図書館戦争シリーズ有川浩による同名小説を映画化した『旅猫リポート』(公開中)で、主演を務めた福士蒼汰。本作は福士が演じた青年・悟と1匹の飼い猫・ナナが織りなすせつなくも心温まるロードムービーで、猫とたわむれる福士の無防備で愛くるしい表情が、観る者のハートを鷲づかみしそう。福士にインタビューし、ナナとの共演裏話や、今回の役へのアプローチ方法について話を聞いた。

【写真を見る】久しぶりに等身大の役柄を演じた福士蒼汰

ある事情で、可愛がっていた飼い猫のナナを手放さなければならなくなった悟(福士蒼汰)は、新しい飼い主を探そうと、ナナを乗せて車で旅に出る。悟は、小学校時代の親友(山本涼介)や、高校時代の友人(広瀬アリス、大野拓朗)など、これまでの人生で出会った大切な人たちを訪ねながら、自分の半生を振り返っていく。本作には悟とナナの絆だけではなく、友情や家族愛のドラマが随所に織り込まれていて、何度も涙腺を刺激される。

2018年は『ラプラスの魔女』でミステリアスな役どころを、『曇天に笑う』や『BLEACH』などではキレキレの殺陣を見せてくれた福士。今回の悟役は久しぶりに等身大の役柄となった。メガホンをとったのは、有川浩のラブストーリーを映画化した『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(16)の三木康一郎監督だ。

「最初に三木監督とお会いした時、『そのままの福士くんでいいんじゃない?』とおっしゃっていただいたので、自分の中にある悟と似た部分をより強く出していこうと思ったんです。とはいえ、猫とがっつり一緒にいるのは初めてだったので、大丈夫かな?とは思いました」。

犬を飼っていたという福士は「犬が散歩しているのを見かけると、触りたいなあと思って近づいてしまいます。でも、急に触るとびっくりするだろうから遠慮することも多いです」と、かなりの犬好きで、動物は全般的に好きだそう。

共演した猫のナナについては「表情豊かな猫で感情が見えるんです」とうれしそうに微笑む。「ナナが相手だったから、今回はあまりお芝居を意識していなかったです。わりと生身の状態で、猫しだいで自分のお芝居も変わる感じでした。ナナは基本マイペースですが、撮影をする時は必要なところでちゃんと止まったり、動いたりしてくれるというプロフェッショナルです。猫なのに、しっかりと表情がとれたのも不思議なくらいでした」。

内面に孤独感や葛藤を抱えているが、そういう負の感情をあまり表に出さない悟。笑顔の裏側に、そういう感情を絶妙なさじ加減でにじませる、という点が福士の新境地かもしれない。

「悟には、運命的な悲しいできごとも降りかかりますが、自分自身はそこをなるべく見せないように演じました。最初から『すごく温かく、前向きにいこう』という想いがありましたし、キャストスタッフさん含め、悲しい映画にするつもりはなかったので。劇中に起きるのは悲しいできごとだったりもするけれど、それが必ずしも感情として悲しいかどうかはまた別問題なのかなと。結果的にこの映画を観たあと、前向きになれたり、温かい気持ちになってもらえたりしたらいいなと思います」。

有川浩の「図書館戦争シリーズにも出演している福士だが、『旅猫リポート』も含め、有川作品の魅力をどう捉えているのか?

キャラクターが魅力的だなと。登場人物はみんないい人で、憎めない人が多いんです。特に『旅猫リポート』には悪い人が出てこないけど、物語がすごくすてきにまとまっているのは、有川先生の力だと思います」。

福士が1作目の『図書館戦争』(13)で手塚光役を演じた時はまだ19歳で、本作は「仮面ライダーフォーゼ」の制作チーム以外と組んだ初めての映画だった。その後、続編やドラマ化もされた「図書館戦争シリーズは、福士のキャリアにとって特別な作品となったからこそ、有川自身が「一生に一本しか書けない物語」とし、脚本も手掛けた『旅猫リポート』での主演が決定した時は「緊張しました」と告白。「でも、有川先生にお会いした時、猫が好きだということが伝わってきました。なので、自分の持っている、動物が好きな部分や、人が好きな部分、優しさや愛情を最大限に出せればいいなと思いました」。

俳優・福士蒼汰ナチュラルな素顔と共に、彼の出世作「図書館戦争シリーズからの成長も感じ取られる『旅猫リポート』。人と猫だけではなく、人と人との出会いや別れ、絆も丹念に描いた作品となったので、福士ファンや動物ファンだけではなく、幅広い年齢層の人々に観ていただきたい。(Movie Walker・取材・文/山崎 伸子)

福士蒼汰が主演映画『旅猫リポート』で猫と共演