「お疲れンゴ!」
「テンアゲ〜」
「原宿でタピる」
マジ卍

おカタイ文芸編集者・新見(千葉雄大)が、原宿系ファッション誌『Pipin(ピピン)』編集部に異動して「カワイイ」の洗礼を受けるドラマ『プリティが多すぎる』(日本テレビ系)。
10月25日(木)深夜放送の第2話では、新見が新人編集者登竜門ストリートスナップ」の撮影に繰り出した。「○○ンゴ!」とは、「マジ卍」とは何なのか。そして、「カワイイ」とはいったい何なのか?

心が動く瞬間。「それが、“カワイイ”ってやつなんだよね」
初めてのストリートスナップ撮影。新見が撮ってきたのは、ロリータファッション、制服、ギャル系と『Pipin』の色にはあわない女の子ばかりだった。新見が推したのは、総額50万円以上のハイブランドファッションに身を包んだ女性。プチプラ(=安価な)服を中心に紹介している『Pipin』の読者について、新見がまったく理解していないことが露呈してしまった。

新見「カワイイ、カワイクない。そんな曖昧な言葉に振り回されて、何も考えていない連中に四六時中媚び売って、バカバカしい!」

自分なりにまとめたマーケティングデータに基づく雑誌の改善案も、他の編集部員に響かない。慣れない環境や女の子たちとのやり取りに、新見は苛立ってしまう。
同僚の利緒(佐津川愛美)は、そんな新見に「数字を見る前に、まずはちゃんと『Pipin』の読者のこと見てよ」と言う。

カワイイものにまみれてずいぶんポップになっているけれど、これはお仕事ドラマなのだ。
異動や転勤など、働いていると理不尽な配置転換があったり、思い描いていた仕事内容とは違うことを任されたりすることがある。そんなとき、反発するのか腐るのか、それとも与えられた場所で面白みややりがいを見つけるか。多くの働く人が突き当たる壁に、新見もまたぶつかっている。

カワイイの迷子になっている新見を見かねて、利緒は原宿のカリスマショップ店員・レイ(黒羽麻璃央)に、新見を任せた。

新見「カワイイのかなあ。正直、よくわからなくて」
レイ「カワイイって難しいからね。でもあるとき、心が動く瞬間が来るの。それが、“カワイイ”ってやつなんだよね」

カワイイって、きっと魅力的ってことだ。でも、そんな平たい言葉で言うのは粋じゃない。だから、女の子たちは心が動いたことを「カワイイ」って言う。
お小遣い1,000円の女の子が、2日間悩みに悩んで990円のトップスを買った。『Pipin』の熱心な読者だという。それを見聞きして、新見は心動かされる。カワイイの芽生えだ。

利緒「なんでその子の写真撮ったの?」
新見「……なんとなく」
利緒「それが、“カワイイ”ってことなんじゃない?」

本意ではない仕事でも、相手が真剣に向き合ってくれたり誰かが喜んでくれることを実感したりすると、それに心が動く。ちゃんと向き合えば、仕事の魅力が見えてくる。
カワイイ」に真剣な女の子たちの姿が、何かとまっすぐに向き合うことの良さと大切さを教えてくれる。

テニミュ出身俳優・黒羽麻璃央の抑揚と息遣いの巧みさ
今回初めて登場した、新見を助けるショップ店員・レイ。演じているのは、俳優の黒羽麻璃央(くろばまりお)だ。
これまで主に2.5次元舞台やミュージカルで活躍してきた。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンの菊丸英二役。ミュージカル『刀剣乱舞』三日月宗近役。他にも、人気の舞台『私のホストちゃん』や『黒子のバスケ』、『男水!』、その他朗読劇にも多数出演している。

レイは、タレントで例えるならりゅうちぇる、ぺえを思わせる話し方や振る舞いをする。数年前なら、雑に「オネエキャラ」なんてまとめられていたかもしれない。
でも、ただ女っぽい仕草をすれば彼らのようなキャラクターに見えるわけではない。女っぽさ、オネエっぽさを過剰に意識しすぎると、そうした人たちを馬鹿にした演技に見えてしまう可能性もある。

その点、黒羽の演技は嫌味な感じがまったくしない。元々こういう人なのかな、と思ってしまうほど。
仕草は大げさじゃないのに、どこで「らしさ」を出しているのか。よく聞くと、台詞の抑揚や呼吸の仕方で「原宿のカリスマショップ店員・レイ」を表現しているのだと気付く。

たとえば、新見に言った「でもあるとき、心が動く瞬間が来るの。それが、カワイイってやつなんだよね」という台詞。語尾をクルッと早口にしたり優しく伸ばしたり、言葉の流れを少し止めたりして、その場の雰囲気を巧みに操る。それに乗せられて、新見もなんとなくレイの言葉に飲まれていく。
ああ、ああいう人たちは、抑揚や息遣いで人を巻き込んでいく話し方が上手なんだと、黒羽の演技によって知ることができた。

そうした特別な抑揚や息遣いをトレースする能力は、黒羽が長い間舞台で群像劇を演じたり、多くの朗読劇に出演したりしてきた経験で得たものだろう。レイ役の演技を見ただけで「もっと黒羽の演技を見てみたい」という気持ちになっている。気が早いが、本作以降の活躍が楽しみだ。

第3話は、11月1日(木)深夜放送。放送がない地域もあるので、ぜひHuluなど配信サイトで追ってみてほしい。
残念ながら、主演の千葉とレイ役・黒羽の出身地・宮城県でも放送していないそうだ。ミヤギテレビ日テレ系)の人! 『プリティが多すぎる』を宮城県民に見せてください!

宮城県・むらたえりか

▽配信サイト
Hulu

ドラマ『プリティが多すぎる』(全10話)
日本テレビ系 10月18日(木)スタート 毎週木曜24時59分〜
出演:千葉雄大、佐津川愛美、小林きな子、矢島舞美、池端レイナ、黒羽麻璃央、長井短、森山あすか、中尾明慶、堀内敬子、杉本哲太
原作:大崎梢『プリティが多すぎる』(文春文庫)
脚本:荒井修子、渡邉真子
音楽:西口悠二、Chocoholic
ドラマ「プリティが多すぎる」オリジナル・サウンドトラック
制作:千野成子、 池田健司
プロデューサー:小田玲奈、松永洋一(R.I.S Enterprise)、森有紗
演出:久保田充ほか
制作プロダクション:R.I.S Enterprise
(c)日本テレビ
公式サイト:http//www.ntv.co.jp/pretty/

ドラマ「プリティが多すぎる」オリジナル・サウンドトラック