MOROHAアフロの『逢いたい、相対。』第八回のゲストはbachoの北畑欽也。これまで何度も対バンを重ねて親交の深い両者だが、腰を据えて語らうのは今回が初だという。今回、対談の軸は“何のため音楽をして、何を思ってステージに立っているのか”ということ。北畑が「ライブはいろんなお客がいるからこそ面白い」と言い、アフロ「俺らは客を選びたい」と話す。――これは、両者の価値観や思想がぶつかり合う8000字におよぶタイマンの記録である。

●だからアフロは友達に向かへんって言ったやん●

アフロ:正直、今まではあんまり喋ったことがない人を呼んでいたんですけど、欽也さんとはいろんな話を擦り切ってる感じなので。

北畑:そうでもなくない? アフロとは喋ってるけど、なんていうか……。

アフロ:確かに欽也さんはバンド仲間も多くて、打ち上げもいろんな人と喋ってますから。でも、俺はほぼそういうのないんで、欽也さんと喋ったことは数少ない中の出来事なんですよね。

北畑:打ち上げとかも少ないもんな。

アフロ:そうですね。俺らはライブが終わるとすぐに移動することも多いので。

北畑:大体、アフロの話になったら早めに切り上げてるから。

アフロ:アハハハハ! ダルいから?

北畑:ダルいは言い過ぎ! 打ち上げじゃなくて、こういう時にしっかり喋りたい。打ち上げはワーっとするからさ。

アフロ:そうっすね、俺は根が真面目なんですよ。それも嫌で、話し始めるとそうなっちゃう。

北畑:でも、あの歌はそうじゃないと出てこうへんし、なんて言うんやろうな……真面目じゃないとおかしいやん。だってMOROHAは真面目な歌やん。

アフロ:だけど、みんなが楽しく話してる最中「ああヤバイ、今俺の世界に入っちゃった」と思う瞬間があるんですよ。そうすると「俺は空気読めないな」と思うから打ち上げも苦手なんですよね。別に真面目な話はしてないつもりですけど、欽也さんですら感じるということは相当ですよ。だってbachoとの打ち上げはふざけてた記憶がありますもん。

北畑:そうか、俺はあんまりふざけた記憶ないけどな。前に「曲を作ろう」と言ったのはマジなん?

アフロ:マジですよ。

北畑:それをツアー中に言われると(笑)

アフロ:でも、そこ以外にタイミングがないんですよ。だから本当にあの時はやろうと思ったんですよ。

北畑:俺は絶対に嫌やった(笑)。なんで「打ち上げしよう」と言っとんのに曲を作らなあかんねん。

アフロ:いやいや、だって曲を作るのが1番楽しいじゃないですか。しかも自分たちの本チャンの気持ちをすり減らしてやるのとは違って、一緒に作るとなったらお互いに委ねられる部分もあって。

北畑:それが楽しみではあるけど、違うタイミングやったやん。

アフロ:それこそ酒を飲んで、打ち上げの盛り上がった状態でしかできない話だった気がしますけどね。

北畑:そしたら、いかに早く曲を書いて打ち上げに参加するかという脳になってまうわ(笑)

アフロ:絶妙にかわされましたからね。その後、俺から逃げるようにガールbarへ行って。

北畑:周りの店が閉まったから、しゃあなしに商店街でボーッとしてたらぼったくりに引っかかっただけやん。ある意味お前のせいやで。

アフロ:しかもMCで俺がバラしたんですよね。

北畑:結構ウケとったから「これはこれでええか」と(笑)。そういうネタにしてくれたら、より嬉しいやんな。俺の単なる笑い話をライブで話してくれて。

アフロ:いやぁ、早く笑い話にしなきゃと思っているのは「渋谷nest」でやった俺のドロップキックですよ。(※2018年3月28日の『怒濤』で、bachoのライブ中にアフロステージに呼ばれて「NENASHIGUSA」を一緒に歌った後、去り際にドロップキックお見舞いした)あのことはまだ笑い話にできないっすもん。欽也さんが怪我しなくて良かったなと思って……本当に大丈夫でした? 

北畑:太いコード全部俺のクッションになってくれた。そこで骨折とかじゃなくて、無傷で笑えるところが自分らの運を持ってる。蹴られた後に俺がMCで言ったこと覚えとん?

アフロ:なんでしたっけ?

北畑:「だからアフロは友達に向かへんって言ったやん」って。それを言って、お客さんも笑ってたから「これはみんなも思ってるぞ」と(笑)

アフロ:俺の面倒くささを?

