行動科学理論にもとづくソーシャルマーケティングを行う株式会社キャンサースキャン(本社:東京都品川区、代表取締役社長:福吉潤、以下キャンサースキャン)は、大腸がん検診受診行動促進をテーマに環境省主催の「ベストナッジ賞」コンテストに応募いたしました。キャンサースキャンではナッジ等の行動科学の理論・知見を活用した行動変容の促進を推進してまいります。
■取り組み概要
<解決しようとした社会や行政の課題>
日本人のがん死亡者数の第2位である大腸がんを早期発見・早期治療するため、大腸がん検診(便検査)の受診率を上げなければならない。

<用いた行動科学の理論・知見>
プロスペクト理論。自分が行動を起こさないことによって、これまで自分が享受していた行政サービスが無くなってしまうという損失を回避したいという意識への働きかけ。

<実施内容>
時期:28年度4-5月頃企画、10月末実施、29年1月までの検診受診者数で29年3月に効果検証を実施。

背景:大腸がん検診は初回受診のみならず毎年リピート受診させる必要があるため、今回の対象では年度の始めに前年度の大腸がん検診受診者に、本人からの申し込みがなくとも便検査キットを自動送付している。しかし、便検査キットを送付したそれらの対象者のうち実際に受診に至る人は約7割に留まっていた。

取組み:年度初めに便検査キットを送付したにもかかわらず10月時点で未受診の人を対象にはがき送付による受診勧奨を行った。

仮説:はがきのメッセージを2種類作成した。パターンAは、大腸がん検診を受診することで検査キットが送られてくるという利得を継続的に得られる利得フレーム・メッセージであり、パターンBは検査キットの自動送付という行政サービスが今年度の自分の行動によっては提供されなくなるという、損失を強調した損失フレーム・メッセージである。人は損失をまず回避したいというプロスペクト理論によれば、パターンBの方が大腸がん検診の受診を申し込む人が増えるのではないかという仮説のもとにナッジの仕掛けを行った。
効果検証:パターンAを送った群とパターンBを送った群とで、受診率を比較した。


<効果測定の手法>
RCT(ランダム化比較試験):
パターンAのメッセージを受け取った群とパターンBのメッセージを受け取った群の受診率(29年1月末時点)を比較した。

<効果>
パターンA 送付1761名・受診399名(受診率22.7%)
パターンB 送付1767名・受診528名(受診率29.9%)
(p値

配信元企業:株式会社キャンサースキャン

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