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今年は例年に比べて「風疹」という言葉を耳にする機会が多いと感じている人もいるのではないだろうか。それもそのはず、今月7日までに報告された今年の累計患者数は、昨年のおよそ12倍の1,103人にのぼっている。
ちなみに、1,000人を超えたのは過去5年間で初めて。引き続き、風疹の流行拡大が止まらない。
■「幼少期に感染したから大丈夫」を疑え!
毎日新聞の報道によると、風疹の患者数が年間1万4,000人を超えたという2013年の流行前の状況と似ているらしい。そのため「過去に風疹になったことがない」「1歳以上で2回の予防接種歴がない」これらに当てはまる場合は、予防接種を受けるよう呼びかけている。
また、「子供のころに感染しているから大丈夫」「親に聞いたから間違いなし」という言葉もよく聞くが、これも要注意だという。というのも、「風疹に感染したことがある」と答えた人の半数以上が、実際には「感染していなかった」との調査結果があるからだ。
■「風疹の経験アリ」と答えた半数以上が…
兵庫県のとある中学校で過去5年間(計310人)、風疹ワクチン接種前の2年生を対象に「過去風疹にかかったことがあるか」の調査を実施したそうだ。
その後、検査で「風疹抗体の有無」を調べた結果…「風疹にかかったことがある」と回答した42人中24人が「風疹抗体なし」。つまり、半数以上が「風疹にかかった経験なし」だったことが判明したという。なぜ、そんな思い違いがあるのだろうか。
■症状は幅広い
風疹は感染後2~3週間の潜伏期間があり、その後に発熱、発疹、リンパの腫れなどの症状がある…と説明されることが多い。しかし、必ずこれらの症状ができるわけではなく、症状がないケースもあれば、意識障害や重い合併症を引き起こすケースもあり、症状は幅広いという。
また、現在は検査で診断されることがほとんどのようだが、過去は症状だけで診断することも多かったそうだ。風疹ではない、違う感染症でも同じような症状が出ることもあり、症状だけで風疹だと確定することは、ベテランドクターでも難しいのだとか。
■企業も「集団予防接種」
メディアでも繰り返し報じられているが、風疹ウイルスのおそろしさは、妊娠初期の女性が感染すると赤ちゃんに障害が出るおそれがある、という点だ。
ロート製薬株式会社は、全従業員を対象に風疹ワクチンの予防接種を無料化することを発表するなど、職場で集団予防接種をする企業も出てきている。
妊婦や新たな命を守るためにも、とりあえず抗体検査を受けてみること、そして企業・個人ともに積極的に予防接種を検討すべきだろう。
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