日本を代表する企業が加盟する経団連の会長執務室に、今年までパソコンが設置されていなかったことが10月24日に報道され、話題になっています。日立製作所の中西宏明会長が5月に会長就任後、初めて設置されたといい、SNS上では「シャレにならない」「20年前の新聞?」「若い人が会長になってほしい」などの声が上がっています。

 経団連の広報担当者に聞きました。

「メールアドレスが欲しかった」

 経団連会長は「財界総理」とも言われ、日本の経済界を代表する存在です。報道によると、中西会長の就任まで執務室にパソコンはなく、職員とのやり取りは主に紙で行われていました。

Q.今年5月に初めて会長室にパソコンを設置したという報道は事実ですか。

担当者「はい、事実です」

Q.なぜ中西会長が就任するまでパソコンが設置されなかったのでしょうか。

担当者「分かりません」

Q.中西会長がパソコンを設置した理由は。

担当者「24日に行った経団連の定例記者会見の中で、出席した記者からも同様の質問がありました。その際、中西会長は『パソコンのメールアドレスが欲しかった』『(会長室で)常時、ネットが使える状況にしたかった』などと話していました。また、以前からタブレット(型端末)を活用し、部下に仕事の指示を行っていたと説明していました。

歴代会長が執務室でパソコンを使用しなかった件について、中西会長は『経団連の仕事には(パソコンを)使っていなかったのでは』と話しています」

Q.歴代の会長と経団連の職員は、どのようにやり取りをしていたのでしょうか。

担当者「対面によるコミュニケーションがメインで、電話や書面によるやり取りもありました」

Q.パソコンの設置で業務は効率化されましたか。また、職員からの意見は。

担当者「(効率化については)分かりません。特に意見も上がっていません」

 IT関係では、韓国やインドに遅れを取っているとされる日本ですが、財界トップの部屋がその“象徴”だったのかもしれません。

報道チーム

中西宏明・経団連会長(Getty Images)