23日午後11時過ぎ。菅義偉官房長官が緊急記者会見を開いた。内戦下のシリアで15年に入国後に3年以上行方不明になり、過激派組織に拘束されたフリージャーナリストの安田純平さん(44)が解放されてトルコ当局の入館施設にいるという情報がカタールから寄せられたことを発表。「諸般の情報を総合すれば、本人である可能性が高い」と述べた。

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 安田さんの拘束が明らかになったのは16年3月17日。安田さんとみられる男性の動画がネット上で投稿された。髪やひげを伸ばした男性が英語で「私はジュンペイ・ヤスダです」「今日は私の誕生日、3月16日です。彼らから『メッセージを送っていい』と言われた」などと話した。

同年5月末には再び、「助けてください これが最後のチャンスです 安田純平」と手書きの日本語で書かれた紙を持った男性の画像がネットに投稿された。今年7月には動画が2度投稿された。安田さんとみられる男性は「私の名前はウマルです。韓国人です」「とてもひどい環境にいます。今すぐ助けてください」と訴えた。背後には全身黒装束の2人が銃を構えて立っていた。投稿者はトルコ在住のシリア人男性。シリア北西部を拠点に置くテロ組織・ヌスラ戦線の代理人を名乗り、安田さんをシリア北西部で拘束して日本政府に身代金の支払いを求めていると語っていた。

 安田さんは04年4月にもイラクで取材中に武装勢力に拘束され、3日後に解放された。その後もイラクシリアでの現場取材にこだわったが、「自己責任」と批判する声もあった。今回の解放情報で多額の身代金が支払われたという真偽不明の情報が報道されると、安田さんに対してネット上でバッシングの嵐となった。「行くなと言われてる場所に行くからには完全自己責任。こういう人に税金は使わないでもらいたい」、「もうパスポートを取り上げた方がいいと思う。こういう人にパスポートを発給してはいけない。ジャーナリズムを勘違いしている。パスポート没収の上、身代金が公金なら全額請求するべき」、「この人は純粋な被害者じゃないし、テロリストと取引をしてはならない。日本人は金になると思われれば、第二第三の日本人が狙われ犠牲者を増やしてしまうことになる」、「人の命の価値はお金では計れないと思うけれども彼ひとりの命を助けるためにどれくらいのお金がかかったのかしっかりと産出して公表してほしい。それで彼の行動と顛末が良いか悪いか国民ひとりひとりが考えればいい。かかった費用は身代金のコストだけではない」とネット上のコメントは安田さんの行動に批判的な意見が大半を占めた。

 テロ組織が活動する場所は渡航が危険でなかなか報道されない。現地の様子を伝えるために、果敢に取材する価値を強調する意見もある。「安田さんのようなジャーナリストがいないと中東の本当の姿が見えてこない。リスクを背負って取材しているのだから助けるのは当然のこと。命より重いものはない。身代金を払ってでも助けるのは当然」と批判に異を唱えるジャーナリストの同業者も少なくない。無事に帰国することを願うと共に、安田さんの発言が注目される。

シリアで安田さん解放情報も…「身代金に税金を使わないで」とネットバッシングの嵐