U-19アジア選手権で2試合連続ゴール 久保には「刺激を受けています」

 影山雅永監督が率いるU-19日本代表は、インドネシアで行われているU-19アジア選手権で初戦の北朝鮮に続きタイにも3-1で勝利し、2連勝でグループリーグ首位通過を決めた。

 北朝鮮戦(5-2)では2-0から一度は追いつかれ、タイ戦でも3-0から1点を返されて、さらに大きなピンチを何度も迎えるなど内容は決して“楽勝”ではないが、それでも2試合8得点の攻撃は非常に魅力的だ。

 17歳でチームの中心的な役割を担うFW久保建英横浜F・マリノス)に注目は集まるが、攻撃陣にはその他にもタレントが揃う。久保と同じく“飛び級”で2017年のU-20ワールドカップ(W杯)に出場したFW田川亨介(サガン鳥栖)や、北朝鮮戦で途中出場からゴールしタイ戦では鮮やかな突破から2アシストを記録したMF安部裕葵(鹿島アントラーズ)、2試合3得点のFW宮代大聖(川崎フロンターレ)などが輝かしい才能を発揮している。

 そのなかでも必見のヤングタレントがいる。久保と同じ2001年生まれの17歳、FW斉藤光毅(横浜FCユース)だ。北朝鮮戦で1得点1アシストを記録した斉藤は、タイ戦でも安部のスルーパスに抜け出し、技ありシュートでゴールネットを揺らした。

「動き出したタイミングで上手くパスが出てきたので、相手に当たってちょっとコースも変わったんですけど、どうしようかなと思ったんですが、コースがなかったので相手のタイミングを外してちょんちょんとうまくいった」

 そうゴールを振り返る斉藤は、2トップを組んだ宮代との関係について「すごくやりやすいので、自分にとっても。抜けたら入ってきて、抜けたら入ってきての繰り返しだと思うんですけど、大聖くんはキープ力もあるし自分も自由にできる」と語るが、「攻撃では二人とも落ちちゃったり、上がっちゃったりとかたまにあったので、それは二人で話し合って改善したりいろいろ聞いたりして改善できたら」と、課題を口にすることも忘れなかった。


理想の選手は「アグエロアザール」 いずれは「そこに行きたい」

 北朝鮮戦では久保のスルーパスに見事な動き出しで合わせて、左足で鮮やかにゴールを決めた。その久保については「同年代とかはあんまり関係なく。もちろん自チームで建英が点取ったりとか、そういうのは自分で刺激を受けています」と語る。それでも現在は、U-19日本代表のチームメイトとして「チームとして年齢とか関係なく、チームワークをしっかりと築いていければ」と切り替えて考えているようだ。

「ユースからトップに上がって、それでしっかりもらう前のアイデアみたいなものを、しっかり持っておかないと何もできなくなっちゃうので、そこは練習中も意識しながらやっているんですけど、そういうアイデアがハマるのもあれば、その一個のアイデアがダメだった時に二個目のアイデアが上手く出てくると思うので、そこはしっかり意識してやっていきたい」

 攻撃のビジョンについてそう語る斉藤。ここまでの2試合では2得点につながった動き出しの良さが目立つ斉藤だが、ドリブルからシュートに持ち込むプレーも得意としており、理想の選手として「アグエロとかアザールですね」と名前を挙げた。憧れの選手に、同じポジションのワールドクラスの名前を挙げる選手は珍しくないが、斉藤がただの若者ではないのは「トップクラスなので、そこには行きたい」と、明確にイメージしていること。単なる憧れではなく目標なのだ。

「やっぱり毎週毎週、得点を量産できるFWになっていかないとダメですし、苦しい時に結果を残せるFWだったり、アタッカーになっていければなと思います」

 そう語る斉藤は前回のU-20W杯で活躍したMF堂安律フローニンゲン)が、すでにA代表で活躍していることにも刺激を受けている。「この大会を通して上手く上にもっともっと行ければ」と、まだあどけない表情の中にも野心を隠さない17歳だが、「まず(U-20)W杯の切符を勝ち取って、アジアチャンピオンになるというのをしっかり目標にして、一個一個の試合で今のチームに貢献して、個人的にも良いプレーができたら」と、地に足をつけてステップアップしていく大事さも自覚している。

 同年代の先頭を突き進んできた久保を一つの刺激にして、ここまで駆け上がって来た斉藤。良きライバルとして、頼れるチームメイトとして、ともに世界への道を突き進んでいく。


(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

FW久保建英と同じ2001年生まれの17歳FW斉藤光毅(右)【写真:ⒸAFC】