北畑:アハハハハ、面倒くささというか変やん。

●「YOU ARE NOT ALONE」ってイコール「YOU ARE ALONE」ということやねんな●

アフロ:ズケズケというじゃないですか(笑)。そっかぁ……変ですか?

北畑:例えば、暇な時に誰かと飲みたいと思ってもアフロを呼ぼうとならへんな。そういうの自分も嫌やろ? 

アフロ:絶対に誤解してるな。俺はさらっと誘って飲み行くのにちょうどいい男ですよ。

北畑:ほんまに(笑)? まぁ、アフロと飲み行ったら大体想像通りの話をしそうじゃない?

アフロ:だと思います。大事な話をしちゃいそうですね。普通は飲みに行ったら、そういう話をしたいわけじゃないっすもんね。

北畑:そりゃあ、アフロは一番共演者を意識しとるやろ。

アフロ:そうっすね。同業者の方と飲みに行くと気持ちを分け合い過ぎちゃったりして「お前もそうだよな」と、それを2人で話し合うことで成仏するのが怖かったりするんです。「この人もこう思ってるんだ」「でも、それは俺だけのものにしたかったな」みたいな。

北畑:そういう意味ではアフロだけのものが多いんちゃう? 歌って音楽が完成したとして、クオリティが出たとして、誰が歌っても良いもんじゃないやん。やっぱり歌う人が重要やと思うんやけど。

アフロbachoはみんなも一緒に歌えるじゃないですか。あれがスゴイなと思うんですよね。

北畑:俺が歌ってるような内容を誰かがやったとして、それがええんかどうか。

アフロ:そいつの気持ちとしては、欽也さんと同じくらい自分に響くように歌えると思うんですよ。ただ、そいつが歌うことでみんなが歌うか? と言ったら歌わないと思います。あれは欽也さんが歌うから、みんなも歌えるわけで。

北畑:そういう音楽がええなと思ってるし、アフロもまさにそういう感じやん。アレを真似しようたって、そりゃあ出来へんよ。音楽だけをコピーすることは出来ると思うけど、絶対に届かへんような場所にMOROHAはいると思う。それは変だから。

アフロ:変か……まぁみんな変ですよね。欽也さんは自分のことを変だと思います?

北畑:俺は普通やと思うで。

アフロ:それは、どうでしょうね。俺は記事を通して、ちょっと問いかけたいですね。ちょっと待てと。俺だって周りと同じ感覚は持ってますよ。俺が思ってることは、みんなも思ってることだろうなって。歌ってることとかも、そういうことあるよねと思って歌ってますし。

北畑:だから題材自体はみんな変わらんよな。例えば俺とアフロがそこまで違う題材を歌っているか? と言われたら実は近いところやと思うねん。

アフロ:なんか同じ意味のことを逆に歌うのが良いと思うんですよ。例えば「人のことなんて信じるな」と俺が歌ってるんだけど、あるヤツは「信じなきゃダメだ」と歌ってる。その先にあるメッセージが同じところにあると、そこにスゴく感動するんですよね。俺からすると欽也さんの歌詞は「大丈夫」と歌ってる感じがあるんですよ。で、俺は「大丈夫じゃないぞ、お前」と歌う。

北畑:「大丈夫」というよりも「慰め」やな。まず自分を慰めている部分が結構あるから。「大丈夫やと思って、やっていこう」という。

アフロ:「俺は大丈夫だと思うな」って歌うんですよ。だけど、伝わっているものの本質が近いと思える瞬間があるとステージを分け合えて良かったなと思うんすよね。この前、‪eastern youth怒髪天の対バンを見て思ったんですけど、やっぱり表面的には真逆に感じたっすね。でも、根底みたいなところや、メッセージが同じに受け止められる瞬間があったんですよ。

北畑:俺が今日着てる FOR A REASONというメロディック・ハードコアバンドTシャツ。後ろに「YOU ARE NOT ALONE」って書いてあんねん。

アフロ:お前は1人じゃない、と。

北畑:そうそう。この言葉がすごい好きなんやけど、「YOU ARE NOT ALONE」ってイコールYOU ARE ALONE」ということやねんな。こんなメッセージALONEの人間じゃないと出てこうへんやん。

