電球プラグを便利にするところから始まった
パナソニック家電 100年の歴史を見てみよう

長い歴史の中で多くの家電を開発してきたパナソニック。いつの時代も便利な製品が、私たちの生活を豊かに変えてきた。パナソニックミュージアムの展示でその歴史を振り返ってみよう!

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館長さんに教わったよ

山田昌子さん:ブランドコミュニケーション本部 パナソニックミュージアム 館長
2017年パナソニックミュージアム構築に従事。2018年3月開館後、館長に就任した。

1918年
改良アタッチメントプラグ

便利で品質の良い配線器具に需要があるとみて開発に着手。電球の口金を再利用し、低価格で精度の高いプラグとして評判になった。

1920年
2灯用クラスター(2股ソケット)

電灯と電化製品を同時に使えるように、ソケットを改良。使いやすさや丈夫さ、手頃な価格から人気を博した。

1923年
砲弾型電池式ランプ

ローソクや石油ランプの不便を解消すべく、バッテリー式のランプを考案。販売店に無償で使ってもらうという宣伝方法も話題に。

1927年
スーパーアイロン

当時、贅沢品だったアイロンを、大量生産方式で低価格化。大ヒットとなり昭和5年に商工省から国産優良品に指定された。

1929年
丸山型電気コタツ

安全性を追求し使いやすい形状で人気を集めた。正確な温度調整ができる「サーモスタット」を開発し、それがラジオへの雑音障害が少ないことで、技術的にも高い評価を得た。

1931年
ナショナル乾電池

現代まで続く多くの製品の原点となった、乾電池の第1号モデル。主にランプ用として用いられることが多かった。

3球1号型無線機 (R-31)「当選号」

故障が起こらないことを目標にわずか3カ月で開発。試作品が東京中央放送局(現NHK)のコンクールで1等をとったことが話題になり、「当選号」という名称で発売された。

1936年
白熱電球

品質の高い国産電球を世に出したいと思い開発。高めの価格ながら販売店の協力もあって軌道に乗り、電球事業の礎を築いた。

自動首振型電気扇卓上型

同社初の扇風機で、二重首振機能や首振角度変換機能を搭載。まだクーラーなどなかった時代に、暑さをしのぐために重宝された。

1951年
丸型撹拌式電気洗濯機(MW-101)

アメリカ視察で見た家電製品の便利さに感銘を受け、まずは洗濯機を開発。「主婦を家事労働から解放する」象徴として売り出された。

1952年
17インチ白黒テレビ(17K-531)

戦時中に開発が中断していたが、本放送の開始を機に陽の目を見ることに。当時の高卒初任給の50倍以上とかなり高価だった。

1953年
電気冷蔵庫(NR-351)

テレビ放送を機に始まった電化ブームの中で販売を開始。当時はテレビ洗濯機と並び“三種の神器”と呼ばれ、文化生活の象徴だった。

1954年
ナショナルハイパー乾電池

原材料や部品を自社内部で製造し、日本初の完全金属外装乾電池として登場。ナショナル乾電池飛躍のきっかけとなった。

1955年
電気カミソリ(MS10)

初の国産電気シェーバー。当時は電気カミソリと呼ばれていた。独自に採用した電磁振動式駆動方式が、ヒットの要因となった。

1958年
ホームクーラー(ウィンド型W-31)

現在のエアコンの原型として開発されたもの。まだ暖房機能はなく冷房専用だったが、扇風機に代わるものとして夏に重宝された。

シリンダー型電気掃除機(MC-8)

筒形デザインを採用し、取り回しの良さから人気に。掃除機分野では、その後、業界初の機能を次々と開発し、大きく飛躍していった。

1959年
電気自動炊飯器(SR-18)

毎年高機能モデルが開発される電気炊飯器の原点となった製品。扱いやすく故障しにくい上、炊飯性能にもこだわっていた。

電気乾燥機(MK-800)

日本初となる電気式衣類乾燥機。洗濯機と別体のタイプだったが、雨天時でも洗濯・乾燥ができるようになり、話題となった。

POINT】ここで創業者・松下幸之助氏について知っておこう

「経営の神様」松下幸之助とは!?

