新見「僕にとって“カワイイ”とは……。わからないっ!」

10月18日(木)放送スタートのドラマ『プリティが多すぎる』(日本テレビ系)。
総合出版社で文芸部のエースとして活躍していた新見佳孝(千葉雄大)が、原宿系雑誌『Pipin(ピピン)』編集部に異動させられてしまう。「可愛いか、可愛くないか」ですべてが決まる仕事内容や理由のわからない異動に対して、新見は反発心を隠せない。

『Pipin』編集部での仕事初日、表紙を飾る予定の読者モデル・キヨラ(長井短)に関するトラブルが起こる。用意されていた衣装の中に、キヨラが「カワイイ」と思うアクセサリーがなかったのだ。時間がない中、編集部員たちと新見は求められているカワイイアクセサリーを探し出そうとする。

新見「自転車の鍵が“カワイイ”……?」

原作は、大崎梢の同名小説。週刊誌の編集部で働いていた新見が、ローティーン(中学生)女子向け雑誌の編集部に配属されたところから物語がはじまる。その設定は、ドラマでは「文芸編集部から原宿系雑誌へ異動」と変更されている。

ドラマに登場する雑誌『Pipin』が参考にしているのは、2018年2月号で休刊となった雑誌『Zipper(ジッパー)』だろう。対して、原作で扱われているのは『nicola(ニコラ)』などの中学生女子向け雑誌。若い女性のファッションに関心がなければ、この2つの雑誌がどう違うのかよくわからない

実際、新見は表紙撮影の現場を経験しても「原宿系ファッション誌が示す“カワイイ”」が何を基準としているか全然わかっていなかった。それもそのはず、ドラマではいったい何がカワイイなのかを教えてくれていない。
原作では、価値を判断する基準のひとつとして「女の子はPが好き」というコピーが早々に登場する。

〈「女の子はPが好き」
 ショッキングピンクの大文字の下に、四人の女の子が思い思いのポーズを取り、リボンのついたボードを持っている。それぞれ「Pretty」「Pop」「Pure」「Pipin」とある。
 これが、この雑誌のキャッチフレーズなのだ。〉
(大崎梢『プリティが多すぎる』文春文庫 p.21)

「Pretty」で「Pop」で「Pure」なものをカワイイと思うのが、原作の『Pipin』の読者層。単語だけではまだわからないかもしれないが、ヒントにはなっている。
そんなヒントを知ることなく、ドラマ版の新見は配属早々、モデルが履くタイツのデニール数はどれが一番カワイイか? と迫られる。素直に「どれも同じじゃないですか」と言うと、こんな奴で大丈夫なのかと詰められる。気持ちはわかる気がするけど、厳しすぎるよ編集・佐藤利緒(佐津川愛美)!

1話でここまでノーヒントということは、これから我々も新見と一緒に「カワイイとはなんぞや?」を考えていくことになるだろう。新見は、自分の自転車の鍵を読モのキヨラに「カワイイ」と言われてもピンと来ていなかった。『プリティが多すぎる』の考える「カワイイ」とは何なのか、2話以降でもっとヒントが出てくるといいなあ。

やっぱり適役。カワイイ俳優・千葉雄大

カワイイとは何なのかに迫る本作。しかし、それを理解できない新見役を務める千葉雄大こそが、カワイイの権化とされる俳優だ。ファンや一般視聴者からもカワイイ俳優として認知されているうえ、その可愛さは芸能人をもとりこにしている。

2017年4月20日放送のTBSラジオ『木曜JUNK おぎやはぎのメガネびいき』。そこでは、「千葉雄大戦争! おぎやはぎvsハライチ岩井 〜澤部はいらないSP」と題して、おぎやはぎハライチのおじさん4人が千葉を奪い合った。千葉が目隠しされ、芸人たちにいたずらをされるコーナーもあった。公式サイトの放送ログには、芸人4人にかこまれて裏ピース&ウインクをしている千葉の写真が。女子アイドルや女性声優がファンと撮る写真みたいになっている。

また、同じ番組に俳優の綾野剛が登場した回では、千葉が寿司を食べるときの仕草がカワイイと綾野が絶賛していたという。(参考

しかし、20代半ばの頃の千葉は「カワイイ」とばかり言われる自分に悩んでいた。2017年6月、出演した情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)にて、そのことを告白。苦悩を乗り越えたきっかけは「あざとい」と言われ始めたことで、そこから「腹黒さも出していいんだ」と気付き、自分なりの「カワイイ」を確立させた。(参考

『プリティが多すぎる』もまた、新見が自分なりの「カワイイ」を見つけ出し成長するストーリー。千葉が適役なのはただ可愛さに定評があるからだけでなく、そうした苦悩を乗り越えた経験をここで活かせるからだ。幼い頃から「カワイイ」とからかわれて苦しんできた新見が、どんな結論を出すのか楽しみだ。

第2話は、10月25日(木)よる24時59分から。地方では同じ時間に放送していない場合もあるが、放送後にHuluの配信で見ることができる。
(むらたえりか

ドラマ『プリティが多すぎる』(全10話)
日本テレビ系 10月18日(木)スタート 毎週木曜24時59分〜
出演:千葉雄大、佐津川愛美、小林きな子、矢島舞美、池端レイナ、黒羽麻璃央、長井短、森山あすか、中尾明慶、堀内敬子、杉本哲太
原作:大崎梢『プリティが多すぎる』(文春文庫)
脚本:荒井修子、渡邉真子
音楽:西口悠二、Chocoholic
制作:千野成子、 池田健司
プロデューサー:小田玲奈、松永洋一(R.I.S Enterprise)、森有紗
演出:久保田充ほか
制作プロダクション:R.I.S Enterprise
(c)日本テレビ
公式サイト:http//www.ntv.co.jp/pretty/

イラスト/まつもとりえこ