日本労働組合総連合会(連合)は、 10月25日(木)に「教職員の働き方を問い直す~学校における働き方改革の実現に向けたシンポジウム~」を毎日ホールにて開催しました。











当日は、テレビ・ラジオをはじめ多方面で活躍する教育評論家の尾木ママこと尾木直樹さん、新進気鋭の教育社会学者 内田良さんのスペシャリスト2名と中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員でもある相原康伸連合事務局長を含む3名が登壇しました。会場には現役教職員を含む約180名の一般聴講者が参加しました。

まずはじめに内田さんから教職員がおかれている過酷な勤務の実態について語られました。「学校には、タイムカードというシステムがない。時間管理をしないから時間への意識が欠如し長時間労働になっている。タイムカードがないので長時間労働を証明できず、過労死と認定されない。また、給与体系についても「給特法」という、給料月額の4%を上乗せすることで、その分定額働かせ放題になっているシステムがある。これは残業時間が週2時間だった50年前に制定されたが、今は週20時間残業しており、その前提が崩れている。一番の問題は、労働が労働とみなされない点だ。先生の残業は自発的行為だという考えは、先生の尊厳を踏みにじっている。」と語りました。

また、尾木さんは「このままでは学校がつぶれます。今の大学生は教師になりたがらない。給料が良い民間の教育機関に入社する。年々教員試験の倍率は低下しており、誰でもなれる時代になってきている。これでは教師の質を担保できません。」と現状を語りました。「逆に暴力行為・不登校・自殺などが急増しています。子供の数は減っているのに件数は増えている事態が起きている。子供たちは助けを求めている。」と子供たちへの影響について語りました。
なぜ教師の残業時間が増えたのか?というテーマでは、尾木さんは「喜びが大きいから頑張ってしまう。」、相原事務局長が「給与や勤務時間を意識するサラリーマン教師はダメな教師だ、という風潮がある。先生も人間だからそれで無理して体調を崩しては、児童にとっても良いことではない。」と語りました。

解決策について、相原事務局長は「法律を変え残業分をちゃんと給料に反映する。労基法の罰則付きの上限のガイドラインを作る。世論が「働き方」に注目している今がチャンスだと思っている。子供たちの未来のためにも先生は働き方のモデルにならなければいない。」と語り、解決策として話題の「変形労働時間制」についても「管理能力が高くなければ機能させるのは難しい。それがなければ、目的である長時間労働是正は為されない。」と語りました。

会場の質疑応答コーナーでは、現職の先生から「明日から私に学校で何ができるだろうか?」という質問があり、「まずは隣の先生と話してみることが大事。」(内田さん)「エビデンスが大事。自分の労働時間を数値化してみてください。」(相原事務局長)「そのエビデンスをSNSで発信する。関心のある人は必ず見ています。現場からどんどん発信しましょう。」(尾木さん)と回答しました。

最後に、出演者それぞれから、「みんなで頑張っていきましょう。」(内田さん)、「先生の働き方が子供たちに勇気を与える。今後もこの問題に注目してほしい。」(相原事務局長)「子供への共感力を失わないでほしい。そのためにも声をあげて制度を改革していきましょう。」(尾木さん)とのコメントがあり、イベントを締めくくりました。

連合では、今後も「教職員の働き方」をはじめ生活に身近な問題改善のため、様々な活動を行ってまいります。


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担当:越智

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