1894年に和歌山県で8人兄弟の末っ子として誕生。幼い頃の丁稚奉公の際に実業を学ぶ。10代の頃に電気に将来性を感じ、1918年に松下電気器具製作所を創設。1989年に94歳で生涯を閉じた。「経営の神様」とも呼ばれる。

「安くていいもの」を世の中に普及させたい
2018年3月にオープンしたパナソニックミュージアム。創業者の生涯や経営哲学を学べる松下幸之助歴史館に加えて、ものづくりイズム館が新設された。ここでは過去の家電製品など約550点を収蔵。パナソニックミュージアム館長の山田晶子さんが「全社内にある膨大な製品の中から、歴史的に意義のあるものを選んだ」と話すように、館内には家電の歴史を振り返る上で欠かせない製品がずらりと並ぶ。

ものづくりイズム館の奥側では、膨大な歴代製品などの8K映像をプロジェクターで投影する「ヒストリーウォール」も設置。社会背景、時代のニーズに即した取り組み、広告・宣伝の歴史も一望できる。

パナソニックの製品開発が始まるのは1918年のことだ。電灯につなぐプラグに続き、自転車ランプアイロンといった小型機器を次々と開発。1950年代には洗濯機冷蔵庫などの生活家電、テレビオーディオ機器など、幅広い分野に進出した。

この頃までに顕著なのは、世にあるものを改良して使い勝手を高めていたこと。最初の製品である改良アタッチメントプラグは、その名のとおり従来より優れた品質で評判となった。他の製品も長寿命や丈夫さ、静音性などを向上させて信頼を集めた。

もうひとつのこだわりは、価格にあった。まだ家電が普及し始めたばかりで、庶民には簡単に手を出せない時代。そんな中でも「便利な道具を世に広めたい」という松下幸之助の思いが、品質を保ったまま既存製品より3割から5割も安い価格を実現させた。

その後もテレビや小型ラジオ電子レンジ、長寿命乾電池など、多彩な家電を手がけたが、いずれも「便利な製品の普及に貢献すること」を重視した。先鋭的であることより、多くの人に便利さを実感してもらいたいという願いが根底にあったのだ。

1960年
電気自動皿洗機(MR-500)

日本初の食器洗い乾燥機。現在の食洗機の原点となった製品。ポンプを使った回転噴射方式によって、食器類の油や米粒も自動で洗浄できた。

1963年
電子レンジ(NE-100F)

電子レンジの1号商品。大型で115万円と高価だったため、主に業務用として利用。その後、家庭用の普及を目指すことになった。

オールトランジスタ テープレコーダー 「マイソニック」(RQ-303)

小型で電池駆動可能な家庭用テープレコーダー。操作性の良さや手頃な価格で、小中学生の間でも人気を集めた。

角型引掛シーリング

現在普及している照明器具の取り付け方式の原型となった製品。JIS規格を取得することで、日本中で使用されるようになった。

ハイトップ乾電池

長寿命を売りにした乾電池シリーズの第1弾。長期保存が可能で液漏れしにくい、さらに暑さ寒さにも強いなど、優れた点が多かった。

1970年
DDターンテーブル(Technics SP-10)

世界初のダイレクトドライブ方式を採用し、振動や回転ムラを解消したターンテーブル。その性能の高さが世界中で評価された。

1972年
赤外線リモコン搭載カラーテレビ(TH-6600FR)

リモコンの誤作動が問題となる中、安定動作する赤外線タイプを世界で初めて採用。現在普及しているリモコンの原型となった。

1977年
VHSホームビデオマックロード」(NV-8800)

VHS方式を採用し、長時間録画と鮮明な映像が特徴だった「マックロード」が登場。タイマー録画など多彩な機能を備えて人気があった。

超薄型ラジオ ペッパー(R-012)

手帳サイズを目指して開発された製品で、従来の約1/3となる12.7mmの薄さを実現。この薄型化技術が、他の製品にも応用された。

1985年
VHSビデオ一体型カメラ(NV-M1)

内蔵したVHSテープに録画できる国内初のビデオカメラ。当時発売されていたビデオデッキにちなんで「マックロードムービー」と名付けられた。

どうしてパナソニックという名前なの?
Pan(汎、あまねく)」と「Sonic(音)」という言葉を組み合わせたもの。「創りだす音をあまねく世界中へ」という思いから、1955年に輸出用スピーカーに初めて使用された。2008年からは、コーポレートブランドとなっている。

1988年
IHジャー炊飯器(SR-IH18)

