現行型ホンダNSXは北米で生産され、日本に輸入されています。発表から2年で2370万円という高額なスポーツカーが当初の計画を上回る約400台もオーダーが入っているには驚かされます。しかも受注生産のため、納期は半年から1年となっています。

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そんな人気の高いスーパースポーツカーNSXですが、2018年10月25日に発表された19年モデルからは開発拠点が日本になり、開発責任者も日本人が就任しています。発表会でNSXの開発責任者にインタビューすることができました。

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今回、NSXの開発責任者となったのは水上聡(みずかみ さとし)さん。約20年前から車両開発に携わり、車両のダイナミックス性能領域を担当している方です。2014年からダイナミック性能統括責任者(マイスター)となり、ホンダ車全般のダイナミック性能を見ていて、このNSXも開発段階から携わっていたとのこと。

水上さんの現在の愛車はかつて自分が車体開発研究を行った、最終型のインテグラ・TYPE S。このクルマに対しては「あの軽さが良いですよね。中古車を探して手に入れました」と笑顔で話してくれました。ちなみにお子さんは同じ最終型のインテグラ・TYPE Rに乗られているそうです。

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早速、水上さんに今回のマイナーチェンジの狙いを聞いてみました。

ホンダの人間中心のクルマ作りという点を追求したというのが一番わかりやすいかもしれません。操る人間の感性とクルマの性能は若干ズレがあります。ドライバーが気持ち良い加速と機械の正確な加速性能は違うのです。そういった人間のアナログ感覚と機械のデジタルをフィッティングさせるということを行いました」

それは、一体どのようなことでしょうか。

「人間がリニアに感じる感覚と機械のリニアなレスポンスは違うのです。そこを、人間が操っていて気持ち良いそして喜びを感じられるように、SH-AWDの駆動の出し方やサスペンション、VSAなどを調整。さらにタイヤも新開発しました。今回行った変更はピアノなど楽器の調律と思ってもらえるといいでしょう。人間の感覚に合わせてセッティングを調整したということです」

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私もそうですが、皆さんかつてTYPE Rに関わった水上さんがNSXの開発責任者になったならば、NSX TYPE Rを期待してしまいます。

「もちろんそう言って期待してもらえるのは嬉しいことです。初代のNSXは徹底的な軽量化によるパフォーマンスアップがTYPE Rに求められたものでした。では、現行型NSXで同じような手法でクルマは速くすることが求められているのでしょうか。TYPE Rとは時代によって変化すると思います。したがって私もこのNSXにとって何をしたらTYPE Rとなるのかを探しているところです」

旧型NSX TYPE Rは現在でも非常に高い人気を誇っていますが、現行型NSXでは一体どのようなことをしたらTYPE Rになるのかは皆さんも興味があるでしょう。きっと水上さんならそういう声に応えてくれると期待しましょう。

(萩原文博)

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