アフロ:「1人じゃない」って1人だから浮かぶ言葉ですもんね。

北畑:俺の解釈やけど、「Im’ ALONE」という時は逆に「NOT ALONE」の場合やねんな。「1人じゃない」っていうほど1人を感じてる。それが同時にあんねん。この人はこうで、この人はこうって別の場所にいるんじゃなくて、結構みんな同じ場所におって。発信の仕方が違うんよね。結局は1人か1人じゃないか、というところの答えは出てないし。そういうのが面白いと思う。

アフロ:例えばUKがいて、うちのスタッフがいて、みんなでMOROHAの音楽を広めようとしたり、音楽を作ってると「俺は1人じゃない」という実感があるわけです。でも、そこから離れて実家に帰った時に「家のローンがこれくらい残ってる」という話を聞くと「俺がどうにかしなきゃいけない」と思う。その瞬間、あくまで俺は1人であって、とにかく自分で食い扶持を作らなければいけないと思うんですよね。良くも悪くもこの人たちにもそれがあるんだから、依存をしちゃいけないし、過度に寄りかかってもいけないし、過度に寄りかかられてもいけない。その時に「俺は1人だ」と思いますね。この感覚ってありますか? 言ったらバンドメンバーそれぞれの人生があるじゃないですか。

北畑:あるな。みんなの人生があるのはわかるから「俺はこうしていく」というのを決めて、乗れるところまで乗ってきてほしい。だから降りるときに降りたらいい。「そのジャッジはちゃんとやってくれ」と伝えてる。逆にみんなが乗ってるのに俺が降りた、みたいなことはありえない。別に「結婚して、子供ができたから今後は地元を中心にライブしていくか」というのはあかんことやとは思わへんで。ただバンドの方向性として、俺がそういう進路を選ぶことはない。

アフロ:「それぞれの人生があるから、俺は行くけど降りたいヤツは降りても良い」それってリスキーな言葉で、ちょっと非情にもとれるじゃないですか。でも俺は本当のことだと思うんですよね。それをステージでちゃんと言えるかどうか。そこを1つ言うことにとって、このメンバーでやれる喜びを噛みしている信憑性がすごく感じられる。

北畑:まあ、そうやな。だけど、この電車が一番良い電車とは限らんけどな。もしかしたら先に線路がないかもしれへんから。

アフロ:それが言えない自分を嘘くさく思ったりするんですよね。過度に「降りたい時は降りろ」と言うんですけど、それを言い逃しちゃったら自分が一番嘘くさくなっちゃうと思う。ちょっと気を抜くとステージ上でめっちゃ良いやつになろうとしてる時ありません?

北畑あるある

アフロ:そんな時は一番自分にヘドが出るんですよ。ステージ上でお客さんが酔っ払ってベロベロになった時「いろんな楽しみ方があるから」って言いそうになる時があるんです。俺は基本的に「こいつ帰らねえかな」と思ってる。そんな俺が「いろんな楽しみ方があるから、それぞれお互いの気持ちを考えて。なんなら『こいつウザいな』って気持ちさえも自分を掘り下げるスコップにしてくれ」みたいに話を持っていくんですけど。「いや、違うだろ。俺は今、帰れと思ってるよな」って。

北畑:それはアフロの理想なんじゃない? 即決策はそいつが帰ることや。だけど理想はそいつにも色々と考えてもらうことやろ?

アフロ:だけど、「降りたいヤツは降りろ」という言葉にリアルや温かさを感じるので、そこを大事にしたい。そう思うと「お前、聴く気ねえなら帰れよ」ということが自分にとっては真実だし、大事なものなんですよ。

北畑:俺が言ったのは「限界まで降りさせへんように頑張ります」ってことやで。1人じゃバンドできひんし、みんな帰ってもうたらライブできないわけやから。どんなお客さんが来るかわからんしな、アフロが言ったようにベロベロのお客さんがいたら「それ、やめろよ」って言うで。

●俺はとことん客を選びたいんですよ●

アフロ:UKが酔っ払ったお客さんがいたライブの夜にTwitterで「そういう奴は来るな」とつぶやいたのを見て、すごいハッとしたんですよね。それがアーティストとして褒められることかはさておいて、思ったことをバーって言う美しさを立ち返った気がして。理想を言うのは傍目から見れば美しいんだけど、危険だとも思います。

https://twitter.com/moroha_uk/status/1018482068869660672

北畑:だけど、そのベロベロになったやつはUKの言葉で「次から気をつけよう」と反省したかもしれん。(伊藤)知得が前にTwitterで「bachoのファンはみんなええ奴や」みたいなことを書いとったのよ。それは本音やろうし、良かれと思って。次の日にスタジオで「Twitterに書いとったけど、俺はそう思わへんぞ」と言った。もちろんええ奴もいるけど、ええ奴しかbachoを好きじゃないのは嫌だと思って。

