワクチン打っているのに、毎年罹るんですよ。罹らないワクチンを早く開発してほしいですよ」

これを聞いて私は思わず「ちょっと待って!」と叫びそうになりました。あなた、毎年打っているのに毎年罹るということは、打っても効かないということですよね?と。しかし、その人はそれにはまったく気づいていないようで、「絶対、罹らないワクチンを開発してほしい」と言うのでした。

ワクチンを打つのは、インフルエンザに罹りたくないからですよね。しかし実際には打っても罹る人は少なくありません。それでもワクチンの有効性にまったく疑いを持たない。なぜでしょうか? 

こんな話もありました。先日、学校薬剤師として校長先生とお話をしたときのことです。校長先生がおっしゃるには、「私はワクチンを打ちます。費用は自己負担で補助は出ませんが、私が率先して打つことで、ほかの先生方にも打たなきゃという気運が高まりますからね」。

教師は子供たちと接するのだから、ワクチンも打たないなんて教師失格ですよ——ということでした。私は内心びっくりしながらうかがっていました。どうやら「子どもを預かる職場で働く以上、ワクチンを打たないなんてとんでもない!」ということでしょう。

しかも、さらに驚いたことに、「打って罹るならしょうがないけど、打たないで罹るなんてとんでもない」とおっしゃいます。

ちょっと待って!!

打たないで罹るならしょうがないけど、打って罹るのはおかしくないですか?どうして打ったのに罹るんですか?それがどうして「しょうがない」んですか?もう疑問符で頭がいっぱいになってしまいました。

つまり校長先生は「打っても罹る」ことを知っていて、それでも率先して打つ。なぜ?私にはそれは「インフルエンザに罹りたくないから」というより、罹ったときに「予防はしてたんですよ」と周囲に説明するために、いわば言い訳として打っているように思えてなりません。

現にここ数年、「打たないで罹るなんてとんでもない」という空気が蔓延してきたと思いませんか?学校に限らず会社でも「ワクチン打ちましょう」プレッシャーが増していると聞いています。いざインフルエンザに罹ってしまったときに、ワクチンを打っていれば、「打ったんですけどと“堂々”と休める。しかし、打たずに罹ると“自業自得だ”と言われてしまい肩身が狭い。それはイヤだからとにかく打っておこう……と。

画期的なお薬ができました?

話をもう一度タクシーの中のラジオ番組に戻します。

毎年ワクチンを打っているけど毎年インフルエンザに罹ってしまうキャスターに、ゲストの医師はこう話しました。「パンデミックを防ぐにはやはりワクチンを打って予防することが一番です」と。さらに、今シーズンから保険適用される薬「ゾフルーザ」を「画期的な薬ができました」と紹介していました。

ゾフルーザは従来のタミフルリレンザとはウイルスに作用する機序が違います。ですが、ウイルスを根本的に殺すのではなく、増殖を抑える薬です。その点は従来薬と変わりません。しかし医師は「これまでの薬よりもインフルエンザウイルスの広がりが少なくできる、すごい薬だ」と言います。

そこでまた疑問が浮かびます。それほど画期的な薬ができたなら、インフルエンザに罹ることをこれほど怖れる必要もないのでは?と。お金をかけてワクチンを打つ必要ありますか?しかも打っても効かないかもしれないワクチンを?

おそらく日本の多くの人が「ワクチンを打てば罹らない」と思い込まされているのだと思います。だから「毎年打っても罹るんです」の矛盾に気づかず、今年も打ってしまう。ふつうに考えればおかしな話です。

ワクチンについてはもうひとつ大きな疑問があります。そもそもワクチンを打つのは「ウイルスに罹る前に抗体を体に入れておく」ためです。ではワクチンを打てば必ず抗体ができるのでしょうか? 

→次週「“ワクチン打てば抗体ができる”は本当?」に続きます。

職場でも「ワクチン打て」って言われてません?

賢人のまとめ

毎年ワクチンを打っているのに毎年インフルエンザに罹る人がいます。ワクチンが効いていないということです。あなたはどうですか?打っても罹っているとしたら、ちょっと考えてみませんか?その効果を。お金をかけてまで打つ必要ありますか?

プロフィール

薬の賢人 宇多川久美子

薬剤師、栄養学博士。(一社)国際感食協会理事長。明治薬科大学を卒業後、薬剤師として総合病院に勤務。46歳のときデューク更家の弟子に入り、ウォーキングマスター。今は、オリジナルの「ハッピーウォーク」の主宰、栄養学と運動生理学の知識を取り入れた五感で食べる「感食」、オリジナルエクササイズ「ベジタサイズ」などを通じて薬に頼らない生き方を提案中。「食を断つことが最大の治療」と考え、ファスティング断食合宿も定期開催。著書に『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)など。LINEお友達限定で、絶対に知っておきたい薬のリスク情報配信中。

 
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