リンクス10月24日、都内で国内におけるSCADAの活用状況に関する説明会を開催。同社が取り扱うオーストリアCOPA-DATAのSCADA「zenon」の導入に向けたテストを大塚製薬工場が開始することを明らかにした。

スマートファクトリの実現には、全体の生産計画から、それを個別の製造装置にまで縦に一気通貫でつながることが求められる。具体的には、生産計画やデリバリなどを含むビジネ全般をマネジメントするERPをトップに、そのデータをもとに製造設備に直接アクセスして、生産現場での現在の状況の最適化を図ることを可能とするMES(製造実行システム)、リアルタイムで製造設備などの情報を収集し、分析を行い、製造の最適化を可能とするSCADA(Supervisory Control and Data Acquistion)、そして製造装置のコントロールを行なうPLCといった階層構造となるが、日本の場合、多くが1990年代後半のSCADA登場時に導入を見送り、MESとPLCを直接接続し、優秀な人材のノウハウを活用することで、工場の運用が行なわれることが多かった。また、SCADAを導入したとしても、それはデータの表示ツールとしての活用が主であり、リアルタイムでの生産の状況を分析するといった活用には至っていなかったという。

こうした現状についてリンクスの同社代表取締役社長である村上慶氏は、「MESからの作業指示書が紙で出力され、現場の人間がそれをもとにPLCに設定を行い、作業記録も手書きで行なうなど、MESは作業指示書を出すもの、という認識が強い。各階層ごとの横の自動化は、隅々まで行なわれているのに、縦の自動化は優秀な人間が持っているノウハウを活用してきたことで、データが残らない状態となっている」と指摘。今後、さらなる生産性の向上などを実現していくためには、縦方向のデジタル化は不可欠であり、そのためのSCADAの活用は欠かすことのできないものとなるとする。「人の作業をデジタル(SCADA)に取り込んでいこうという提案を行なっている」(同)。

また、「SCADAPLCがつながることで、広い工場であっても、どこで何が起こっているかをリアルタイムで見ることができるようになる。各工程や製造物の詳細なデータを見たい場合は、すぐにそれを見ることができ、何番のXXというパーツがどこを動いているかか、エラーの状態など、統合的にデータを見ることができる」と、SCADAメリットを強調するほか、クラウドに挙げるのではなく、工場内にSCADA用のPCを入れるだけですむので、IT部門を介在させないで導入することもでき、かつデータの外部流出という懸念も抑えられるともする。

では具体的にどのようなことが可能となるのか。同社では、MES-SCADA-PLCと縦につながることで、人とシステムの一体化が進み、それにより上述したような製造ライン全体の稼働状況を俯瞰的に見たり、Webブラウザベースでどこでも、そうした状況を確認できるようになるほか、PLCデバイスデータを個別サーバを立てることなく集中して管理できるようになる、製造データで品質の担保が可能となる、レポートの自動生成が可能となる、故障原因をリアルタイムデータから解析することが可能となる、作業指示値を各PLCに持たせることなく一元管理が可能となる、作業手順を提示して、そのとおりに進めなければ製造を進ませないことで、歩留まりの向上を狙えるといったことなどを挙げている。

リンクスがSCADA導入に注力する4つの産業分野

製造業全般での活用が期待されるSCADAだが、同社としては「自動車」、「食品・飲料」、「エネルギーインフラ」、「医薬品」の4つの産業分野にフォーカス。その第1弾となるのが大塚製薬工場によるテスト導入だという。また、並行して自動車分野でも1社がテスト導入の準備中とのことで、こちらも早ければ半年ほどで製造ラインの一部に対するデータ表示をメインテスト導入が始められる予定だとしている。

大塚製薬工場が今回のSCADAテスト導入に至った背景には、医薬品業界でのデータインテグリティ(データの完全性に対する担保)や、パラメトリックリリース(医薬品の安全性保証)のためにデジタル化によるデータの信頼性を確保する必要が出てきたため。デジタル化により、誰がいつ、どこで何を変更したのか、その理由はなぜか、といったことをすべて残しておくことで、そうした課題に対応することが目的の1つとなっている。

また、属人的な知見をシステムデジタルデータとして蓄えることもできるため、その人が不在の場合であっても、そのデータを活用して同じことができるようになるといった技術継承や、生産の高度化といったことも期待されているという。

なお、リンクスでは、大塚製薬工場や自動車分野での取り組みを皮切りに、SCADAについてのノウハウなどの蓄積を進め、同一産業分野での横展開を図っていくことを目指すほか、注力する残りの2分野(飲料・食料、エネルギーインフラ)にも順次、販路を広げていきたいとしている。
(小林行雄)

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