クラウドファンディング」という言葉は、もはや目新しいものではなくなってきた。特に企業からは、飛び道具的に使う目新しい手法としてではなく、マーケティング要素を兼ね備えた戦略性の高い資金調達法として注目されている。

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 そこで今回は国内に存在する主なクラウドファンディングのプラットフォームサイトを調査し、出資者へのリターンの違いから「購入型」「寄付型」「投資型」の3つのタイプに分類したカオスマップを作成した。

クラウドファンディングとは?

 クラウドファンディングとは群衆を意味する「クラウドcrowd)」と資金調達「ファンディング(funding)」を掛け合わせた造語で、達成したい目的をもった企業や団体、個人がインターネット上のプラットフォームを使って不特定多数からの出資を募る資金調達方法のことだ。

 プロジェクトの起案者はプロジェクトの目的や資金の用途、マイルストーンなどを提示し、出資者に対して出資額に応じた何らかの見返り(リターン)を渡す。出資者はリターン目的の場合もあれば、純粋にプロジェクトを応援したいがために出資する場合もあるなど、様々なモチベーションを持っている。

 最近では、そもそも新しい製品やサービスにニーズがあるのかを調べるテストマーケティングの場としても活用されており、今後もさらなる盛り上がりが期待される市場だ。

 実際、矢野経済研究所が2017年9月7日に発表した国内クラウドファンディング市場の調査結果によれば、2016年度の国内クラウドファンディングの市場規模は新規プロジェクト支援額ベースで前年度比96.6%増の745億5100万円に拡大しており、今後も拡大基調が予測される。

 では、各タイプの特徴と注目すべきクラウドファンディングサイトについて見ていこう。

「購入型」クラウドファンディング

 このタイプでは、出資者は出資額に応じた物やサービスリターンとして受け取ることができる。法的な規制のある投資型に比べて参入障壁が低い上に、かなり自由な使い方ができるとあって、3タイプ中で最もサイト数が多い。

 また、購入型には「All or Nothing」方式と「All-In」方式の2つの方式がある。「All or Nothing」方式では募集期間内に目標金額を集められなかった場合、プロジェクトは不成立となり、それまで集まった金額は出資者に返金される。一方「All-In」方式では期間内に目標金額に達しなくともプロジェクトの成立が認められ、それまでに集まった金額を受け取ることができる。基本的には「All or Nothing」方式のみを採用しているサイトが多い。

総合型領域

クラウドファンディング」と聞いて多くの読者がイメージするのはこの総合型だろう。アートやテクノロジーガジェットに書籍出版まで、多岐にわたるプロジェクトを立ち上げ、出資を募ることができる。世界で最も有名なクラウドファンディングサイト、「Kickstarter」もこの領域にあたる。

●CAMPFIRE

 国内最大規模のクラウドファンディングラットフォーム。2017年2月17日からは東京海上日動と連携して日本初の「クラウドファンディング保険」の提供を開始。資金調達に成功したプロジェクト支援者を起案者による資金の持ち逃げなどから守り、市場を健全化するための取り組みも行っている。運営はCAMPFIRE。

「寄付型」クラウドファンディング

 このタイプは端的に言えば、インターネット上で行う募金活動。特にリターンは行われないが、プロジェクトによっては出資者に対してお礼の手紙を送付したり、プロジェクトの進捗報告を行うことも。街頭等での募金と違い、具体的なプロジェクトを選んで寄付をすることができる点は出資者にとってのメリットであり寄付型クラウドファンディングの特徴でもある。

福祉・社会貢献領域

JAPAN GIVING

 日本最大の寄付型クラウドファンディングサイト。社会をより良くするための活動をしながら資金的な応援を必要としている団体(NPO、公益団体、行政、ボランティアグループ、企業等)や個人と、社会の役に立ちたいという思いを持つ支援者とをつなげるプラットフォームを提供している。台風で壊れた校舎の修繕費や、発展途上国に設立された孤児院の運営費を集めるプロジェクト等が掲載されている。運営はLIFULL Social Funding。

「投資型」クラウドファンディング

 このタイプは出資者に対し金銭でのリターンが発生するため、前掲の2つとは違い投資や資産運用目的で活用される。「金融型」とも。購入型に比べると数は少ないが、市場規模では圧倒的に上回っているのも特徴。上述した矢野経済研究所の調査によれば、2016年度の市場規模を類型別にみた際、購入型が約62億円、寄付型が約5億円に対し、投資型(金融型)全体では約675.4億円。クラウドファンディング市場の9割以上を占めており、市場拡大に大きく貢献している。

 今回のマップでは一般的な3類型に加え、不動産特化で有名なサイトを別途「不動産投資」に分類した。

融資(貸し付け)型領域

ソーシャルレンディング」「クラウドレンディング」とも。資金調達をしたい企業に対して、出資者から集めた資金を「融資」する。そして出資者にはリターンとして利子の一部が分配される仕組み。一般的な預金等よりもハイリターンが期待できるため、投資家からの注目度も高い。

Crowd Bank

 国内で初めての、証券会社が提供する融資(貸し付け)型クラウドファンディングサイトとして有名。これまで個人では難しかった少額からの投資や、短期間からの運用を可能にしている。日本クラウド証券が運営。

株式投資型領域

 出資者は非上場企業の株式を購入できる。非上場の株なので当然流動性はないが、リターンとして業績に応じた配当を受け取れる可能性がある。個人では難しかった「非上場の有望ベンチャーへの投資」を可能とする仕組みで、成長市場の一つ。

●Fundinno

 資金調達を行いたい中小・ベンチャー企業と出資者(投資家)を結ぶプラットフォームを提供。出資者側のリスクが高くなる領域のため、同プラットフォームでも応募企業の審査や資金調達完了後の企業サポート等に力を入れている。運営は日本クラウドキャピタル。

ファンド型領域

 出資者は売上金の一部や製品、サービス等、出資した事業の成果に応じたリターンが受け取れる仕組み。金銭以外のリターンを受け取れることも多いため、一部購入型的な要素も含まれるが、こちらはプロジェクト成立時点でリターンは確定されず、売上等に応じて変動するという特徴がある。これは事業者側にとって、リスクをある程度分散できるというメリットにもなる。

●セキュリテ

 経済的な価値と社会的な価値の両方を追求したファンドを掲載。ファンドの審査時、評価軸の一つにグローバルな指標である「持続可能な開発目標(SDGs) 」を採用している。運営はミュージックセキュリティーズ。

不動産投資領域

 投資型クラウドファンディングサイトの中には不動産系プロジェクトを中心に扱う物も多く、不動産投資家からも関心を集めている。通常多額の準備資金が必要となる不動産投資を少額から始められる上に、プロジェクトへの出資を通じて効果的な物件の利活用法を学ぶこともできるからだ。

Crowd Realty

 不動産に特化した投資型クラウドファンディングサイト。国内外の不動産関連プロジェクトを取り扱う。地域再生的な性質を持つものなど、ユニークプロジェクトが多い。運営はクラウドリアルティ。

リスクを踏まえ、目的に合ったプラットフォームを選ぼう

 事業者にとって資金調達の手段が増えたことは喜ばしいことだが、それ以上に、資金を集めながらニーズの有無や消費者の反応をダイレクトに確かめられるようになったことの有用性は非常に大きい。

 もちろん、資金が得られない可能性やアイデアの流出リスク等を踏まえる必要はある。しかしそれでも、従来では日の目を見なかったような斬新なアイデアを世に出す道筋は整ってきたのだ。目的を明確にして適したサイトを戦略的に活用すれば、ビジネスの推進力として大いに役立てられるだろう。

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