家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成29年)から職業別・年代別の金融資産の平均を詳しくご説明していきたいと思います。また併せて調査結果から見えてくる、日本人の貯蓄に関する「実態」を考えていきます。

金融資産には何が含まれるのか

ここでいう金融資産には、預貯金、保険、有価証券、その他金融商品を含んでいます。ちなみに、貯蓄というと「貯金」と勘違いをしてしまう人も多いかもしれませんが、貯蓄も金融資産と同じような概念で、預貯金のほかに、株式や投資信託といった有価証券を含みます。

では、早速、世代別、職業別の金融資産保有額(金融資産保有世帯について)と金融資産を保有していない世帯(いわゆる金融資産ゼロ世帯)の比率のデータについて見ていきましょう。

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職業別・年代別の金融資産の平均額とゼロ世帯比率

年代別の金融資産保有額の平均とゼロ世帯比率

  1. 20代


    均額は524万円


    中央値は300万円


    融資産非保有割合は35.6%

  2. 30代


    均額は735万円


    中央値は420万円


    融資産非保有割合は33.7%

  3. 40代


    均額は1014万円


    中央値は650万円


    融資産非保有割合は33.7%

  4. 50代


    均額は1689万円


    中央値は1100万円


    融資産非保有割合は31.8%

  5. 60代


    均額は2062万円


    中央値は1400万円


    融資産非保有割合は29.4%

  6. 70代


    均額は2512万円


    中央値は1500万円


    融資産非保有割合は28.3%

職業別の金融資産保有額の平均とゼロ世帯比率

  1. 農林漁鉱業


    均額は2114万円


    中央値は1000万円


    融資産非保有割合は32.9%

  2. 建設業


    均額は1378万円


    中央値は800万円


    融資産非保有割合は38.3%

  3. 製造業


    融資産保有平均額は1510万円


    中央値は880万円


    融資産非保有割合は27.1%

  4. 運輸業、郵便業


    均額は1232万円


    中央値は770万円


    融資産非保有割合は38.1%。

  5. 卸売業、小売業


    均額は1403万円


    中央値は763万円


    融資産非保有割合は32.6%

  6. 宿泊業、飲食サービス業


    均額は1325万円


    中央値は700万円


    融資産非保有割合は41.0%

  7. 医療、福祉


    均額は1490万円


    中央値は641万円


    融資産非保有割合は29.7%

  8. 公務、教育、電気水道業


    均額は1519万円


    中央値は1000万円


    融資産非保有割合は21.0%

  9. その他サービス業


    均額は1459万円


    中央値は860万円


    融資産非保有割合は29.2%

職業別・年代別のデータから見えてくる事とは

年代別貯蓄額は年代があがるにつれ多くなり、70代がトップになっています。定年後の世代でもこれだけの資産を維持できているのには驚きです。

一方で、働き盛りの20代、30代、40代、50代は金融資産ゼロ世帯が30%を超えています。20代から40代までは子育てなどもともない、簡単には貯蓄できない環境かもしれませんが、今後、同比率がどのように推移するのかには注目です。

職業別のデータでは金融資産保有額の平均額は農林漁鉱業がトップになっています。中央値では公務、教育、電気水道業が1000万円となっており、貯蓄意識が高い業種であるともいえるでしょう。

また、宿泊業、飲食サービス業では金融資産ゼロ世帯が40%を超えている。平均値と中央値からだけでは見えてこない金融資産を持つ層とそうでない層の金額のレンジが大きそうではあります。今後、インバウンドでさらに成長すると期待される産業だけに、その就業者の給与所得の動向とともに金融資産の動向から目が離せません。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。