ドラフト会議に指名された選手は大々的に報道され、夢舞台での活躍を誓いますが、プロの世界は甘くありません。バリバリの1軍として活躍できるのはほんの一握りです。

 指名した選手が実際に結果を残せるかどうかは、一種の賭けともいえます。監督やコーチとの相性もあり、アマチュアでの実績がそのままプロで反映されるとは限らないのです。

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 そんな中、指名選手がしっかりとレギュラーに定着したドラフトは「神ドラフト」と呼ばれ、その球団のファンにとっては何だか誇らしくなったりもします。スカウトの眼力とコーチ陣の育成能力がホンモノであると実証されるからです。ここ10年の「この年、この球団の指名が最高すぎる」例をいくつか挙げてみました。

【2008年・日本ハム
1 大野奨太 捕手 東洋大
2 榊原諒 投手 関西国際大
3 矢貫俊之 投手 三菱ふそう川崎
4 土屋健二 投手 横浜
5 中島卓也 内野手 福岡工
6 杉谷拳士 内野手 帝京
7 谷元圭介 投手 バイタルネット

 さすがはドラフト巧者のファイターズ。大野と中島はセンターラインの軸として機能しました。杉谷はグラウンド内外でチームを牽引する存在に。ブルペンを支えた榊原、矢貫、谷元の奮闘も特筆に値します。

【2010年・西武】
1 大石達也 投手 早大
2 牧田和久 投手 日本通運
3 秋山翔吾 外野手 八戸大
4 前川恭兵 投手 阪南大高
5 林崎遼 内野手 東洋大
6 熊代聖人 外野手 王子製紙

 「6球団競合した大石が期待外れだった」で済ますのは簡単ですが、2位で牧田、3位で秋山の破壊力はハンパないっす。レオ党に好評なのは6位の熊代。ムードメーカーとして縁の下から支えました。

【2011年・日本ハム
1 菅野智之 投手 東海大
2 松本剛 内野手 帝京
3 石川慎吾 外野手 東大阪大柏原
4 近藤健介 捕手 横浜
5 森内寿春 投手 JR東日本東北
6 上沢直之 投手 専大松戸
7 大嶋匠 捕手 早大ソフトボール

 万が一、菅野が入団していれば上沢と二人でWエースですからね。しかも上沢を下位の6位からしっかり育て上げました。安打製造機・近藤を4位で獲ったのも凄い。2位・松本、3位・石川と華のある高卒野手を獲得する点は「プロ野球ai」の読者にも大好評です。そしてソフトボーイ・大嶋の指名には誰もが度肝を抜かれました。まさに神ドラフト。最高すぎます。

【2013年・ソフトバンク
1 加治屋蓮 投手 JR九州
2 森唯斗 投手 三菱自動車倉敷オーシャン
3 岡本健 投手 新日鉄住金かずさ
4 上林誠知 外野手 仙台育英
育成1 石川柊太 投手 創価大

 鉄壁ブルペンの2人を1、2位で獲得。4位で高校球界屈指のバットマン・上林を確保して、鍛え上げました。FAや外国人を巡るマネーゲームも強いですが、ホークスが常勝軍団である根底の理由は、スカウティングと育成であると再認識させられます。

【2013年・広島】
1 大瀬良大地 投手 九州共立大
2 九里亜蓮 投手 亜大
3 田中広輔 内野手 JR東日本
4 西原圭大 投手 ニチダイ
5 中村祐太 投手 関東第一

 1位の大瀬良はエースに成長。2位の九里もローテ投手としてメドが立ち、3位の田中はカープ黄金期を支える名ショートになりました。上位指名の選手がしっかりと勝利に貢献できれば、そりゃあチームは強いはずです。

【2016年・西武】
1 今井達也 投手 作新学院
2 中塚駿太 投手 白鴎大
3 源田壮亮 内野手 トヨタ自動車
4 鈴木将平 外野手 静岡
5 平井克典 投手 ホンダ鈴鹿
6 田村伊知郎 投手 立大

 源田なくして常勝・西武の復権は果たせなかったでしょう。セットアッパーとして大活躍の平井を5位で獲得できたのも大きい。そして1位指名の今井は令和の完封勝利第1号を記録するなど頭角を現す。今後の期待値も込めて、神ドラフトに認定します。

 いかがだったでしょうか。その年のドラフトが成功だったか、失敗だったかは、年月が経過してみなければ分かりません。上位指名の選手がしっかり機能した上で、下位からレギュラー勢を脅かすイキのいい選手が出てくるかどうか。金の卵たちの奮闘を見守っていきましょう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


この10年の神ドラフト史!この年、この球団の指名が最高すぎる