「ルーティンだけはしっかりとやれよ」。
9月22日のライオンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)で史上52人目の通算2000本安打を記録した千葉ロッテマリーンズの福浦和也内野手にとって忘れられない言葉である。
「あの言葉は忘れないし、それから約束は守っている。毎回、どんな打席でも必ずルーティンを大事にしている」
言葉をかけてくれたのは99年から03年まで千葉ロッテマリーンズで監督を務めた山本功児氏。
(c)千葉ロッテマリーンズ
恩師に試合後に言われた言葉
一軍で結果を出し始めた00年。試合に敗れると「ちょっと、来い」と一塁側ブルペンに呼ばれた。いつもこの場所で練習後に特打ちを行っていたこともあり、打撃指導を行われるかと思ったが、説かれたのは技術論ではなく「ルーティンの大事さ」だ。
「自分が慌てて打席に入っているように見えたのだろうね。まだ若かったから回の先頭打者の時とかは急がないといけないという感じもあった。監督の目からは準備不足に映っていたのだと思う」
ネクストバッターズサークルでバットにスプレーをかけ、2度、屈伸をする。席に入る際も再度2度、屈伸をする。それらのルーティンはそれから25年目の今まで必ず行っている。
「絶対に打席に入る際に屈伸を2回する。それはもう絶対。あれはずっとやっている。やっぱり一定の流れで打席に入る事でリズムが生まれる。いつも同じ気持ちで落ち着いて打席に入れるようになった。1打席を大事にする心構えにもなっている」
嘘でも嬉しかった言葉
(c)千葉ロッテマリーンズ
月日は流れた。山本氏は2016年4月23日、64歳で永眠した。福浦は年齢を重ねてもアドバイスを忘れることなく毎打席、ルーティンを繰り返しながら2000本のヒットを積み重ねた。43歳の今も球界最年長野手として現役を続けている。
「オレの野球人生の最後まで見届けて欲しかった。寂しいよね。天国で見守って欲しい」
投手から野手転向を進めてくれた恩師。
二軍監督時代には二人三脚で特打を繰り返し今の土台を作った。そして忘れることのない数々のアドバイスをくれた。ルーティンの大切さを熱く説いてくれたあの日、もう一つ言われた事がある。
「オマエが打つようにならないとマリーンズは勝てないんだ」
嘘でも嬉しかった。その言葉を励みに、チームに貢献する打撃を磨いてきた。そしてこれからもマリーンズを引っ張る。
[文:千葉ロッテマリーンズ・広報 梶原紀章]
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