今年の渋谷ハロウィーンは、本番前の週末から、痴漢などの容疑で複数の逮捕者が出たり、暴徒化した若者によって軽トラックが横転させられたりするなど、ネガティブな側面ばかりが注目されました。そして、10月31日ハロウィーン当日、渋谷の街は例年同様に多くの仮装をした人でにぎわいました。翌朝、“狂騒”の後の街を歩きました。

清掃に参加する高校生も

 11月1日午前6時、京王井の頭線渋谷駅を出ると、駅周辺にはハロウィーンを楽しんだ若者がまだ多く残っていました。駅周辺のラーメン店は、朝からほぼ満員。夜通し遊んだ若者たちが、帰宅前に食べているようでした。

 お祭り騒ぎが終わったセンター街に向かうと、強烈な酒の臭いが漂ってきました。酔った客で満員の週末の終電を思い出します。至る所に酔いつぶれた若者が座り込み、道端で眠り込む姿も。

 センター街の雑居ビル前では、入居する飲食店の女性従業員が、入念に水をまいて掃除をしていました。「ごみの掃除も大変だけど、お酒に酔った若者が吐いたものがあちこちに。とても迷惑です」と苦い表情。

 センター街中心部の商業施設の警備員男性は「ルールや礼儀がなっていない人が多い。昨晩も、建物の壁に用を足している人に注意したら『逆切れ』されました。相手は酔っているから、タチが悪い」と嘆いていました。

 一方、昨年もハロウィーン当日に当直だったという男性は「ごみの量は、去年よりも少ない印象です。去年はもっとすごかった」と話します。

 センター街を歩いていると、仮装したままトングとごみ袋を持ち、吸い殻や空き缶を拾う若者たちに遭遇しました。企業名を書いたビブスを着た清掃ボランティアや、制服姿でごみを拾う高校生4人組も。「吉祥寺で朝まで遊んでいた」という大学生3人組も、トングとごみ袋を購入して掃除に参加。大学生も高校生も「何か役に立てないか」と、自主的に渋谷の街に来たそうです。

 警備員男性は「午前1時半頃から、ボランティアかどうか分かりませんが、掃除をする人が複数現れました。ハロウィーンを楽しんだ人たちの中にも、掃除を始める人もいました。早い時間から掃除をしたことで、今年は比較的早くきれいになったようです」と話しました。

 確かに渋谷へ到着した時、道路のあちこちに小さなごみは落ちていましたが、予想に反して、大量のごみが散乱しているという状況ではありませんでした。

瓶入りアルコール「販売自粛」の抜け穴

 渋谷区は今年のハロウィーンで、10月31日午後6時~11月1日午前6時、冷蔵庫内で販売する瓶入りアルコール飲料の販売を自粛することを渋谷駅周辺のコンビニなどに要請しました。区によると、対象17店のうち16店が自粛要請に応じたとのことです。

 ハロウィーン当日の10月31日午後8時ごろ、道玄坂の大手コンビニ3社の5店を回りました。3店では、瓶入りのアルコール飲料は、お客の目に触れる場所から完全に消えていました。ただ、自粛要請の対象外となっている、日本酒など常温販売の瓶入りアルコール飲料はそのまま販売。ほかの2店では、冷蔵庫から出した瓶入りのアルコール飲料をクーラーボックスに移し替えて販売したり、常温状態で販売したりしていました。

 11月1日午前7時ごろ、同じ5店を再び訪れると、発泡酒や缶酎ハイが売り切れ、棚が空になっている店も。小型瓶入りの常温の蒸留酒が売り切れている店もありました。

 渋谷区によると、今回の自粛要請で、路上に捨てられた空き瓶の量は昨年から大きく減少したそうです。ただ、お酒に起因するトラブルの苦情は減少せず、ハロウィーンに合わせて、シャンパンの無料サンプリングテキーラの販売を路上で行う企業もあったことから、「販売自粛の対象店舗拡大や期間延長を検討したい」といいます。

オトナンサー編集部

空き缶などのごみを集めるボランティアの人たち