日本初となるIH(電磁誘導加熱)式を採用。高火力で手軽に美味しいご飯が炊けることで、この方式が主流となっていった。

コードレススチームアイロン「セパレ」(NI-S2000L)

日本初となるコードレスタイプスチームアイロン。本体からコードがなくなったことで、手軽にアイロン掛けができるようになった。

扇風機 「1/fゆらぎの風」(F-C303E)

高原に吹く風を分析し、心地よいと感じる「1/fゆらぎ」の自然な風を再現。現在主流となっているDCモーターを当時から採用していた。

1990年
ビデオカメラブレンビー」(NV-S1)

世界初の電子式手振れ補正技術ファジィ・ジャイロを搭載したシングルハンドムービーブレンビー」。手のひらサイズで、家庭用ビデオカメラの普及に貢献した。

1996年
頑丈パソコン 「タフブック」(CF-25)

屋外で作業する人向けにタフ性能を追求したパソコンゲル状特殊緩衝材などを使い、耐衝撃・防塵・防滴性能を高めた。

ノートパソコン 「レッツノート」(AL-N1)

ビジネス向けに作られたレッツノートシリーズ第1号機。軽量・コンパクトかつ高性能なことで、現在も続く人気シリーズとなった。

800MHzデジタル方式携帯電話 デジタル・ムーバP201HYPER

当時、世界最小・最軽量の携帯電話として発売。デジタル方式採用モデルでは初めて100gを切り、操作性の良さも相まってヒットした。

2003年
地上・BS・110度 CSデジタルハイビジョン プラズマテレビ ビエラ(TH-42PX20)

現在も続く薄型テレビビエラシリーズの第1号機。プラズマパネルを採用した高画質モデルで、専用台がオプションで用意されていた。

2008年
ミラーレスデジタル一眼カメラルミックス」(DMC-G1)

マイクロフォーサーズシステムを採用した世界初のデジタルカメラ。小型軽量ボデイで、ミラーレス一眼普及のきっかけを作った。

2014年
リファレンスシステム R1シリーズ(Technics SE-R1/SU-R1/SB-R1)

オーディオブランドテクニクス」の復活シリーズ第1弾。ハイレゾ仕様の最高級モデルが揃い、オーディオファンを唸らせた。

多彩なものづくりで社会に貢献していく
1990年代にはデジタル技術が台頭する。デジカメ携帯電話など新ジャンルや、生活家電にマイコン制御やイオン機能といった複雑な技術が加わっても、手に取ると素直に便利だと思える“らしさ”は健在。「世に求められるものを考え、製品を通して社会に貢献する」という松下幸之助の思いは、現在の製品にも脈々と息づいているのだ。

山田館長は「ものづくりイズム館では、製品開発に懸ける熱い思いも感じ取ってもらえる」と話す。パナソニックミュージアム全体についても「より地域や社会に開かれた施設でありたい」と考えているという。気軽に訪れて、長い足跡や開発時の思いに触れられる。パナソニックのみならず家電の歴史を学ぶ上でも、この施設にはぜひ足を運んでもらいたい。

パナソニックミュージアムに行ってみよう!


創業100周年を迎えた3月にオープン。松下幸之助の生涯や思想をまとめた「松下幸之助歴史館」と、歴代の製品を展示する「ものづくりイズム館」、「さくら広場」などからなり、パナソニックの歴史を多角的に学べる。
DATA
住所:大阪府門真市大字門真1006番地
TEL:06-6906-0106
営業時間:午前9時午後5時(変更になる場合あり)
休み:日曜、年末年始
料金:入館無料

日本で家電を作り続けて100年!
【子供にちゃんと教えたいパナソニックの家電大図鑑】


ほとんどの日本人なら一度は耳にしたことがあるパナソニックという企業名。おそらく部屋を見回せば、何かしらパナソニックの家電が一つは視線に入る、なんてのは“家電あるある”だろう。とはいえ世界的にも地名度が高い日本を代表する100年企業なのに、実は知らないことが多いのも事実。ここでは一番身近な家電を入り口に、100年の歴史、海外での華々しい展開、デザインの考え方、プロユーザーたちのパナソニック家電の評価までまとめて図鑑風にご紹介。親子でぜひパナソニックのスゴさを改めて知ってほしい。

※『デジモノステーション2018年11月号より抜粋。

text高橋智

photo田口陽介
(d.365
掲載:M-ON! Press