10月25日(木)から28日(日)にかけて、スペインスペイン北東部カタルニア地方で開催されているFIA世界ラリー選手権WRC)第12戦ラリー・スペイン

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TOYOTA GAZOO Racing WRT(World Rally Team)は、ラトバラ/アンティラ組(ヤリスWRC 7号車)、タナク/ヤルヴェオヤ組(8号車)、ラッピ/フェルム組(9号車)と3台のヤリスWRCで参戦。

現在トップに立っているマニュファクチャラー選手権と、タナクが3位につけるドライバー選手権にとって重要な意味を持つ1戦だ。4日間で18本のSSを走りその合計距離は331.58km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1495.73kmとなる。

ラリーの拠点となるサービスパークが置かれるのは、バルセロナの西南約100kmに位置するサロウ。地中海に面したコスタ・ドラダ(黄金海岸)と呼ばれるリゾートエリア。今回の特徴は、シリーズ唯一のミックスサーフェス。グラベル(未舗装路)とターマック(舗装路)両方の路面を走行する。他のイベントでもグラベル主体、スーパーSSだけターマックなどのラリーはあるが、ここではデイ2までをグラベル仕様、デイ3以降をターマック仕様に車を換装して走る。

このため、デイ2走行終了後のサービスでは、車を脚回りを中心にグラベル仕様からターマック仕様へと換装する。通常よりも長い作業時間(75分)が与えられるが、充分な時間とはいえず、メカニックやエンジニアの力が試される。

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今回、話題の選手が多数エントリーしている。

話題の筆頭はWRC78勝、9連覇を果たした”アイス・クール・セブ”ことセバスチャン・ローブがシトロエン・C3WRCで参戦する。ローブは今年最後の参戦(予定)だが、未だ衰えない速さで残り2戦となった総合優勝争いを掻き回しかねない。

そして、もう一人”ハリウッド”と呼ばれた元チャンピオン、ペター・ソルベルグが参戦する。スバルでタイトルを獲得後にシトロエン、更にフォードに移籍。その後、活躍の舞台を世界ラリークロス選手権に移し、タイトルを獲得していた。今回デビューとなったフォルクスワーゲン・ポロGTI(R5仕様)でWRC2クラスに参戦する。このクラスには実兄へニング・ソルベルグも参戦中。WRC2クラスで久々の兄弟対決も再現される。

また、ドリフト動画で有名なケン・ブロックや、ラリーチャレンジプログラムを勝ち残った勝田貴元も参戦している。

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本番直前のシェイクダウンでは目下ランキング2位のセバスチャン・オジェ組(フォード・フィエスタWRC)がトップ。2位はラトバラ組トヨタヤリスWRC)、3位にテーム・スニネン組(フォード・フィエスタWRC)が入った。以下、ローブ組、ラッピ組、タナク組とフォードトヨタ勢の好調さが目立つ。

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その一方で、ヒュンダイ勢は8位のソルド組が最上位の他はミケルセン組が20位、ヌービル組は2回目の走行で横転し22位とRC2クラス中団にも後れを取った。

話題のペター・ソルベルグは総合10位(RC2クラス1位)、へニング・ソルベルグ組は13位。今年WRC2クラスで5戦5勝のヤン・コペッキー組は14位。17歳で1勝を挙げている話題のカッレ・ロバンペラ組は15位。勝田貴元組は29位であった。

競技は10月25日(木)の夜、バルセロナのモンジュイック地区でスタート。デイ1として、市街地の特設ターマックコースでSS1が行われた。

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SS1  バルセロナ(Barcelona 舗装路 3.2km) 最初のステージウイナーはオジェ組、2番手はヌービル組(ヒュンダイ・i20クーペWRC)、3位はヤリスWRCのタナク組とトップ3をチャンピオン候補の3クルーが占める。以下、ヒュンダイのミケルセン組、フォードエバンス組と続くが、6位にWRC2クラスのフォルクスワーゲン・ポロR5のエリック・カミリ/ベン・べリアスが飛び込んだ。8位にもシュコダ・ファビアR5のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルッツネン組が入り掻き回す。ラトバラ組は11位、ラッピ組は12位という滑り出しだ。

26日(金)のデイ2はサロウの西側で3本のステージを各2回走行。ステージはその大部分が中速のグラベルだが、SS4(リピートステージのSS7)は途中でターマック区間も走行する。

SS2  ガンデーザ1(Gandesa1 グラベル 7km) 前日の記者会見で「デイ2の午前中は慎重に行く」と語ったタナク組がトップタイムを奪う。2位にラトバラ組が入り、ヤリスが1-2を奪う。タナク組は、総合2位に浮上。ラトバラ組も7位に浮上する。

SS3  ペセルス1(Pesells1 (グラベル)   26.59km) ラトバラ組がトップ、タナクが2位と連続1-2を奪い、タナクが総合首位に躍り出た。更にラトバラも2位にジャンプアップし、総合順位でもトヨタ勢が1-2形成する。しかもここでオジェ組・ヌービル組共に奮わず、それぞれ6位/7位に後退する。

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SS4  ラ・ファタレア‐ヴィラルバ1(La Fatarella -Vilalba1 グラベル&舗装路 38.85km) トップはミケルセン組、2位はタナク組。3位にはシトロエンのローブ組が喰い込んだ。ここで、ラトバラ組に痛恨のパンクが発生。11番手タイムに止まり、総合順位が10番手迄ドロップする。

SS5  ガンデーザ2(Gandesa2 グラベル 7km) ダニ・ソルド組がトップ、2位はラトバラ組。タナク組は5位だが、オジェ組は8番手、ヌービル組9位と更に後方。

SS6  ペセルス2(Pesells2 グラベル 26.59km) 再びラトバラがトップ、タナクが2位。ラトバラは総合順位でヌービルをかわし8位に浮上。オジェ迄34秒差。タナク組は2位エバンス組に14.4秒差、3位ソルド組に19.5秒差で徐々に一人旅の様相を見せ始めた。

SS7  ラ・ファタレア‐ヴィラルバ(La Fatarella -Vilalba2 グラベル&舗装路 38.85km) 三度ラトバラ組がトップを奪い、総合順位を5位迄戻す。2位にはローブが入り、脱落する上位陣を尻目に総合4位に付けた。3位タナク組、4位にラッピ組とヤリス勢が好調を維持する。タナク組は2位のソルド組に26秒の差を付ける一方でラッピ組は10番手と、やや好調の波に乗り切れていない。

この日の最終サービスで、グラベル仕様からターマック仕様に換装し、明日からの舗装路での闘いに備える。

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このまま、タナク組が逃げ切り、ラトバラ組が援護射撃となる上位入賞を果たすと、ワールドチャンピオン争いの局面が大きく変わる。一方で、今年ターマックで速いヒュンダイ勢、そしてセバスチャン・ローブが掻き回すのか、デイ3,4に期待が高まる。

(川崎BASE Photo:GAZOORACING/Jaanus Ree/RedBull Content Pool)

トヨタ・ヤリス&オット・タナク、逆転チャンピオンを目指して首位激走!【WRC ラリースペイン・デイ1,2】(http://clicccar.com/2018/10/28/645194/)