アフロ:俺はね、自分たちにとって都合の良いお客でいっぱいにしたいんですよ。何でかと言えば、それが俺たちの一番良いパフォーマンスができると思うから。世間的に良い奴じゃなくても、疑い深くて俺たちのことをステージの下から睨みつけながら「こんだけ金払ったんだからやれよ」みたいな減点方式で観るようなお客。それも俺たちにとっては都合の良い客なんですよ。ただ、俺らにとって都合の悪い客は排除します。だっていろんな選択肢がある中で、俺らを選んだのは何なんだろう、と思うし。

北畑:好きだからじゃない?

アフロ:その好きになる部分が幻想だったら意味ないんですよ。

北畑:でも、最初から自分らの本質を見抜けって言うのは無理やん。音楽は誰が聴いてもええと思うし、誰が聴いても良いと思う音楽が理想や。そりゃあ滅茶苦茶なやつもおるし、ライブの進行を妨げる人もおる。だけど、ライブは何が起こるかわからへんから良いよ。ただ、みんなが嫌だと思ってたら、「やめろ」と言うけど。

アフロ:そういう客がいると自分の力不足を痛感するっすよね。どんな人間に対しても30秒で目を据わらせて集中させるものを作らなきゃいけないな、と思うんです。俺は誤解されていることが悔しいですね。「これをやっても良いんだ」と思われていること。俺らだけじゃなくて、お客さんのテンションも絶対に下がるじゃないですか。すごいっすよ、3000円もライブに払ってくれるって。そのお客さんたちが1人の不届き者のために我慢するのは嫌だし、俺らのテンションも下がりかねない。だから俺はとことん客を選びたいんですよ。

北畑:でも、アフロの排除したい客もMOROHAが好きだから金を払ってきてるやん。

アフロ:人の邪魔をするのは違うんすよ。

北畑:邪魔するのはあかんで。本当に目に余る行動をしてる人やったら、ライブ中でも「それは気をつけような。守れへんのやったら、悪いけど来ないでくれ」と俺も言う。でも、無条件で来るなと言ったら、そもそもいろんな人がおるのに誰もいなくなってしまうぞと。難しいけど……失敗には寛容でいたい。俺もよく失敗するから。

アフロ:いやぁ難しいな……俺たちはアコースティックだから、理解してない客は本当に致命的になるんですよね。

北畑:考えてることも、言いたいこともわかるで。だけど、そういう奴を見たら「俺がそうかもしれん」と思ったりする。

アフロ:俺は心の痴漢だと思ってるんです。女性の体を触る痴漢だけをみんなは取り上げるでしょ? ‪だけどひどい酔っ払い、即ち心の痴漢に世間は寛容すぎると思うんですよね。‬酒を飲む人、飲まない人の考え方の違いかもしれないけど、俺自身が体感した音楽はシラフで向き合って、アルコールなしで酔っ払って帰れるものだったので。俺たちがやってる音楽もそういうものだと思ってるから、MOROHAの場所では心の痴漢をやめてほしいし、人の邪魔をするのはやめてほしい。‪そういった事も許されるような場所も知ってるし、そこの素晴らしさも知ってるんですけど。‬

北畑:それやったら、極論は「MOROHAライブは酒を売りません」でええやん。

アフロ:どこまでをルールとするかですよね。別に酒を飲んで聴くのは構わないけど、酔っ払うのは……。

北畑:酒を飲んで酔っ払わなかったら、誰も失敗せえへんて。

アフロ:一度でも酒に飲まれてベロベロになった人は「酔うと自分がどうなるか」を知ってるわけですよ。で、飲むと判断したのはシラフの自分なんですよ。

北畑:それはそうなんやけど! そこをみんなが冷静に判断できるなら、そんな出来た世の中はないと思うで。……じゃあ、わかった! 美術館は「飲食禁止」とか貼り紙が先にあるわけやん。MOROHAアフロがしたいように、先にオフィシャルで伝えるべきやろ。

アフロ:それをやっても良いと思うけど、贅沢を言えば音楽で示したいんですよ。「別に言わなくても分かるだろ」って状況にしたい。これはちゃんと聴かなきゃいけないやつだ、って。

