俳優の織田裕二主演の月9ドラマ『SUITS/スーツ』(フジテレビ系/毎週月曜21時)の第3話が22日に放送された。本作の特徴はやはり、海外ドラマが原作だけあって、その「乾いた」質感にある。

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 第3話。甲斐(織田)は、一緒にクライアントの元へ行きたがる大輔(中島裕翔)に、必要ないと言い放つ。甲斐に同行することはおろか、会議への参加も認めてもらえない大輔は、パラリーガルの真琴(新木優子)に、仕事が欲しいと愚痴をこぼす。それを聞きつけた蟹江(小手伸也)は、大輔を外に連れ出す。

 その「ドライ」な感じは、まず登場人物の背景があまり見えないところにある。彼らがふだん何を食べ、どんな家に住み、どういった交友関係にあるのか。唯一、大輔の友人、家族が顔を覗かせるのみ。ほかのキャストはクライアントとのつながりしか見えない。
 
 また本来、登場人物の“人となり”が出やすいのが「行きつけの店」だ。同じ弁護士ドラマで言えば、日曜劇場『99.9 -刑事専門弁護士-』(TBS系)のキャストが集まるのは 小料理屋 「いとこんち」。米倉涼子主演の『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系/毎週木曜21時)では、彼女が大手の法律事務所と対決して疲れたときに立ち寄るのが鉄道バー「あずさ37」だ。

 『SUITS/スーツ』でも、高級中華料理屋で甲斐が大輔に弁護士バッジを渡したりするシーンはあるが、それらは単なる「シチュエーション」でしかない。

 このように、今までは「奥行き」を持たせるために描かれてきた“余白”の部分が極力削られているのは今作の魅力だろう。それがなくても特別物足りないとも思わないし、むしろすっきり見られる。なくても退屈せずに見られるだけの推進力がある。

 だが、そんなハードボイルドな作品になぜか出てくるのが、キャラメルなのだ。甲斐、そして中村アン演じる秘書・伽耶子が「江森ミルクキャラメル」というものをなぜか持っているのだ。乾いた作品に唯一、昔懐かしい味。この謎が解き明かされる日を楽しみにしたい。(文:塚田均)

(左から)織田裕二、鈴木保奈美 クランクイン!