キリスト教イスラム教など、多くの宗教において神様は唯一の存在だから数えることはありませんが、日本の神様を数えるときは、「1人、2人、3人」ではなく、「一柱(はしら)、二柱、三柱」と数えます。

どうして日本の神様は「柱(はしら)」で数えるのでしょうか。今回はその理由についてまとめていきたいと思います。

三代 歌川豊国「岩戸神楽之起顕」

神様を「柱(はしら)」で数える理由

日本は昔からいろいろなものを神様として崇めてきました。日本の神話をまとめた『古事記』には、実に多くの神様が登場します。

古来、神は自然物に宿るとされていましたが、その中でもとくに、「大木は神が宿るもの」と重要視されてきました。今でも神社にはご神木と呼ばれるものが見られます。

柱の形状にも由来があります。柱は地面から天に向かってまっすぐ立っていることから、「神が下りてくるための通り道」としての役割を果たしていると考えられていました。

このような神と柱に密接な関係があることから、「柱」で数えると考えられています。

神様を数えるとき、「座(ざ)」も使います

また、もう1つ神社で神様を数えるのに使う言葉として、「座」があります。「柱」との使い分けは必ずしも明確ではありませんが、「座」は神話の物語を語る場面では使わず、山や神社に鎮まった神様を数える場合に使います。

なお、『古事記』には、総数307柱の神様が出てきますが、このうちほとんどの神様は名前が出てくるだけにすぎず、実際に物語で活躍する神様は30柱ほど。ですので、この主要な30柱を覚えておけば、だいたい神代記の部分はカバーできます。

ちなみに、お守りや絵馬のような、神社で頒布されている授与品の数え方も、1個、2個ではなく、1体、2体と数えるのが正しい数え方になります。

それは、これら授与品には神様が宿っているおり、1つ1つが神様の分身であると考えているからです。

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