ついに2年目に突入した「新しい地図」。あらためてその意気込みと、香取慎吾の初個展を観覧すべく赴いたフランスの土産話を「月刊ザテレビジョン」の連載「草なぎ剛の『お気楽大好き!』」でたっぷりと語った。

【写真を見る】この日の撮影現場では、偶然にもガーゴイルと再会!?

■ 心を新たにまた3人で頑張ろう!という気持ちになりました

先日、パリに行ってきました。新しい地図の記念すべき1周年というその時に、まさか(香取)慎吾がルーブルで個展をやり(稲垣)吾郎さんも僕もパリにいるとは。1年前の新しい地図の旅立ちを思うと、本当にどうなるか分からなかったから、僕らは幸せだよね。“72時間ホンネテレビ”を皮切りにSNSを始めて、一つ一つの出会いだったり仕事だったりを積み重ねてきた結果がここにつながったのかなと。“ななにー”のホンネトークの中でたっぷり話をして、心を新たにまた3人で頑張ろう!という気持ちになりました。

今回の旅の目的は慎吾の個展を見に行くのがメイン。慎吾には悪いけど、ちょっと旅行気分だったかな。結構自由な時間もあったんでね。内覧会やパーティーで着るスーツは用意してくれるというので、スーツケースも機内に持ち込める程度のものでラクチンに。オシャレしたほうがいいんだけど、歩くかなと思ったので、いつもと同じ気に入っているデニムとGジャン、履き慣れた革靴を入れていきました。僕のユーチューブで紹介した滋賀まで行って買ったデニムも持っていったよ。パリで履いて、日本のデニムの味を出したいなとも思って。10年くらい前にNYで慎吾の舞台を見たときは、たくさん洋服を持っていったけど、今回はいたってシンプルでした。

芸術家としての一面が開花してきてすごい

早朝パリに到着。ホテルの部屋で少しゆっくりしたあと、ルーブルへ。ドキドキしたよね。初めての場所で雰囲気もアートな感じがあふれていて、広い会場が慎吾の作品で埋まっていた。今まで彼が絵を描いてきて、ずっとやってきたものの一部ではあるんだけど、こだわって展示されている作品が100点以上、その数にも驚いた。慎吾のことは分かってはいるんだけど、芸術家としての一面が開花してきてすごいなって。パリの目の肥えたアート関係の方たちに代わる代わる紹介され、この作品はこういう気持ちで描いたんですって感じで通訳の方を通して説明している慎吾を見ていて、ちょっと遠い存在の人にも感じたよね(笑)。日本のすごい新人が来た!と、パリの人たちが食い入るように作品を見ていて僕も誇らしかった。

慎吾は「ルーブルで個展ができたのはつよポンが背中を押してくれたから」とよく言ってくれるんだけど、僕、それ覚えてなくて。たぶんスタッフの方との食事会だったのかな。僕らの仕事を手伝ってくださる方がちょこちょこ現れたときに、たまたまアートに精通している方がいらして、慎吾に、「作品見せといたほうがいいんじゃない?」と言ったんだと思う。ジャスト1年前の話。言ってみるもんだよね。先のことは何も決まってなかったから、とりあえず言ったりやったりしないことには始まらないと思っていた自分がいた。とにかく当時は必死だった。

新しい地図を広げて、地図の中に慎吾のアートが一緒に進んできていて。それは偶然だったのかもしれないけど、こういう道が引かれていたのかなとも思ったり。この1年、映画もやったし舞台もあったし、慎吾自身も僕も吾郎さんもそうだけど、慎吾のアートは別な大きなこととして一緒に寄り添ってきてるもので。僕はアートをやるわけではないけど、新しい地図を一緒に描いている者としては、僕の中でも新しい色彩が生まれた気がしてる。いいスパイスになったといえば簡単な言葉だけど、本当にいい刺激になってます。彼のアートは、エンターテインメントの世界を広げてくれたと思います。 

■ パリという街が超好きになりました。古い街並みは僕のヴィンテージ好きの部分をくすぐる

慎吾の作品では10年くらい前に初めて描いた“黒うさ”と、100分の1スケールで描かれた東京タワーエッフェル塔の新作の絵が僕は好き。「独身貴族」(2013年フジテレビ系)で守さんの社長室に飾られた絵もあって、それもうれしかった。

出会いにはタイミングってあると思うんです。今回、パリに行って、僕はパリという街が超好きになりました。たとえば吾郎さんは20代前半とかでパリに行って良さが分かっているんだよね。だけど、僕が10代20代、まあ30代でもいいけど、いくらいい!いい!と言われても、自分でそう思わないと良さが分からないじゃないですか。でも今は心地いい。古い街並みは僕のヴィンテージ好きの部分をくすぐるし、街のどこを切り取っても絵になるところもいい。オルセー美術館に行ったんだけど、美術館、僕、初めて行ったんですね。そこでピカソを見て、本当にいいと思っちゃって。僕はそんな人じゃないのに、結構感動してる自分がいて。青の時代とか、時代時代で作風が変化していくのがすごく面白い。絵からエネルギーみたいなのが出てる気がして、引きつけられるんです。ルーブルモナ・リザもそう。ものすごい人で目の前に行くまですごく時間がかかるんだけど、間近で見たくて一番前まで出ていったのね。人生で初めて本物のアートに触れたというか、飾られているだけのものが醸し出すパワーに感じるものがすごいあった。だって、見て何を感じるかなんて正直分からないじゃないですか。でもそれが面白い。僕らの世界でも、演技も同じでね。何か感じてもらうものがないと面白くないわけで。だから以前も話したと思うけど、僕はそこにいるだけの人になりたい。それだけで何か感じてもらえるようになりたい。非常に勉強になりました。

■ いろいろ収穫があったパリの旅。ここからは12月にやる音楽劇「道」にロックオン!

パリでは慎吾と吾郎さんも一緒に買い物に行ったけど、見てるだけで欲しいものは僕は特になかったかな。(愛犬)クルミお土産に首輪とかと思ったけど、僕が持ってるほうがいいと思って。本場のフレンチブルは何人か散歩してる人を見たよ。やっぱりかわいかった。でもクルミが一番かわいい(笑)。朝ホテルの近くを散歩したり、今日の撮影現場にもいたけど、ガーゴイルノートルダム大聖堂に上ってたくさん見てきたので満足。

一つ心残りがあるとしたら、スタッフの方が1962年ギブソンハミングバードというギターを現地で借りてくれたんだけど、それがものすごくよくて、リース屋さんに駆け込んで売ってくれ!と交渉したけど断られたこと(笑)。でもパリで自分のオリジナル曲を歌ったからさ。「クソ野郎と美しき世界」っていうの。1番終わって2番弾き始めて、まだやるのかよ!と吾郎さんと慎吾にツッコまれたけどね。番組で使うか使わないのか分からないけど、開放的になって最後まで歌っちゃった~。そういえば「嘘の戦争」(2017年フジテレビ系)でタイに行ったときギター買ったな。ジプシーローズって安いギター。やっぱりいいギターが弾きたくなっちゃうので、あれ以来弾いてなくて。家にあるけど、いつもクルミが踏んづけてる(笑)。

本当に楽しかったです。僕の中でいろいろ収穫があったパリの旅。ここからは12月にやる音楽劇「道」にロックオン。これはイタリアの作品で、こじつけになるけど、同じヨーロッパの風をまとってきたわけなのでね。全力を注いで楽しんでいくかな、という感じです。(ザテレビジョン

「僕、美術館に行ったの初めてなんです」とフランスへ行った際の土産話をする草ナギ剛