北畑:自分の音楽で気付かせたいんや。

アフロ日本語が通じない状況になったらダメですよ。初めて酒を飲んでダメになったらしょうがないけど、そうなる自分を知ってて飲んでるということは、そうなっても構わないと判断してるんですよ。

北畑:いやいや違うんですよ! ここまでは大丈夫やと思ってるんですよ。

アフロ:そういう意識の低い人は、もうちょっと意識を高めてから来てください。

北畑:世の中にはいろんなライブと、いろんな音楽があるから「アフロがそこまで言うなら、もうええわ」ってみんなが取捨選択すればええよな。

●俺らが次の時代の先駆者になれんねん●

アフロ:それが良いっすよ。なんか……思い出しますね。とある打ち上げで●●さんが酔っ払って喧嘩した時のこと。あの時も欽也さんは優しかったもん。

北畑:あれは俺もキツかった(笑)

アフロ:欽也さんはいろんな人から相談されるんじゃないですか? 例えば「メンバーとモチベーションが合わなくて」と言われたら何て言います?

北畑:「ええ曲を書いたらみんなやりたがるで」って。

アフロ:ああ、それは良いですね!

北畑:すべての人が技術を身につけて、頑張ったらええ曲を書けると思う? みんなから「良い曲」と言ってもらえるような音楽。

アフロ:それはないと思います。

北畑:やっぱり才能とかセンスみたいなことはあるよな。でも、それはジャッジできひんし、今の俺もわからへん。そしたら頑張ってみるしかないやん。だから「やってみれば」しかない。地方へ行って「bachoのことが好き」と言われると死ぬほど嬉しいな。「こんな遠い町で俺のこと好きなん? 俺なんてただのおっさんやで」「でも、俺は聴きたくて観に来たんです!」と言われたら心底嬉しい。そのためにはホンマにええ曲を書いていこうと思う。

アフロ:すげえ確信だなと思うんですけど、いろんな悩みは結局「良い曲を書けば良いじゃん」という答えに立ち帰れるのは幸せですよね。

北畑:っていうか、それで全部解決せえへん?

アフロ:そうなんすよね! 「なんで生活できないんだ」と悩む人はいるけど、良い曲を書いてみんなに知ってもらえたら自然と結果はついてくる。

北畑バンドはそれだけやと思うで。これから俺もアフロも曲を作っていくわけやん。例えば結婚して、子供が生まれたらどんな曲を作ると思う?

アフロ:それが力になってくれてるのか、邪魔になるのか判断がつかないですよね。「家庭を持ったことで、人のダメな部分も受け入れらるようになったよ」と言いたくないなと思うんですよ。

北畑:それは家庭を持ってないから思うけど、もしそうなったらオモロイやん。

アフロ:例えば年を重ねることで10代の頃には許せなかった「ふざけんな」と言ってた先輩の気持ちがわかるようになったよと思いたくないんです。そういうことを言ってる人を胡散臭いと思っちゃたんですよね。それテンプレじゃんって。

北畑なるほどね。

アフロ:一回、否定したいんですよ。今まで与えられてきたものっていうのを、一度は否定して、否定しきれなかった時に信じたいですよね。bachoだってそうですよ。

北畑:俺らのこと?

アフロ:音楽を聴いたら、やっぱり認めざるえない存在というか。どうにもこうにも俺の心を動かして真実を歌っていると思った時に、受け入れられました。

北畑:そっか。とにかく俺にとってMOROHAライバルやと思ってる。

アフロ:俺は欽也さんのことを同い年だと思ってるんですよ。同じ時代に音を鳴らしてる感じがすごくするんです。‪同時に時代が違えば我らもうちょっと世に出やすいだろうなと。‬

北畑:その時代は今から来るねんて! 100%来る! その先駆者になれんねんて。絶対になるハズだと思ってる。ふと、どんなバンドがこれから来るのか考えるのよね。そしたら「次はbachoみたいなバンドが来るなぁ」と本気で思ってる(笑)

アフロ:……その根拠を探したりします?

北畑:せえへん!

アフロ・北畑:ハハハハハ!

アフロ:「自信はあるけど。根拠は探さない」って曲を作りたいですね。

北畑:その曲の根拠は探したいけどな(笑)

文=真貝聡 撮影=高田梓

取材撮影協力=炭火焼 尋 (東京都目黒区上目黒3-14-5 ティグリス中目黒Ⅱ 3F)